レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年07月07日
- 登録日時
- 2022/03/04 11:29
- 更新日時
- 2022/03/04 11:30
- 管理番号
- 横浜市中央2654
- 質問
-
解決
仕事において、会議・グループワークといった集団行動は一見すると生産性が上がるように見えるが、
実際には成果を見いだせないことが多々ある。そのような事象に名前があるのか。
また、実務面も含め、原因と解決法を紹介している本を知りたい。
- 回答
-
ご質問いただいた内容につきまして、心理学関係の入門・概説書で解説されているほか、
グループワークに関する実用書で解決策の実践例を確認することができました。
1 入門・概説書
まず初めに例として、関連すると思われる事象の名称とその概要をいくつかご紹介いたします。
・「社会的抑制」
他者の存在によって個人の行動が妨害されること。
・「プロセス・ロス」
協力的な行動をとることを負担に感じ、思考意欲が低下してしまうこと。
・「社会的手抜き」
集団状況で各個人の努力量が低下する現象。
・「集団浅慮」
集団討議で愚かな結論に至ってしまう意思決定様式。
・「同調行動」
他の人たちが自分より先に他の選択をすると、影響を受けて他の人たちと同じ反応を
しやすい傾向にあること。
上記の事象に関する詳しい解説や、類似の事象は以下の資料にて解説されていますので、ご紹介いたします。
(1)心理学入門書
ア『よくわかる 心理学 やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ』
無藤隆/編 ミネルヴァ書房 2009.2
p.123-141 「Ⅶ 集団と個人」
前半で「社会的抑制」「社会的手抜き」「集団浅慮」について解説をしているほか、
リーダーシップや「同調行動」についても解説しています。
イ『はじめて出会う心理学 有斐閣アルマ』 長谷川寿一/著 有斐閣 2020.10
p.303-318「第17章 社会の中の人」
簡単な例を提示しながら「社会的手抜き」や「同調行動」について簡単に解説して
います。
ウ『人間関係の心理学 おうふう心理ライブラリー』
榎本博明/編著 おうふう 2010.6
p.167-179「第12章 集団心理と同調行動」
冒頭で「集団」を定義したうえで、そこで起こる心理的な働きについて解説をして
います。
(2)産業・組織心理学 社会心理学等
(1)の入門書よりも社会や職場集団の中での心理に詳しく着目し、どのような影響を及ぼすかを解説しています。
ア『産業・組織心理学講座 第1巻 産業・組織心理学を学ぶ』 北大路書房 2019.8
p.70-82「第6章 組織行動の心理学的視点」
集団思考過程で見られる負の効果として、「プロセス・ロス」や「社会的手抜き」
「集団浅慮」を解説しています。
イ『産業・組織心理学講座 第3巻 組織行動の心理学』 北大路書房 2019.11
p.17-41「第2章 職場集団のダイナミックス」
職場集団における「集団の発達」や「集団の硬直化」「チームワーク」について、冒頭
のキーワードを交えながら解説しています。
ウ『産業・組織心理学 Industry and Organization
Psychology』 馬場昌雄/監修 白桃書房 2017.1
p.21-37「第2章 コミュニケーション」
組織のコミュニケーションについての解説内で、「同調行動」等を説明しています。
エ『エピソードでわかる社会心理学 恋愛関係・友人関係から学ぶ』
谷口淳一/編著 北樹出版 2017.3
p.147-175「第6章 親密な他者集団からの影響」
具体的なエピソードを取り上げ、それぞれの事象についての原因を心理学の視点から
解説しています。
p.148 エピソード54では「グループ活動が進まない!?」を主題にしています。
オ『産業・組織心理学エッセンシャルズ』 田中堅一郎/編 ナカニシヤ出版 2011.7
p.99-126「4 職場の人間関係と意思決定」
カ『産業・組織心理学 放送大学教材』 山口裕幸/編著 放送大学教育振興会 2020.3
p.99-112「7 職場の対人関係と組織文化」
キ『複雑さに挑む社会心理学 有斐閣アルマ』 亀田達也/著 有斐閣 2010.10
p.101-134「第3章 グループとしての協調行為」
ク『社会と人間関係の心理学 心理学入門コース』 松井豊/著 岩波書店 2007.2)
p.171-191「8 組織の事故」
ケ『コミュニケーション心理学 心理学的コミュニケーション論への招待』
深田博己/編著 北大路書房 1999.10
p.128-142「第8章 コミュニケーションの集団心理学」
コ『チームワークの心理学 セレクション社会心理学』
山口裕幸/著 サイエンス社 2008.7
p.127-134「チーム・エラーの落とし穴」
2 実用書
会議の失敗例と解決法を提示している資料をいくつか紹介します。
(1)『会議のマネジメント 成果に結びつく実践会議術』
木村幹夫/著 生産性出版 2007.2
「第1章 成果の上がる会議のために」にて成果の上がる会議や上がらない会議を
解説し、続く第2-6章で具体的な会議で活かせるスキルや方法を解説しています。
(2)『グループディスカッション 心理学から考える活性化の方法』
西口利文/著 金子書房 2020.9
グループディスカッションを活性化することを主眼に置いた資料で、グループ
ディスカッションの長所や短所を心理学の観点から紹介したうえで、実践での工夫や
留意点を解説しています。
(3)『スーパー・ミーティング 原タイトル:THE SURPRISING
SCIENCE OF MEETINGS』
スティーヴン・G・ロゲルバーグ/著 サンマーク出版 2020.1
長きにわたってミーティング研究を行った著者が、ミーティングでの不満や問題点を
紹介した上で、効果的なミーティングの設定方法や運営手法を提唱しています。
巻末にはミーティング運営に活用するチェックリストやミーティングに関するアイデア
がリストとしてまとめられています。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 心理学 (140 8版)
- 社会学 (361 8版)
- 労働経済.労働問題 (366 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000313018