レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年11月24日
- 登録日時
- 2020/11/24 10:13
- 更新日時
- 2022/10/26 14:59
- 管理番号
- 2020-051
- 質問
-
解決
夏目漱石の時代、明治30年~40年代(~大正5年)の男性にとって、理想の妻(女性)がどのようなものであったかを知りたい。こんな人と結婚したいといったようなことが書かれている資料がよい。
・一般男性の意見が書かれているもの。新聞記事などがよい。
・当時の作家による、このような女性が男性に人気だといったことが書かれたものでもよい。
・図書・論文・雑誌記事・新聞記事など。
※当時の「良妻賢母」をすすめる教育や国策についての資料は不要。
- 回答
-
以下の資料が見つかりました。
(図書)
・磯村春子『今の女:資料・明治女性誌』(1984, 雄山閣出版)
収録作品「結婚媒介所」p.163に男性の女性に対する希望についての記述があります。
※大正2年に文明堂から発行された『今の女』は国立国会図書館デジタルコレクションで公開されています。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/951262 [参照 2020-11-16]
・早川紀代『近代天皇制国家とジェンダー : 成立期のひとつのロジック』(1998, 青木書店)
第六章「一九一〇年代の両性の関係――『読売新聞』婦人附録「身の上相談」欄、一九一四―一九一七年から――」に結婚したい相手についての記述があります。
・桑原桃音『大正期の結婚相談 : 家と恋愛にゆらぐ人びと』(晃洋書房, 2017)
第2章「『読売新聞』「身の上相談」の登場――結婚問題を共有する場の成立」
第4章「結婚相手に求められる条件」
に、記述があります。
明治30~40年代当時の作家によって記されたものとしては、下記のようなものがありました。いずれも国立国会図書館デジタルコレクションで公開されています。
・正岡芸陽『婦人の側面』(新声社, 明治34)
p.46-53 第八 理想の妻
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/798996 [参照 2020-11-16]
・真継雲山 (義太郎)『七顛八倒 : 小説雑筆』(凡々社, 明41)
p.99-101 理想の妻
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/886603 [参照 2020-11-16]
・千勝義重『理想と結婚』(楽山堂, 明治43)
(二)結婚前の夢 p.18-19 男の希望は如何
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/758481 [参照 2020-11-16]
・吉川笠城『相談の相談』(三教書院, 明治42)
※『都新聞』「相談の相談」に寄せられた投書と回答をもとに編集された図書です。
p.1-81 第一編 男の煩悶
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/757638 [参照 2020-11-16]
(論文・記事)
・桑原桃音「大正期における近代的結婚観の受容層:『讀賣新聞』「身の上相談」欄の結婚問題相談者の分析」(『ソシオロジ』2013, vol.58, no.1, p.71-88,182.)
J-STAGEで公開。https://doi.org/10.14959/soshioroji.58.1_71 [参照 2020-11-16]
・桑原桃音「配偶者選択の歴史社会学のための文献研究(2)明治から戦前までの結婚観に関する諸研究の考察」(『龍谷大学社会学部紀要』2010, no.36, p.84-98.)
龍谷大学学術機関リポジトリで公開。https://hdl.handle.net/10519/558 [参照 2020-11-16]
・「〔雑録〕一、理想の妻」(『新声(第一期)』明治33年, 4(6).)
※当館所蔵『新聲』(復刻版, ゆまに書房, 1983)第九巻に収録。
・寺町生「理想の妻」(『衛生新報』1905, (23), p.2.)
・枕石山人「理想の妻」(『衛生新報』1905, (23), p.3.)
・島田筑波「理想の妻」(『衛生新報』1905, (23), p.4.)
※『衛生新報』(23)は国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信参加館内公開)で閲覧できます。
当館に所蔵はありませんが、以下の記事も参考になると思われます。
・森田浩一他「未婚男子の求むる理想の妻」(『婦人公論』大正5年, 1年11月號, p.50-58.)
(本学人文科学研究所所蔵)
・三輪田元道「〈思想及び智識〉理想の妻たるの要件(婦女界)」(『婦人評論』大正2年, 2(1).)
