レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 1997/09/10
- 登録日時
- 2004/03/06 19:39
- 更新日時
- 2008/10/16 13:35
- 管理番号
- 97151
- 質問
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解決
南極観測船「しらせ」「ふじ」「そうや」の進水式または竣工式に総理大臣は出席したか。
- 回答
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「そうや」については、①に進水式についての記述があった。出席者については、海上保安庁長官の記述はあったが、総理の名は見当たらなかった。
「しらせ」「ふじ」については、日本鋼管が建造に携ったということで②を見た。
進水の年月が判ったので、更に③④⑤を調べたが、進水・竣工の事実確認は出来たものの、出席者についてふれているものはなかった。名古屋港に「ふじ」を係留し、博物館として南極観測の情報提供をしているとの話を聞く。こちらを紹介。
各広報(「そうや」は海上保安庁、「しらせ」「ふじ」は防衛庁)に尋ねてみることもすすめた。
※補足(2008.10)
「そうや」の読みを持つ船は現在までに3隻存在している。
1938年進水 海軍運送艦「宗谷」(のちに海上保安庁、巡視艦や南極観測船として活躍)
1969年進水 海上自衛隊機雷敷設艦「そうや」
1978年進水 海上保安庁巡視船「そうや」
この質問と回答では、1978年進水の海上保安庁「そうや」を指しているようである。ただし、この「そうや」は南極観測船として使われたことはない。
10年以上前のレファレンスで担当者もいないためはっきりしたことは分からない。質問者が「そうや」も南極観測船だと思って質問したか、担当者が「宗谷」と「そうや」を取り違えて回答したか、どちらかの可能性が高いと思われる。
国士舘大学様よりコメントをいただき、全ての南極観測船、および「そうや」2隻の進水式には、総理大臣が出席していなかったことが分かった。
以下転記。
南極観測に使用された艦船は「宗谷」「ふじ」「しらせ(初代)」の3隻、また今後予定の「しらせ(二代)」が進水後建造中(2008.11竣工予定)の計4隻があります。
「宗谷」は元々ソ連政府の発注による、川南重工により1938年2月16日進水した民需船です。その後海軍に買収され「運送艦」。戦後、復員輸送に従事後、海上保安庁「灯台補給船」となり、1955年「巡視船」転籍、1956年南極観測船となります。
元々民需船ですので進水式に首相を初めとして政府関係者が出席していません。また「灯台補給船」、「南極観測船」としては改造になり、新造船のように「進水式」は行われていません。桜林美佐.奇跡の船「宗谷」.並木書房,2006.に「宗谷」進水式についての記述があり確認できます。
「ふじ」は1965年3月18日、「しらせ(初代)」は1981年12月11日、「しらせ(二代)」は2006年4月16日の進水。艦籍は海上自衛隊ですので、式に 首相が主席する可能性があります。そこで新聞(朝日新聞)で首相の動静を確認しました。
「ふじ」1965年3月18日 (1965.3.19付)首相の動静の記事はありません。社会面にふじ進水式の記事から出席無し。首相佐藤栄作
また佐藤栄作日記.第二巻.朝日新聞社,1998.の該当日とその前後を見ると、国会出席と会合のみの記述のため、「ふじ」の進水式に出席しなかったのは確実と思われます。
「しらせ(初代)」1981年12月11日出席無し。 首相鈴木善幸(1981.12.12記事「動静」)
「しらせ(二代)」2006年4月16日出席無し。 首相小泉純一郎(2006.4.17記事「首相動静」)
これにより「南極観測船」4隻の進水式にいずれも内閣総理大臣の出席はありません。
また「そうや」名の艦船は海上保安庁、海上自衛隊に各1隻あります。ただいずれも「南極観測船」としての任務についていません。
海自「そうや」(機雷敷設艦)は1969年9月30日(首相佐藤栄作)、海保「そうや」は1978年11月22日(首相福田赳夫)にそれぞれ進水。
海自「そうや」について、当日の新聞に首相の動静の詳細な記述はありません。ただラオス首相との会談などがあり、また「佐藤栄作日記第三巻」にも記載がないため出席はないものといっていいと思います。
海保「そうや」は1978.10.1記事「動静」から、式に内閣総理大臣は出席していません。
ちなみに海保「そうや」は「宗谷」解役後、代艦として建造されたもので同じ船ではありません。
尚、艦船のデータは 「naval data base」http://hush.gooside.com/index.html(2008.10.11現在)を参照しました。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 海洋工学.船舶工学 (550 7版)
- 行政 (317 7版)
- 参考資料
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①「わが航跡 -目で見る海上保安史-」(317.77/Ka21) 昭和53年の項(海上保安ニュースNo.194)
②「日本鋼管株式会社七十年史」(550.21/N77)
③「船の科学」(船舶技術協会) Vol.35 No.1他
④「日本海事新聞」(日本海事新聞社)
⑤「ラメール」(日本海事広報協会)
(参)「海上保安庁船艇と航空」(556/To41)
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①「わが航跡 -目で見る海上保安史-」(317.77/Ka21) 昭和53年の項(海上保安ニュースNo.194)
- キーワード
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- 南極観測船
- 進水式
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000000606