レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/06/22
- 登録日時
- 2021/07/02 00:30
- 更新日時
- 2021/08/19 11:51
- 管理番号
- 9853819
- 質問
-
未解決
大日本雄辯會を「私設文部省」と表現した最初の資料を知りたい。
昭和3年(1928)に野間清治が徳富蘇峰より受け取った手紙の中に「(前略)老生(=わたし)がかつて尊台(=あなた様)の事業を目して、「私設文部省」と評したる言の(後略)」と書かれていたとの記述がある。
また、書籍では「出版人物辞典:明治-平成物故出版人」(鈴木徹造/出版ニュース社、1996.10)の「野間清治」の項目に「(前略)私設文部省といわれる存在となった。(後略)」との記述がある。
ただ、どちらにもいつどこで最初にその様に書かれたのか分かる記述はなし。
- 回答
-
徳富蘇峰が大日本雄辯會を「私設文部省」と表現した最初の記述が掲載された資料は確認できませんでした。
講談社を「私設文部省」と最初に称したのが徳富蘇峰であると推定した記載は資料1にありました。また、資料2に「私設文部省」の記載がある徳富蘇峰の書簡の引用、資料3に徳富蘇峰の言として「私立野間文部省」との記載がありましたので、参考としてお知らせします。
<資料(【 】は国立国会図書館請求記号。請求記号の後の※は国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開 を表す。)>
1.「野間社長追悼錄」(『キング』14(15) 1938.12 pp.特1-118【YA5-103】)
→「私設文部省」(pp.特17-特19)と題した徳富猪一郎(蘇峰)の文章のp.特17に「曾つて野間君の事業を評して、『私設文部省』であると云つたのは(略)予が最初の發言者であつたと思ふ」とある。
2.講談社社史編纂委員会 編『講談社の歩んだ五十年』昭和編 講談社 1959【023.067-Ko491k】※
→「昭和三年」の項(pp.93-142)のp.120に、徳富蘇峰からの書簡として、貴館調査済みサイト「大衆は神である」の引用とほぼ同一の内容(「香山一別…」)が中略等なく記載されている。
→『読売新聞』1928.9.13 朝刊p.1の「広告「大日本史」大日本雄弁会」にもp.120掲載の書簡が引用されている(ヨミダス歴史館(読売新聞)(当館契約データベース)で確認)。
3.掛川 トミ子「野間清治と講談社文化」上(『思想の科学』第4次 (通号 10) 1959.10 pp.19-31【Z051.3-Si21】)
→p.19に「「野間さんあなたは大へんよいことをして居られる。あなたの事業は私立野間文部省である。」(徳富蘇峰)」との記載があるが、引用元は不明。
〔その他の主な調査済み資料・ウェブサイト〕
・佐藤卓己 著『「キング」の時代 : 国民大衆雑誌の公共性』岩波書店 2002.9【UM84-G56】
→「はじめに」のp.8に、徳富蘇峰が雑誌『キング』1938年12月号の特集「野間社長追悼録」に寄せた「私設文部省」と題する文章(資料1)において「ドイツ語にも翻訳された「日本の私設文部大臣」(略)という表現を考え出した先見の明を誇っている」とある。
・辻平一 著『人間野間清治』講談社 1960【289.1-N919Tn】※
→p.250に、「徳富蘇峰は、後日、野間の事業を目して、「私設文部省」といった。文部省が、この言葉が、広く世間に流布するのをきらったため、一部の人々の記憶にとどまっただけであるが(略)」との記述あり。
・中村孝也 著『野間清治伝』野間清治伝記編纂会 1944【289.1-N919Nn】※
・「野間社長追悼錄」(『婦人倶楽部』19(14) 1938.12 pp.158-172【Z6-30】)
→前者のp.1055、後者のp.159に資料1とほぼ同内容の記述あり。
・岩崎勝海 編著『出版ジャーナリズム研究ノート』図書新聞社 1965【023.04-I937s】※
→p.25に資料3とほぼ同内容の引用(但し「私立文部省」となっている)あり。
・魚住昭 著『出版と権力 : 講談社と野間家の一一〇年』講談社 2021.2【UE57-M29】