(本学文学部所蔵)
(新聞)
『読売新聞』(本学契約データベース「ヨミダス歴史館」で該当記事を検索することもできます。)
・「[婦人附録][身の上相談] 主人に打明けて」(1915(大正4)年1月10日, 朝刊, 5ページ)
・「[婦人附録]共稼の妻が欲しい」(1915(大正4)年7月3日, 朝刊, 4ページ)
など。
※1914(大正3)年4月3日に始まった「婦人附録」に「理想の妻(女性)」に関する記事(投稿)が見られました。掲載日や投稿内容については、上記図書、早川紀代著『近代天皇制国家とジェンダー : 成立期のひとつのロジック』、および桑原桃音著『大正期の結婚相談 : 家と恋愛にゆらぐ人びと』に記載が見られます。
「婦人附録」以外では下記記事も見つかりました。
・「[ハガキ集]理想の妻は快活で決断力があり、理解力に富み、夫の性質を会得する者」(1903(明治36)年7月17日, 朝刊, 4ページ)
『都新聞』
・「相談の相談」(1906(明治39)年~)
※明治42年までの「相談の相談」への投書をもとに、上記図書、吉川笠城『相談の相談』が発行されたようです。男性からの相談についてもまとめられています。図書に含まれていない期間の投書および回答については、当館所蔵の『都新聞』(復刻版)で確認することができます。
詳細につきましては、回答プロセスをご覧ください。
- 回答プロセス
-
1.新聞記事データベースで検索。
『読売新聞』本学契約データベース ヨミダス歴史館
タブ:明治・大正・昭和 キーワードを「理想 妻」として検索。
結果より
「[ハガキ集]理想の妻は快活で決断力があり、理解力に富み、夫の性質を会得する者」(『読売新聞』1903(明治36)年7月17日, 朝刊, 4ページ)…「余の理想の妻としての資格~」として第一から第五まで理想の条件を挙げている。
2. 図書を調査
本学OPACで検索(キーワード:女性 婦人 明治 大正 など)
・磯村春子『今の女:資料・明治女性誌』(1984, 雄山閣出版)
(※文明堂昭和45年複製刊(初版:大正2年刊)の再複製)
収録作品「結婚媒介所」p.163に男性の女性に対する希望について「申込書に……初婚、良妻賢母の資格ある教育あるもの、品行方正……と並べてあるが、……若し其女が渋皮のむけた美人でさへあれば、残る十何ケ條を取消ても……」といった記述あり。
※磯村春子『今の女』(大正2, 文明堂)は国立国会図書館デジタルコレクションで公開。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/951262 [参照 2020-11-16]
国立国会図書館サーチで検索(出版年:1897~1916 キーワード:理想 結婚 妻 女性 など)
・千勝義重『理想と結婚』(楽山堂, 明43)
国立国会図書館デジタルコレクションで公開。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/758481 [参照 2020-11-16]
(二)結婚前の夢 p.18-19「男の希望は如何」に「美人で貞操で、夫れで持参金付……容貌は十人並で宜いが、深切で痒い所へ手の届くように世話をして呉れる者とか、いや美人で無ければ駄目だ、美人なら……学問や遊芸は出来ずとも苦しくないとか、……」などあり。
(五)配偶選択の条件 p.79-88「妻女選択の条件」に「誰でも望みは同じ、女らしくて……働く事が好きで、家政に抜目がない者、此様な者があつたら、否、此様な妻を迎へたいと思はれるであらうが……」(p.79)といった記述あり。
・真継雲山 (義太郎)『七顛八倒 : 小説雑筆』(凡々社, 明41)
国立国会図書館デジタルコレクションで公開。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/886603 [参照 2020-11-16]
p.99-101「理想の妻」……「卑しげの無い顔の女」「愛嬌は必要」「学問の素養は相当にあるのを可とする」などの記述あり。
・正岡芸陽『婦人の側面』(新声社, 明34)
国立国会図書館デジタルコレクションで公開。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/798996 [参照 2020-11-16]
p.46-53「第八 理想の妻」……「世人の多くが妻を娶らんとして其選択の第一資格に数ふるものは容貌にあり、第二は遊芸にあり、第三は才能にあり、其間多少の相違はあるべしと雖も……」(p.49)といった記述あり。
3.論文・記事を調査
本学契約 雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス で検索
キーワード:妻 理想
結果から
・「〔雑録〕一、理想の妻」(『新声(第一期)』明治33年, 4(6).)
