レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年2月6日
- 登録日時
- 2022/02/24 14:35
- 更新日時
- 2022/07/19 14:47
- 管理番号
- 武蔵浦和-1-00150
- 質問
-
解決
本居宣長が書いた『源氏物語』に関する解釈解説本で、現代語訳になっている資料を読みたい。
『紫文要領(しぶんようりょう)』や『玉の小櫛(たまのおぐし)』という作品があることは知っているが、それも含めて本居宣長が書いた源氏物語に関するもので現代語訳になっているものを読みたい。
- 回答
-
本居宣長が『源氏物語』について解釈したものは、
『源氏物語玉の小櫛』と『紫文要領』の2点があり、
それぞれの現代語訳が紙の資料(図書)になっているものは見つからなかった。
『源氏物語玉の小櫛』は本居宣長の著した『源氏物語』の注釈書で、
紙の資料(図書)では、現代語訳は抄(全体の一部分)が載っている本しか見つからなかった。
次の3冊を提供。
918『古典日本文学全集34 本居宣長集』筑摩書房 1960年刊
p.131~156 源氏物語玉の小櫛 巻一 のみ現代語訳(大久保正訳)で載っている
918『日本の古典 現代語訳 4 源氏物語 下(2)』[紫式部]/[著] 与謝野晶子/[ほか]訳 河出書房新社 1969年刊
p.383~407 源氏物語玉の小櫛(抄)が載っている。秋山虔訳
121.08『日本の思想 15 本居宣長集』本居宣長/著 吉川幸次郎/編集 筑摩書房 1969年刊
p.235~277 源氏物語玉の小櫛
「すべての物語書の事」と「大むね」が載っている。
2段に分かれていて、上段は原文、下段は口語訳になっている。
ただし、デジタル化された資料では全文が現代語訳で読めるものがあった。
これは、国立国会図書館デジタルコレクション(図書館・個人送信)で閲覧可能。
◎『源氏物語玉の小櫛:現代語訳』 埼玉県内所蔵なし
国立国会図書館デジタルコレクション(図書館・個人送信)で閲覧可 書誌ID 000000980663
全部で139コマある。
このほか、『紫文要領』は、本居宣長の最初の『源氏物語』論で、
現代語訳した本は見つからなかったが、これを読みやすい形で編集した次の本が見つかった。
913.3『紫文要領』 ( 岩波文庫 30-219-11 ) 岩波書店 2010年刊
現代語訳ではない。
市内所蔵なし。 市外の図書館から借用して提供。
- 回答プロセス
-
・「玉の小櫛」で自館図書館業務システム検索したが、現代語訳のものは見つからず。
・レファレンス協同データベースで検索
「源氏物語玉の小櫛」の現代語訳が見たいという事例(大阪府立中央図書館)あり。
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000098376
(2022.2.9最終確認)
この事例の回答プロセスであがったものを所蔵検索。
R913.36『源氏物語注釈書・享受史事典』伊井春樹/編 東京堂出版 2001年刊 中央図書館のみ所蔵で禁帯
◎『源氏物語玉の小櫛:現代語訳』 県内所蔵なし、長崎県立(禁帯)
国立国会図書館デジタルコレクション(図書館・個人送信)で閲覧可 書誌ID 00000098066
全部で139コマある。
△918『古典日本文学全集34 本居宣長集』筑摩書房 1960年刊
p.131~156 源氏物語玉の小櫛 巻一 のみ現代語訳(大久保正訳)で載っている。
・武蔵浦和図書館の参考図書を見てみる。
R913.36『源氏物語事典』林田孝和/編集 植田恭代/編集 竹内正彦/編集 原岡文子/編集 針本正行/編集 吉井美弥子/編集 大和書房 2002年刊 より
「本居宣長」の項を一部抜粋。
『源氏物語』の研究としては、まず寛永2,3年の成立といわれる
『源氏物語覚書附詠歌問答栄貞不審』があり、
すでに「かなつかひ」「源語訳解」などの見出しのもとに
抄出や口語訳の試みがなされている。
光源氏が六条御息所と深い関係になるに至った経緯を綴った和文「手枕」がある。