→調査済みにあるサイト「大衆は神である」を単行本化したもの。徳富蘇峰の書簡についてはpp.312-313に記載。
・河野 誠哉「出版史の中の学習文化」(『大学改革と生涯学習 : 山梨学院生涯学習センター紀要』第20号2016.3.30 pp.67-87)*山梨学院リポジトリで全文閲覧可能( http://id.nii.ac.jp/1188/00003283/ )。
・荒木武行 著『野間清治論 : 人物評伝』全線社書房 昭和6【595-383】※
・足立正恒「戦前の講談社の反動的役割」(『赤旗 評論特集版』1979.1・1-8 pp.18-23【Z1-240】)
・渡部昇一 著『「仕事の達人」の哲学 : 野間清治に学ぶ運命好転の法則』致知出版社 2003.12【GK98-H24】
・出川沙美雄 著『奇蹟の出版王 : 野間清治とヘンリー・ルース』河出書房新社 2000.9【GK98-G48】
・笛木悌治 著『私の見た野間清治 : 講談社創始者・その人と語録』富士見書房 1979.10【GK98-35】
・野間清治 著『私の半生 修養雑話』(野間教育研究所特別紀要) 野間教育研究所 1999.6【GK98-G40】
・講談社社史編纂室 編纂『物語講談社の100年』第2巻 講談社 2010.1【UE57-J35】
・伊藤隆 他編『徳富蘇峰関係文書』(近代日本史料選書 ; 7-1) 山川出版社 1982.10【GK138-90】
・徳富蘇峰記念館 > 野間清治( http://soho-tokutomi.or.jp/db/jinbutsu/7217 )
・ざっさくプラス(当館契約データベース)
ウェブサイトの最終アクセスは2021年6月18日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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講談社Webサイト「現代ビジネス」連載「大衆は神である」(50)
『出版人物事典:明治-平成物故出版人』(鈴木徹造/出版ニュース社、1996.10)
『教育人物事典』(唐澤富太郎編著/ぎょうせい、1984.4-1984.7)
『図説明治人物事典』(湯本豪一編/日外アソシエーツ・紀伊國屋書店 (発売)、2000.2-)
『日本人物事典』(毎日新聞社編/毎日新聞社、1952.2)
『日本文化文学事典』(志村有弘・針原孝之編集/鼎書房、2009.2)
『朝日日本歴史人物事典』(朝日新聞社編/朝日新聞社、1994.11)
『出版文化人名辞典』1(日本図書センター、1988.2)
『詳解日本史重要人物辞典』(教育社編/教育社、1986.11)
『日本史人物辞典』(日本史広辞典編集委員会編/山川出版社、2000.5)
『日本人物レファレンス事典』教育篇(日外アソシエーツ株式会社編/日外アソシエーツ・紀伊國屋書店 (発売)、2013.5)
『20世紀日本人名事典』そ~わ(日外アソシエーツ編集/日外アソシエーツ・紀伊國屋書店(発売)、2004.7)
『新現代日本執筆者大事典』3す~は(紀田順一郎[ほか]編/日外アソシエーツ、1992.12-1993.6)
『新聞人名辞典』1(日本図書センター、1988.2)
『現代評論家人名事典』(日外アソシエーツ株式会社編集/日外アソシエーツ、1995.10)
『現代人名情報事典』(平凡社教育産業センター編/平凡社、1987.8)
『市民・社会運動人名事典』(日外アソシエーツ編集/日外アソシエーツ、1990.2)
『新訂増補人物レファレンス事典, 明治・大正・昭和(戦前)編』す~わ(日外アソシエーツ編集部編/日外アソシエーツ・紀伊國屋書店 (発売)、1996.9-)
『新訂増補人物レファレンス事典, 明治・大正・昭和(戦前)編2 (2000-2009)』せ〜わ(日外アソシエーツ編集部編/日外アソシエーツ・紀伊國屋書店 (発売)、1996/9-)
- NDC
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- 出版 (023 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000301134