→当館所蔵『新聲』(復刻版, ゆまに書房, 1983)第九巻(第四編第一号~第六号収録)を確認。
第四編第六号「雑録」p.69下段~p.70に該当の記事「一、理想の妻 二、暴風雨(懇話会席上の作節録)」あり。
「我輩の理想の妻は丈六尺、色の黒い鼻の高い円顔の女だと或る四角四面の男は云ふた」
「此間四五の友人が会して、理想の妻といふ題目で談した……其理想の第一の条件は美貌で、第二は才学であるとは、期せずして一致した」
などの記述あり。
・寺町生「理想の妻」(『衛生新報』1905, (23), p.2.)
・枕石山人「理想の妻」(『衛生新報』1905, (23), p.3.)
・島田筑波「理想の妻」(『衛生新報』1905, (23), p.4.)
いずれにも妻にしたい女性の容貌や学力、素養などについての記述あり。
(※上記3点は国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信参加館内公開)で閲覧可。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1527063)[参照 2020-11-27]
その他、当館に所蔵はないが、参考になりそうな記事として、下記も紹介。
・森田浩一他「未婚男子の求むる理想の妻」(『婦人公論』大正5年, 1年11月號, p.50-58.)
(本学人文科学研究所所蔵)
・三輪田元道「〈思想及び智識〉理想の妻たるの要件(婦女界)」(『婦人評論』大正2年, 2(1).)
(本学文学部所蔵)
CiNii Articlesで検索
キーワード:近代 結婚観 など
結果より
・桑原桃音「大正期における近代的結婚観の受容層:『讀賣新聞』「身の上相談」欄の結婚問題相談者の分析」(『ソシオロジ』2013, vol. 58, no. 1, p. 71-88,182.)
J-STAGEで公開 https://doi.org/10.14959/soshioroji.58.1_71 [参照 2020-11-16]
→p.83に「高学歴男子学生は、結婚したい相手を「人格の高い清い処女」(1914.6.23)、「品行」がよく、「成績も優等」(1918.12.13)と表現している」という記述あり。(いずれも『読売新聞』「身の上相談」の記事として。)
『読売新聞』の該当記事を本学契約データーベース ヨミダス歴史館で確認。
・「[婦人附録][身の上相談] 二人の女に想はれて」(『読売新聞』1914(大正3)年6月23日, 朝刊, 5ページ)…「某大学の文科に籍を置く」学生が、自分に親切にしてくれる女性二人のことを「人格の高い清い処女」と評している。
・「[婦人附録][身の上相談] 同い年の娘と」(『読売新聞』1918年(大正7年)12月13日, 朝刊, 4ページ)…「娘は学校の成績も優等な方で……品行といひ容貌といひ、何一つ欠点がありません」といった記述あり。
引用文献より
・桑原桃音「配偶者選択の歴史社会学のための文献研究(2)明治から戦前までの結婚観に関する諸研究の考察」(『龍谷大学社会学部紀要』2010, no. 36, p. 84-98.)
龍谷大学学術機関リポジトリで公開。
https://hdl.handle.net/10519/558 [参照 2020-11-19]
→p.87に「早川紀代(1998)」が「明治初期の新聞投稿欄を資料に分析」、「大正期の庶民については、新聞雑誌の「身の上相談」を資料にした、思想の科学研究会(1956)と早川(1998)をあげることができる」という記述があったため、引用文献に挙げられていた資料の中から以下を確認。
・思想の科学研究会『身上相談』(河出書房, 1956)
(※「引用文献」p.98では『身の上相談』)
本学に所蔵なし。国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信参加館内公開)で閲覧可。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3028367 [参照 2020-11-27]
内容を確認したところ、『読売新聞』や『都新聞』などに寄せられた身の上相談の記事について記載があったが、男性の「理想の妻(結婚したい女性)」についてまとまった記述は見られなかった。
・早川紀代『近代天皇制国家とジェンダー : 成立期のひとつのロジック』(青木書店, 1998)
p.223~
第六章 一九一〇年代の両性の関係 『読売新聞』婦人附録「身の上相談」欄、一九一四-一九一七年から
p.223-224「『読売新聞』は一九一四(大正三)年四月三日、一万三二六五号から「婦人附録」というタイトルの二頁立ての紙面を女性読者を対象に組んでいる。……相談の内容の筆頭は結婚生活に関するもの……婦人向けの頁であるが男性の投書が多い」