真淵の影響と見られるものに風景描写の技書『源氏四季風景詞』があり、
さらに年立の研究として著名な『源氏物語年紀考』がある。
後者は『帚木』における…。晩年の寛政11年刊の『源氏物語玉の小櫛』は、
宣長の『源氏物語』研究の集大成というべき書である…。
参考文献 『本居宣長全集』筑摩書房、『江戸の文事』(「本居宣長の『源氏物語』年立研究」ペリカン社
×908『書物の王国19』『書物の王国』編纂委員会/[編] 国書刊行会 1999年刊
p.81~86 須永朝彦訳「手枕」
“「手枕」とは、本居宣長は、『源氏物語』の語彙と文体を真似て、
その経緯を空想して小さな物語を書きました。
これが「手枕(たまくら)」です。”とネットに記載あり。
だから、源氏物語の解釈とは違うもののよう。
×121.25『本居宣長全集 別巻1』本居宣長/[著] 大野晋/編集校訂 大久保正/編集校訂 筑摩書房 1976年刊
p.379-482「紫文要領」
p.483-530「源氏物語年紀考」
原文のみで現代語訳はなし。
・データベース「ジャパンナレッジLib」で検索 “本居宣長&源氏物語”全文検索
「日本大百科全書」
“源氏物語”の項中に 国学者たちによる優れた注釈として、
本居宣長『源氏物語玉の小櫛』があがっている。
“本居宣長”の項中に、1796年に『源氏物語玉の小櫛』(略)を書いたと記載あり。
“源氏物語玉の小櫛”の項では、本居宣長の著した『源氏物語』の注釈書。
(略)全9巻のうち、巻1、巻2が総論、巻3が年立(としだて)、
巻4が校異、巻5以下が注釈となっている。とあり。
「小学館全文全訳古語辞典」
げんじものがたりたまのをぐし【源氏物語玉の小櫛】の項で、
江戸後期の『源氏物語』の注釈書。
(略)語句の注釈・文章の味読を基にし、原典に即した注釈を実践し、
「もののあはれ」がテーマであると論じた。とあり。
「東洋文庫 増補本居宣長2 p.160」
索引に玉小櫛(源氏物語玉小櫛)、手枕が載っていて、増補本居宣長1と2に載って
いるようなので、取り寄せてみる。ジャパンナレッジで全文閲覧できるが、
そのものは載っていない。
・自館図書館業務システムで“小櫛”検索
×913.36『源氏物語注釈史の世界』日向一雅/編 青簡舎 2014年刊
p.274~295 『玉の小櫛』注釈部と『源註拾遺』 解説のみ。
「紫文要領」も本居宣長が源氏物語について書いたものらしい。
・国立国会図書館サーチで検索 “玉&小櫛”
△918『日本の古典 現代語訳 4 源氏物語 下(2)』[紫式部]/[著] 与謝野晶子/[ほか]訳 河出書房新社 1969年刊
p.383~407 源氏物語玉の小櫛(抄)が載っている。秋山虔訳。
△121.08『日本の思想 15 本居宣長集』本居宣長/著 吉川幸次郎/編集 筑摩書房 1969年刊
p.235~277 源氏物語玉の小櫛
「すべての物語書の事」と「大むね」が載っている。
2段に分かれていて、上段は原文、下段は口語訳になっている。
・“紫文要領”を所蔵検索
△913.3『紫文要領』 ( 岩波文庫 30-219-11 ) 2010.2 ISBN 4-00-351012-7
市内所蔵なし。
“『紫文要領』は、本居宣長の最初の『源氏物語』論で、これを読みやすい形で
編集したのがこの本だ”と凡例に書かれている。
しかし、現代語訳ではない。
- 事前調査事項
-
次の2冊は提供済。
081『日本の名著 21 本居宣長』中央公論社 1984年刊 →現代語訳だが抄録
918『本居宣長集(新潮日本古典集成)』[本居宣長]/[著] 日野竜夫/校注 新潮社 1983年刊 →現代語訳がなく語句説明のみ。
- NDC
-
- 小説.物語 (913 10版)
- 日本思想 (121 10版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 源氏物語
- 本居宣長
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000312483