レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年07月21日
- 登録日時
- 2022/03/18 10:51
- 更新日時
- 2022/03/18 11:09
- 管理番号
- 千県東-2021-0017
- 質問
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解決
ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパの著した『オカルト哲学について』2-3巻の和訳はあるか。
- 回答
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お探しの資料(原題『De occulta philosophia』)は、『隠秘哲学について』『神秘哲学について』などと訳されることが多いようです。
こちらの2-3巻を和訳したものとして、以下の資料が見つかりました。
【資料1】能木敬次訳「神秘哲学Ⅲ: ドイツ皇帝カール五世顧問官にして特権裁判所判事 ヘンリー・コルネリウス・アグリッパ・フォン・ネッテスハイム著」(『日本経大論集』43巻1号 2013.12)p161-183
文末に「『神秘哲学』の一部を訳出したもの」であるとの記述があります。
また内容は未確認ですが、『日本経大論集』41巻1号にⅠが、42巻1号にⅡが掲載されていました。
【資料2】『魔術と狂気 精神科医からのメッセージ』(酒井明夫著 勉誠出版 2005)
p103-183「コルネリウス・アグリッパの肖像」の中で、『隠秘哲学について』の一部が引用・邦訳されています。
【資料3】『魔法 その歴史と正体』(K.セリグマン著 人文書院 1991)
p342-345に、『隠秘哲学について』の要約が書かれています。
【資料4】『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』(フランセス・イエイツ著 工作舎 2010)
p210-226で、各書の内容の要約が書かれています。
【資料5】『ルネサンスのオカルト学』(ウェイン・シューメイカー著 平凡社 1987)
p200-224「精霊魔術・儀礼魔術とアグリッパ」に内容の要約が書かれています。
その他、内容は確認できませんでしたが、以下の資料も見つかりました。
【資料6】『アグリッパの神秘哲学(概説)』(ヘンリー・モーリー著 爲安司訳 茗教堂 2013)※電子書籍
また、個人が翻訳したものですが、以下のホームページに『オカルト哲学について』の全文訳が掲載されていました。
【資料7】「知恵と神秘の図書館」ルネッサンス魔術「オカルト哲学」(https://occultlibrary.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%88%E5%93%B2%E5%AD%A6)
- 回答プロセス
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・データベース「JapanKnowledge lib」でキーワード「アグリッパ」と検索。
『世界大百科事典』の項目「アグリッパ(ネッテスハイムの)」から、名前の綴りが「Heinrich Cornelius Agrippa」であることを確認した。また「主著の《オカルト哲学》3巻(1531-33)はルネサンス期の魔術哲学の最高峰といってよい」との記述も見つかった。
『小学館 和伊中辞典』の項目「アグリッパ」で、『オカルト哲学』の原題綴りが「De occulta philosophia」であることを確認した。
『岩波 世界人名大辞典』の項目「アグリッパ (ネッテスハイムの)」では、「主著《秘学哲学について:De occulta philosophia 1510》」とあった。
・データベース「WhoPlus」でキーワード「アグリッパ」と検索し、以下の資料を確認。
『岩波哲学・思想事典』(広松渉[ほか]編集 岩波書店 1998)p14「アグリッパ」
「主著は(略)『隠秘哲学』(1510、改訂版1530)」
『キリスト教人名辞典』(日本基督教団出版局 1986)p22「アグリッパ・フォン・ネッテスハイム、ハインリヒ・コルネーリウス」
「1510年には《De occulta philosophia》(「かくされた哲学について」)を完結」
『岩波=ケンブリッジ世界人名辞典』(デイヴィド・クリスタル編集 岩波書店 1997)p11「アグリッパ・フォン・ネッテスハイム」
「主著で影響力のあった魔術論「隠秘哲学について」は、1510年に完成、1533年に出版された。」
『科学史技術史事典』(伊東俊太郎[ほか]編集 弘文堂 1994)p10「アグリッパ」
「『神秘哲学』(De occulta philosophia 3巻、1533)は(略)神秘思想宣伝の書である」
・『翻訳図書目録』(日外アソシエーツ株式会社編集 日外アソシエーツ)の総索引・各年代の総記・人文・社会分野を確認したところ、『翻訳図書目録 1996-2000-3』p7から以下の資料が見つかった。
『澁澤龍彦翻訳全集 別巻1 澁澤龍彦コレクション 1』(澁澤龍彦訳 河出書房新社 1998)