p.239~に「理想の結婚・家庭」という項あり。
「当時の青年が抱いた理想の相手の像、理想の家庭像を取り上げる」(p.239)とあり。『読売新聞』「婦人附録」に寄せられた記事の中から、「理想の具体的なイメージ」が描かれているものの一部が掲載年月日とともに記載されている。
※ヨミダス歴史館では、「明治・大正・昭和」のタブで、検索語を「婦人附録」(「婦人附録」も可。)とし、検索期間を「日付一致」で指定すると、その日付の記事が見られた。
・「[婦人附録]共稼の妻が欲しい」(『読売新聞』1915(大正4)年7月3日, 朝刊, 4ページ)「理想の妻」の条件や妻となる女性にどのような仕事についていてほしいかといった記載あり。
・「[婦人附録][身の上相談] 主人に打明けて」(『読売新聞』1915(大正4)年1月10日, 朝刊, 5ページ)…「商家の令嬢で……その精神の確固たるを見て、これこそ理想の婦人と……」
・「[婦人附録][身の上相談] 奥床しい婦人と」(『読売新聞』1914(大正3)年9月10日, 朝刊, 5ページ)「誠に人格の高い奥床しい婦人を知りどうか自分の妻にはこの人をこそ……」
・「[婦人附録][身の上相談] 配偶者を選択する標準 1~10」(1915(大正4)年11月16日~11月25日まで 連載)…女性に対する基準について、男性目線で書かれているものは、1915年12月2日(竹内薫兵)、12月8日(某海軍中佐)、12月10日(未婚男性)の記事。
など
『読売新聞』「婦人附録」以前、もしくはそれ以外に同様の記事がないかを調査。
書架ブラウジングにより次の資料を確認。(前出論文と同著者)
・桑原桃音『大正期の結婚相談 : 家と恋愛にゆらぐ人びと』(晃洋書房, 2017)
『読売新聞』「身の上相談」についての言及、明治期の結婚観についての言及もあり。
第2章『読売新聞』「身の上相談」の登場 p.55~(2)相談欄のさきがけ
「読者が相談を投稿する欄」の発展についての記述あり。
1886(明治19)年に「『女学雑誌』は「いへのとも」欄を開設した。」(p.56)
→『女学雑誌』「いへのとも」について、下記論文で確認。
・矢﨑 千華「「身の上」の成立:『女学雑誌』「いへのとも」からはじまる紙上「身の上相談」」(『ソシオロジ』2013, vol. 58, no. 2, p. 75-92,138.)
J-STAGEで公開。https://doi.org/10.14959/soshioroji.58.2_75 [参照 2020-11-23]
p.77に「『女学雑誌』「いへのとも」は、明治一九年九月一五日に始まり同年一一月二五日に終了」とあり。
「さらに明治末期になると、……一九〇六(明治三九)年に、この形式をとった『都新聞』「読者と記者」欄(のちに『相談の相談』と改名)が開設された」とあり。(p.56)
→『都新聞』「読者と記者」「相談の相談」について調査。
レファレンス協同データベース 国立国会図書館提供 管理番号:I160217150550 に『都新聞』「相談の相談」についての記述があった。(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000189501 [参照 2020-11-24])
「質問」に「『都新聞』の「相談の相談」欄は、1908(明治41)年1月8日に設置され、以後少なくとも1909年6月末まで続いているようです」とあり、「回答」に「「相談の相談」という見出しで掲載されたのは、1920(大正9)年3月31日付・4面が最後です。翌4月1日付からは「相談」という見出しで同じ内容の欄が掲載されていました。」とある。
『都新聞』「読者と記者」と「相談の相談」について資料を調査。
本学OPACで検索したところ、下記のような資料が見つかった。
・吉川笠城『相談の相談』(明治42, 三教書院)※電子ブック
国立国会図書館デジタルコレクションで公開。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/757638 [参照 2020-11-16]
冒頭の「例言」に『都新聞』が読者の相談とそれに対する回答を掲載していたことが書かれており、「原文の儘を本書中に載録した」「三教書院が、都新聞社の承諾を得て、二年間の相談中より、重要な者を抜粋し、編集し、一部の書冊として之を発行する」とあり。
→明治42年5月発行なので、42年春頃までの投稿を対象としていると思われる。それぞれの投稿の日付記載はなし。
全体は、第一編「男の煩悶」、第二編「女の煩悶」、第三編「雑問」の三部構成。それぞれの編が三章からなっている。
