レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/01/23
- 登録日時
- 2021/02/10 00:30
- 更新日時
- 2021/02/10 00:30
- 管理番号
- 6001048395
- 質問
-
解決
江戸から明治にかけての大阪の本屋、中島徳兵衛(河内屋徳兵衛)について知りたい。
- 回答
-
次の資料に中島徳兵衛(河内屋徳兵衛)についての記述がある。
■『日本書誌学大系 76 近世書林板元総覧 改訂増補』(井上隆明/著 青裳堂書店 1998.2)
p.273に「河内屋徳兵衛 抱玉堂 中島氏」の項目があり、次の記載がある。
「河内屋徳兵衛 抱玉堂 中島氏
大坂心斎橋筋備後町南入(天保五年本)→南久太郎町北入、高麗橋三丁目、錺屋町、升屋町
日本文徳天皇実録 寛政8
間合早学問 文久3
明治十年鎮西征討録(楢崎隆存)明治10」
「凡例」(p.45-46)によると、記載内容の「順は書林板元名、堂号、本姓(または雅号)、所在」で、所在の「移転は→印で示す」とある。また、「刊行物は知りうるかぎり最初と最終と目される刊行物を選び、店の営業期間を測れるように努めた。ただし、最初の刊行物が後印本のおそれあるときは、次に最も古いと思われる刊行物を記入した。この場合、三冊並記となった。」と記載されている。
■長友千代治「『享保以後 大阪出版書籍目録』書肆索引」『大阪府立図書館紀要 第2号』(大阪府立図書館/編集 大阪府立図書館 1966.3)p.90-176
p.123に「河内屋徳兵衛」の項目があり、次の記述がある。
「河内屋徳兵衛
天明二年八月-天保五年九月、錺屋町、升屋町。
大黒天神像考(1)一一九
古能花帖(1)二五五(売弘)
女訓浪花名所(1)二六〇
春草堂詩鈔(4)二六〇(売弘)」
凡例(p.91)には、「書肆には、板元としてみえる期間、即ちその初出と最終の年月を記し、その間の住所を示すものは、年代順にすべて掲げた」とある。また、出版書名の下の数字の意味については、「出版書名の下の、○の中の数字[上記引用では()で表記]は、冊数である。」「冊数の下の和数字は、『享保以後 大阪出版書籍目録』の頁数である。」とある。
■『上方の研究 第4巻』(宮本又次/編著 清文堂出版 1976.8)
宮本又次著「大阪の出版業と出版文化の変遷」(p.145-174)の「七 書林の系統」の章(p.159-162)に、河内屋についての記述があり、その一統として「徳兵衛(中島氏)」との記載がある。(p.159-160)
また、明治期についても、「江戸時代からつづく諸流としては、河内屋の本家、北久太郎町の河喜こと柳原喜兵衛、<中略>唐物町河徳=中島徳兵衛<中略>などがあった。」とある(p.161)。
■坂本宗子「近世後期大坂本屋仲間における別家衆の動向:河内屋一統を中心に」『大阪の歴史 57』(大阪市史編纂所 大阪市史料調査会 2001.4)p.21-59
p.34-35に「表3 柳原家河内屋喜兵衛系譜」が掲載されており、「三代 [生没年] 文化九生?-嘉永四・五・七没(四〇歳?)」の箇所の「別家」の欄に10人の名前が記されており、その中に「[河内屋]徳兵衛」の記載がある。
また、p.38の「表4 河内屋本家別家一覧(明治元年調)」に、本家の「河内屋喜兵衛」から別家の「儀助」が出て、そこから「又別家」として「徳兵衛」が出ているように記載されている。その「徳兵衛」の欄には「営業期間 文政11別家加入-明治」「主営業地 升屋町」「開板願数 1」「所有板株数 寛政2調 1 文化9調 25」とあり、「行司」欄は空欄となっている。
また、p.45-56には、「河内屋家號本家別家一統申合條目」に慶応二年と明治十三年の文書の翻刻が掲載されている。それぞれの末尾に本家や別家の署名が載っているが、慶応分には「二代目 河内屋徳兵衛」、明治分には「中島 二代 河内屋徳兵衛」とあり、当時「河内屋徳兵衛」は二代目であったことが分かる。
●『国史大辞典 2』(国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1980.7)
p.583「大阪新聞」の項目に、「(一)明治五年(一八七二)三月創刊。当時の大阪府権知事渡辺昇が外務課長加藤祐一に命じ、千円の補助を与え書籍会社の柳原喜兵衛・前川善兵衛・吉岡平助・中島徳兵衛・島村専助・村上勘兵衛らに経営させた大阪府後援の新聞。」とある。
●『大阪の錦絵新聞』(土屋礼子/著 三元社 1995.12)
p.38に「ようやくある程度新聞が長続きするようになった最初は、明治五年三月創刊の『大阪新聞』である。<中略>「書籍会社」から発行された(『商業資料』)。この「書籍会社」というのは、主に大阪府の布達や学校関係の印刷を請け負った出版所で、大阪の書籍商(柳原喜兵衛、浅井吉兵衛、前川善兵衛、森本太助。この他に吉岡平助、中島徳兵衛も関与したらしい)と京都の書籍商(村上勘兵衛、島林専助)が、社員として印刷と売りさばきに当たった。」とある。
[事例作成日:2021年1月23日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 出版 (023 10版)
- 参考資料
-
- 日本書誌学大系 76 青裳堂書店 1998.2 (273)
- 大阪府立図書館紀要 第2号 大阪府立図書館∥編集 大阪府立図書館 1966 (123)
- 上方の研究 第4巻 宮本/又次∥編著 清文堂出版 1976 (159-162)
- 大阪の歴史 大阪市史編纂所 大阪市史料調査会 57
- 国史大辞典 2 国史大辞典編集委員会∥編 吉川弘文館 1980.7 (583)
- 大阪の錦絵新聞 土屋/礼子∥著 三元社 1995.12 (38)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 大阪,人物・団体
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000293670