レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/04/28
- 登録日時
- 2022/05/03 00:30
- 更新日時
- 2022/05/19 11:21
- 管理番号
- 11876440
- 質問
-
未解決
Captain Golownin : Memories of a Captivity in Japan 1811-1813.1-3(London : Henry Colburn and co.1824)
上記の書籍が1840~1845年くらいの間に、米国(カナダも含む)東部でどの程度普及していたのかを調べたい。読書好きの一般市民が手に取ることができたかどうか、発行部数がわかる資料があれば知りたい。
(米国といっても、カリフォルニアなどの西部地区は当時まだ正式にはアメリカ合衆国の領土ではなかったため、中心は東部、ニューイングランド地区、ミシシッピィ川より東側。ニューイングランドには、1840年までにおよそ900の図書館が設立されている。)
この本の原著は、1816年にロシアで刊行され、すぐにベストセラーとなる。英語、フランス語、ドイツ語、スウェーデン語、オランダ語、日本語にも翻訳される。1817年12月23日のタイム誌で「世にも珍しい興味深い作品が~」と紹介されている。日本では「日本幽囚記Ⅰ-Ⅲ」ゴロヴニン艦長の手記1811.1812及び1813 V.M.ゴロウニン 斉藤智之訳が出版されている。国外の資料でも分かれば知りたい。
- 回答
-
以下のとおり調査しましたが、ゴロヴニン著“Memories of a Captivity in Japan”の1840-1845年におけるアメリカ(カナダも含む)東部での普及率および発行部数について記載のある資料は見当たりませんでした。
調査にあたり、“Memories of a Captivity in Japan”の翻訳書名等を資料1にて確認しました。
「読書好きの一般市民が手に取ることができたかどうか」は不明ですが、資料2~4等のアメリカ東部の図書館目録にて、1800年代の所蔵状況を確認できますので、ご参考までにご紹介します。
資料5は、資料2~4の図書館情報を補足するための参考文献です。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。
資料1:editor: Frederik Cryns, 国際日本文化研究センター 編纂『Catalogue of Pre-1900 printed books on Japan in European languages in the library of the International Research Center for Japanese Studies = 国際日本文化研究センター所蔵日本関係欧文図書目録-1900年以前刊行分 第4巻 (1853年以前)』臨川書店, 2018.2【GB1-B28】
* pp.v-xvii:フレデリック・クレインス「1853年以前の日本関係欧文図書・西洋古版日本地図出版史」
* p.xv:『日本幽囚記』について、「同書はすぐにドイツ語、そしてドイツ語からフランス語や英語、オランダ語などに訳され、ヨーロッパにおいて空前のベストセラーとなった」とあり、ヨーロッパ諸国の知識人に重宝された旨記載があります。また、脚注64に翻訳された各言語の書名が紹介されています。1818年刊行の英訳のタイトルは“Narrative of my captivity in Japan”とあります。“Memories of a Captivity in Japan”のタイトルでは1824年刊行とのことです。
* 国際日本文化研究センター提供の「日本関係欧文史料の世界」( https://kutsukake.nichibun.ac.jp/obunsiryo/ )で閲覧可能です。
* 掲載箇所のURL(2ページ目を参照してください): https://kutsukake.nichibun.ac.jp/obunsiryo/article/
資料2:“A Catalogue of the Books Belonging to the Library Company of Philadelphia” 1835
* p.696に“A narrative of my captivity in Japan”の記載があります。
* Internet Archive( https://archive.org/ )にて閲覧可能: https://archive.org/details/acataloguebooks03philgoog/page/n99/mode/2up
* Library Company of Philadelphiaについては、資料5等を適宜ご確認ください(以下資料3・4も同様)。
資料3:“Catalogue of the books of the Boston Library Society, in Franklin place, January, 1844” 1844
* p.141に“Japan, Memories of a Captivity in”の記載があります。
* Boston Library Societyは、1939 年にBoston Athenæumに合併されたそうです(Boston AthenæumのHPより: https://www.bostonathenaeum.org/collections/archive )