男性からの投稿をまとめている第一編「男の煩悶」を確認。
第二章「相思の巻」に結婚したい女性についての記載あり。
例
p.27-28(質問)「其の女性は……芸妓を致し居る者に候、同人の性格は……信用致し居り……」、(記者からの回答)「妻となるべき人の操行、精神を主とし、血統体格、学芸を次として選択すべく、その容貌、身分、財産の如きは深く穿鑿するの要なかるべしと思ふ」
p.30「名望ある商家の令嬢を妻にと望み候ところ、其の令嬢は誠に多芸なる上心ばへ優しき御方」
p.36「一は非常の美人にて普通教育あり愛情にも濃かですが家計困難で……若し此の婦人と結婚すれば将来愛情深く暮すには違ひありません……」「他の一人は……普通教育を受けて居りますが醜婦でお負けに餘り賢い方ではなく……けれども活計有福で……将来安泰に最大幸福の生活を為し生べし」
など。
『都新聞』について確認。
・土方正巳『都新聞史』(日本図書センター, 1991)
p.154「本紙の「読者と記者」は……その第一回「戒厳令廃止に就て」では、記者が読者に平易な話し言葉で語りかける形をとり……」
p.163「のちに〝都名物〟の一つになった相談の相談欄がこの年十二月二十一日から始まった。第一回「添ふに添はれず」(神田愛読女)……女性からの身の上相談が多かった。」(※「この年」=明治39年)
とあり。
巻末「年表」を確認。
p.522 下段 明治38年(1905)「12・1 第一面トップに投書欄「読者と記者」を開設。」
p.523上段 明治39年(1906)「12・21 「相談の相談」欄を開設。」
とあり。
当館所蔵『都新聞』を確認。
・『都新聞』(復刻版, 柏書房, 1994-)
明治39年(「相談の相談」第一回)~大正5年の所蔵は当館にあり。
明治38年12月1日 第一面「読者と記者 戒厳令廃止に就て」
明治39年12月19日 第五面「相談の相談」
「今日から新たに此の一欄を設けました。……記者へ相談したい事がおあんなさるお方は、其事情を書いてお寄越しなさいませ」とあり。
明治39年12月21日「相談の相談 (一)添ふに添はれず」(神田愛読女)
(「相談の相談」「相談乃相談」「そうだん乃相談」といった表記のゆれはあり。)
※第一面の「読者と記者」は「相談の相談」掲載開始後も継続。「読者と記者」と「相談の相談」はそれぞれ違う面に掲載されていた。
前出 桑原桃音『大正期の結婚相談 : 家と恋愛にゆらぐ人びと』(晃洋書房, 2017)を再確認。
・第4章 結婚相手に求められる条件(p.139-)
→『読売新聞』「身の上相談」に寄せられた投稿を例に挙げて、「結婚相手に求められる条件」が分析されている。
p.143「投稿記事では、男女ともに結婚相手の条件として人格を重視し、趣味の一致、思想の一致が理想化されていた」
p.149「男女共に投稿者は結婚相手の条件として「学」や「教育」があることを求めていた。」
※例として挙げられているのは、1916(大正5)年3月29日の投稿とその回答など。
1916(大正5)年3月29日の投稿をヨミダス歴史館で検索。
「[婦人附録][身の上相談] 断る訳にも行かず」(『読売新聞』1916(大正5)年3月29日, 朝刊, 4ページ)…「大阪の或る同業者の娘……高等女学校も卒業し、性質も至極温順で、私の近き将来に出世の緒ともなるのです。」といった記述あり。
その他同章に、身体の条件や「純潔」についての記述もあり。
その他参考資料
桑原萌音「大正期『讀賣新聞』「よみうり婦人附録」関係者の人物像にみる「身の上相談」欄成立過程 (古賀和則教授 舟橋和夫教授 小椋博教授 退職記念号)」(『龍谷大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Ryukoku University』2015, no.46, p.100-118.)
龍谷大学学術機関リポジトリで公開。https://hdl.handle.net/10519/6559 [参照 2020-11-19]
- 事前調査事項
-
・夏目漱石が「良妻賢母」の思想に批判的だったようであるので、教育や政策ではなく、当時の一般の男性にとっての「理想(人気)の女性(妻)」がどのようなものであるかを知りたいと思った。
・本学契約データベース 聞蔵Ⅱ(朝日新聞)やヨミダス歴史館(読売新聞)でキーワードを「理想 妻 明治」で検索したが、探しているものを見つけられなかった。
・歌川光一「戦前期における理想的女子像の「伝統/近代」を捉える視点としての「音楽のたしなみ」 : 研究動向にみる可能性と課題」(『学習院大学文学部研究年報』2013, no.60, p.191-211.)
