レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年12月21日
- 登録日時
- 2014/01/31 15:16
- 更新日時
- 2014/02/14 11:40
- 管理番号
- TWP0017
- 質問
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解決
世界経済フォーラムの評価で、フィリピンは昨年の8位から5位に上がったが、どこが評価されて上がったのか調べたい。ちなみに日本は101位から105位に下がっている。
- 回答
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直接どこが評価されてランクが上がったのかはわからなかった。
- 回答プロセス
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ジェンダー・ギャップ指数は、経済活動の参加と機会、教育、健康と生存、政治への関与、の4つのスコアで順位が決められる。
内閣府の調査によると(『諸外国における政策・方針決定過程への女性の参画に関する調査;ドイツ・フランス・韓国・フィリピン』)、「フィリピンの選挙制度では、議員、知事、市長などを継続できるのは3期まで、それ以上は立候補できない。そのため、3期を全うした男性議員・首長の代わりに、妻、娘など家族の一員が立候補して当選する場合が多い。」ただし、そういう女性たちは女性の地位向上にはあまり関心が高くない。また同調査によると、「フィリピンでは、1986年にはじめて女性大統領が出現したことにより、国の主導で、ジェンダーの主流化政策が進展した。政治分野では、Party List 法によって、最大20%の議席(50議席)が各団体に配分され、女性団体も代表を送り込むことが可能となっている。(中略)行政分野では、女性の公務員比率は40%程度(国39.2%、地方48.7%)であるが、管理職についても、地方機関と政府系公社では40%台と高くなっている。さらにフィリピンで特徴的なことは、民間企業における管理職比率の高さである(2006年、58.1%)。その背景には、女性の進学率の高さなどがあるが、平等に対する意識なども影響していると考えられる。」と結んでいる。
ジェトロのレポートによると、フィリピンは常に同ランキングの上位に入っている「優等生」である。「教育水準も女性のほうが高い。」「ただ、こうしたフィリピン女性の活躍ぶりを高く評価する一方で、ひとつ見逃してはいけない事実があるのではないだろうか。それは女性が女性を支えているという構図である。すなわち、女性の家内労働者(メイド)が、外で働く女性とその家庭を支えているという実態だ。安価な家内労働者を雇える国だからこそ、女性が社会で活躍できるともいえるだろう。」「男女間格差が少ない国という名誉あるランキングの背景にあるのは、女性間格差であるともいえるだろう。」と述べている。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 『フィリピンにおける女性の人権尊重とジェンダー平等』ソブリチャ,キャロリン/著;舘かおる;徐阿貴/編、御茶の水書房、2012年
- 『諸外国における政策・方針決定過程への女性の参画に関する調査;ドイツ・フランス・韓国・フィリピン』内閣府男女共同参画局、2008年
- 『フィリピン(海外研究員レポート)』ジェトロ・アジア経済研究所、2012年1月
- 『男女共同参画白書 平成19年版』内閣府男女共同参画局、2007年
- キーワード
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- ジェンダー・ギャップ指数(世界男女格差指数)
- ダボス会議(世界経済フォーラム)
- 男女共同参画
- ジェンダー・エンパワーメント指数
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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2014年1月28日の日経新聞によれば、米マスターカードがアジア太平洋地域の14カ国・地域で実施した「女性の社会進出度調査」によると、企業管理職の女性登用が突出して多いのはフィリピンとのこと。(ちなみに日本は最下位)その理由として、同国は母系社会で、もともと女性の地位が高い。家族ぐるみで子育てをする習慣があり、日本のように保育園に子どもを入れられないため働けないということが少ない、とのこと。
『男女共同参画白書 平成19年版』によると、フィリピンのジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)は2006年当時世界第45位であり、ジェンダー・ギャップ指数は6位、管理的職業従事者に占める女性の割合は57.8%、賃金水準は男性を100とした場合、96.6である。同時期の日本のGEMは42位であり、ジェンダー・ギャップ指数は79位であった。
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000148745