p362-363に「オカルト哲学」というタイトルで邦訳の一部が掲載されていたが、本文のどの箇所かについては記載がなかった。
・以下の目録類を確認したが、情報を見つけることはできなかった。
『翻訳書原題邦題事典』(日外アソシエーツ株式会社編集 日外アソシエーツ 2014)
『全集・合集収載翻訳図書目録 45/75-1 総記・人文・社会』(日外アソシエーツ 1996)
『全集・合集収載翻訳図書目録 76/92-1 総記・人文・社会』(日外アソシエーツ 1995)
『全集・合集収載翻訳図書目録 1992-2007-1 総記・人文・社会』(日外アソシエーツ株式会社編集 日外アソシエーツ 2009)
・当館の蔵書検索、国立国会図書館サーチ、CiNii Booksで書名「De occulta philosophia」&著者「Agrippa」、キーワード「隠秘哲学」などと検索したが、日本語版を見つけることはできなかった。
・リサーチナビをキーワード「アグリッパ」で検索し、【資料1】が見つかった。
・千葉県内図書館横断検索をキーワード「哲学 アグリッパ」で検索したところ、【資料2】【資料4】【資料6】をみつけた。
・【資料2】の参考文献から、【資料3】が見つかった。
・千葉県立図書館蔵書検索をキーワード「ルネサンス」&件名「心霊研究」で検索したところ、【資料5】が見つかった。
・Googleでキーワード「オカルト哲学 アグリッパ」と検索し、【資料7】が見つかった。
・『超自然・超心理学の本全情報 86/95』(日外アソシエーツ株式会社編集 日外アソシエーツ 1996)を参考に以下の資料を確認したが、本文の掲載は見つけられなかった。
『黒の過程』(マルグリット・ユルスナール著 白水社 1981)
『精神医学の黎明 中世期魔術思想の克服』(吉倉範光著 白水社 1944)
『イタリア・ルネサンスにおける市民生活と科学・魔術』(エウジェニオ・ガレン[著] 岩波書店 1975)
『記憶術』(フランセス・A・イエイツ著 水声社 1993)
『魔術の歴史』(リチャード・キャヴェンディッシュ著 河出書房新社 1997)
『エゾテリスム思想 西洋隠秘学の系譜』(アントワーヌ・フェーヴル著 白水社 1995)
『デューラー《メレンコリアⅠ》 解釈の迷宮 作品とコンテクスト』(ハルトムート・ベーメ著 三元社 1994)
p91-100「ネッテスハイムのアグリッパ」
『科学と表象 「病原菌」の歴史』(田中祐理子著 名古屋大学出版会 2013)
『心理学史』(大芦治著 ナカニシヤ出版 2016)
(インターネット最終アクセス:2022年1月29日)
※参考資料末尾の数字は当館の資料番号です。
- 事前調査事項
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『原典ルネサンス自然学 上』(池上俊一監修 名古屋大学出版会 2017)p417-554に第1巻が収録されていた。千葉県立図書館、国立国会図書館横断検索は検索済み。
- NDC
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- 超心理学.心霊研究 (147 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】能木 敬次 訳「神秘哲学Ⅲ: ドイツ皇帝カール五世顧問官にして特権裁判所判事 ヘンリー・コルネリウス・アグリッパ・フォン・ネッテスハイム 著」(『日本経大論集』43巻1号 2013.12)p161-183(http://id.nii.ac.jp/1099/00001322)
- 【資料2】『魔術と狂気 精神科医からのメッセージ』(酒井明夫著 勉誠出版 2005)(2101821471)
- 【資料3】『魔法 その歴史と正体』(K.セリグマン著 人文書院 1991)(9102356726)
- 【資料4】『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』(フランセス・イエイツ著 工作舎 2010)(0106198979)
- 【資料5】『ルネサンスのオカルト学』(ウェイン・シューメイカー著 平凡社 1987)
- 【資料6】『アグリッパの神秘哲学(概説)』(ヘンリー・モーリー著 爲安司訳 茗教堂 2013)
- 【資料7】「知恵と神秘の図書館」ルネッサンス魔術「オカルト哲学」(https://occultlibrary.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%88%E5%93%B2%E5%AD%A6)
- キーワード
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- Agrippa, Heinrich Cornelius(アグリッパ,ヘンリー・コルネリウス)
- De occulta philosophia(De occulta philosophia)
- 超心理学(チョウシンリガク)
- 心霊研究(シンレイケンキュウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000313754