レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年12月23日
- 登録日時
- 2019/12/23 12:26
- 更新日時
- 2019/12/23 12:27
- 管理番号
- 宮城県白石高-2019-11
- 質問
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解決
ロダンの作品の「考える人」は何を考えているのか?
- 回答
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あまり考えていないのかもしれません。「考える人」について多くの記述を見つけましたが,何かを考えているという記述は見つかりませんでした。
詳しくは参考資料をご覧ください。
- 回答プロセス
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まず,本校所蔵の美術全集に掲載されている解説について調べてみました。
その中でも調査資料1のp282-291には「オーギュスト・ロダン」の項があり,「≪地獄の門≫をめぐって」という部分には以下の記述があります。
「(前略)これは未完のままの公表であり,その後特定の群像や小品を付加あるいは削除するという修正があったにしても,ロダンの死にいたるまで作品は完成せず,したがって鋳造されることもなかった。(中略)そうした作業のくり返しで門扉が少しずつ完成に近づく一方では,≪考える人≫の単独像の巨大化が計られたり,≪接吻≫が独立の群像となって大衆的な名声を獲得したりする。」
次に,ロダンそのものの人物像について解説された資料をいくつか調査し,関連する記述がないか調べました。
「考える人」については調査資料2のp1733にロダンの項があり,以下の記述がありました。
「(前略)<考える人,1904〉〈歩む人,1907〉〈クレマンソー,1913〉をはじめ多数の作品を遺し,同地で歿.彼は中世ゴシック彫刻家にならって,彫刻と建築を組み合わせようとし,これら多くの彫刻は未完の〈地獄の門〉にとりつけられる予定であった.その作風は鋭い写実の技法を駆使して,人間のあらゆる喜怒哀楽の感情,内面にこもる生命の躍動を表現しようとし,近代彫刻に新しい方向を与え,世界的に多大の影響を与えた.」
また,インターネットによる検索では調査資料3のコトバンクに以下の記述がありました。
「フランスの彫刻家ロダンの代表作の一つ。1880年に装飾美術陳列館のための正面大扉の制作をフランス政府から依頼されたロダンは、ダンテの『神曲・地獄編』に想を求めて『地獄の門』を制作することとし、その中央上部欄間に設置する要(かなめ)の像としてこの作品を構想した。したがって『考える人』は、地を見下ろし瞑想(めいそう)しているダンテを象徴した像であり、もともとは「詩人」と題するつもりでいた。しかし、たまたま鋳造家がかってによんでいた名称が、今日では通称となっている。1888年に、『地獄の門』とは独立した作品として大きくつくられ、1904年のサロンに出品されてから有名になった。のちに大小4種類の『考える人』がつくられた。東京の国立西洋美術館に収蔵されているのは、なかでももっとも大きな作品(高さ186センチメートル)の一つであり、そのほか京都国立博物館をはじめ、世界各地に大きさの異なる作品がいくつか散在している。」
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
- 事前調査事項
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単独で製作されたものではないことは,インターネットで調べて判った。
- NDC
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- 叢書.全集.選集 (708 10版)
- 参考資料
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- 調査資料1 世界美術大全集 23 小学館 1993
- 調査資料2 岩波西洋人名辞典 増補版 岩波書店 1981
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調査資料3 コトバンク 検索ワード「考える人」 (最終アクセス日:2019年11月7日)
https://kotobank.jp/word/%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E4%BA%BA-48492
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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「考える人」の彫刻を鑑賞しているだけではなく,そこにある背景などに目を向けた質問。
諸説ある中ではあるが,明確に何かを考えていたらしい,という説は見つけることができなかった。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 高校生
- 登録番号
- 1000271179