* Internet Archiveにて閲覧可能: https://archive.org/details/cataloguebooksb04librgoog/page/n154/mode/2up
資料4:“Catalogue of the Library of Congress : in the Capitol of the United States of America, December, 1839” 1840
* p.499に“Narrative of my captivity in Japan”の記載があります。
* Internet Archiveにて閲覧可能: https://archive.org/details/cataloguelibrar01conggoog/page/n502/mode/2up
* 上記のとおり、Internet Archiveには、1800年代のアメリカ東部の図書館の蔵書目録が収録されている例が見られます。当時の普及率を推察する一法として、目録を用いて収蔵状況を確認し紹介していますが、調査・研究の代行には応じておらず、網羅的に確認することはできません。これ以上の調査は当館のレファレンスの範囲を超えるものですのでご了承ください。
資料5:藤野幸雄 編著『世界の図書館百科』日外アソシエーツ, 2006.3【UL2-H16】
* pp.731-737「館名・団体名索引(地域別)(pp.690-745)」>「【北米】アメリカ合衆国」:本書掲載のアメリカの図書館と本文中の掲載頁が一覧できます。本文により、個別の図書館の創立年等を確認できる場合があります。
* p.426「フィラデルフィア図書館会社(Library Company of Philadelphia)」
* p.486「ボストン・アシーニアム(Boston Atheneum)」
* p.23「アメリカ議会図書館(U.S. Library of Congress)」
[そのほかの主な調査済資料およびウェブサイト]
V.M.ゴロヴニン 著, 斉藤智之 訳『日本幽囚記 1 (ゴロヴニン艦長の手記1811、1812及び1813年) 改訂版』斉藤智之, 2008.6【GB391-J29】
V.M.ゴロヴニン 著, 斉藤智之 訳『日本幽囚記 2 (ゴロヴニン艦長の手記1811、1812及び1813年) 改訂版』斉藤智之, 2008.6【GB391-J30】
V.M.ゴロヴニン 著, 斉藤智之 訳『日本幽囚記 3 (日本国と日本人論) 改訂版』斉藤智之, 2008.6【GB391-J31】
フレデリック・ルヴィロワ 著, 大原宣久, 三枝大修 訳『ベストセラーの世界史 (ヒストリカル・スタディーズ ; 06)』太田出版, 2013.7【UE31-L4】
Reading history in Britain and America, c.1750 - c.1840
Mark Towsey, University of Liverpool. Cambridge University Press, [2019]【GG231-D1】
スチュアート・A.P. マレー 著, 日暮雅通 監訳『図説図書館の歴史』原書房, 2011.12【UL51-J8】
* pp.195-218「第9章 黎明期アメリカ合衆国の図書館」
川崎良孝 著『図書館の歴史 : アメリカ編 増訂第2版 (図書館員選書 ; 31)』日本図書館協会, 2003.9【UL261-H3】
ウェイン・A. ウィーガンド 著, 川崎良孝 訳『生活の中の図書館 : 民衆のアメリカ公立図書館史』京都図書館情報学研究会, 2017.3【UL261-L9】
P.ウィリアムズ 著, 原田勝 訳『アメリカ公共図書館史 : 1841-1987年』勁草書房, 1991.10【UL261-E3】
山下英一「McGuffey's Readersについて」(『日本英学史学会英学史研究』1992年 24号 pp.73-85【Z12-219】)
* (参考情報)p.74:“McGuffey's Readers”の初版の部数・売行き等について、オハイオ大学図書館の所蔵状況から推測をしている記載があります。
* J-STAGEにて閲覧可能: https://doi.org/10.5024/jeigakushi.1992.73
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JSTOR(当館契約データベース)
ウェブサイトの最終アクセスは2022年4月27日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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ゴロヴニン著『日本幽囚記』上・中・下 岩波書店 1943年刊
「歴史と人物」昭和59(1984)年4月号 中央公論社 p.57
八木 正自「Bibliotheca Japonica(129)ゴロヴニン著『日本幽囚記』の成立とその周辺(1)」(『日本古書通信』73(9) 2008.9 p.41)
八木 正自「Bibliotheca Japonica(130)ゴロヴニン著『日本幽囚記』の成立とその周辺(2)」(『日本古書通信』73(10) 2008.10 p.40)
- NDC
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- 出版 (023 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000315722