(学習院学術成果リポジトリで公開。https://hdl.handle.net/10959/3802 [参照 2020-11-10])は確認済み。
- NDC
-
- 家族問題.男性.女性問題.老人問題 (367 10版)
- 家庭倫理.性倫理 (152 10版)
- 日本 (071 10版)
- 参考資料
-
-
磯村春子 著 , 磯村, 春子, 1877-1918. 今の女 : 資料・明治女性誌. 雄山閣出版, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001787004-00 , ISBN 4639003668 (NCID:BN01457266) -
磯村春子 著 , 磯村, 春子, 1877-1918. 今の女. 文明堂, 1913.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000566458-00 (国立国会図書館デジタルコレクションで公開 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/951262 [参照 2020-11-16]) -
早川紀代 著 , 早川, 紀代, 1941-. 近代天皇制国家とジェンダー : 成立期のひとつのロジック. 青木書店, 1998.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002760893-00 , ISBN 4250980480 (NCID:BA38873856) -
桑原桃音 著 , 桑原, 桃音. 大正期の結婚相談 : 家と恋愛にゆらぐ人びと. 晃洋書房, 2017.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028067060-00 , ISBN 9784771028661 (NCID:BB23478618) -
正岡芸陽 著 , 正岡, 芸陽, 1881-1920. 婦人の側面. 新声社, 1901.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000449184-00 (NCID:BN05937536 国立国会図書館デジタルコレクションで公開 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/798996 [参照 2020-11-16]) -
千勝義重 著 , 千勝, 義重, 1879-1964. 理想と結婚. 楽山堂, 1910.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000421764-00 (国立国会図書館デジタルコレクションで公開 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/758481 [参照 2020-11-16]) -
桑原 桃音 , 桑原 桃音. 大正期における近代的結婚観の受容層 : 『讀賣新聞』「身の上相談」欄の結婚問題相談者の分析. 2013-06. ソシオロジ / ソシオロジ編集委員会 編 58(1) (177) p. 71-88
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I024804948-00 (J-STAGEで公開 https://doi.org/10.14959/soshioroji.58.1_71 [参照 2020-11-16]) -
桑原 桃音 , 桑原 桃音. 配偶者選択の歴史社会学のための文献研究(2)明治から戦前までの結婚観に関する諸研究の考察. 2010. 龍谷大学社会学部紀要 / 龍谷大学社会学部紀要編集委員会 編(36) p. 84~98
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- [ハガキ集]理想の妻は快活で決断力があり、理解力に富み、夫の性質を会得する者. 読売新聞. 1903(明治36)年7月17日, 朝刊, 4ページ.
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寺町生. 理想の妻. 1905. 衛生新報 23 p. 2
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島田筑波. 理想の妻. 1905. 衛生新報 23 p. 4
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思想の科学研究会 編 , 思想の科学研究会. 身上相談. 河出書房, 1956. (河出新書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000959132-00 (NCID:BN09385690 国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信参加館内公開)https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3028367 [参照 2020-11-27]) -
レファレンス協同データベース 国立国会図書館提供 管理番号:I160217150550
質問「『都新聞』の「相談の相談」欄は、1908(明治41)年1月8日に設置され、以後少なくとも1909年6月末まで続いているようです。この「相談の相談」欄がいつまで継続するかをご教示いただけないでしょうか。またもし当欄の終了の告知があれば、それがいつの紙面に掲載されているかもご教示いただけないでしょうか。」 (https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000189501 [参照 2020-11-24]) -
歌川 光一 , 歌川 光一. 戦前期における理想的女子像の「伝統/近代」を捉える視点としての「音楽のたしなみ」 : 研究動向にみる可能性と課題. 2013. 学習院大学文学部研究年報(60) p. 191-211
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I025360758-00 (学習院学術成果リポジトリで公開 https://hdl.handle.net/10959/3802 [参照 2020-11-10])
-
磯村春子 著 , 磯村, 春子, 1877-1918. 今の女 : 資料・明治女性誌. 雄山閣出版, 1984.
- キーワード
-
- 結婚相談
- 婚姻
- 理想の妻
- 理想の女性
- 身の上相談(身上相談)
- 明治
- 大正
- 夏目漱石
- ジェンダー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 家族問題.男性.女性問題.
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000289753