レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/07/21
- 登録日時
- 2011/04/01 02:00
- 更新日時
- 2011/04/01 02:00
- 管理番号
- H21-109
- 質問
-
解決
江戸時代の浮世絵、月岡芳年(よしとし)作「風俗三十二相 めがさめさう」に"房楊子(ふさようじ)"という両端ともブラシの形状になっている歯ブラシが描かれている。
一方は紅筆として使われていたという説があるが、確実に両端とも歯ブラシとして使われていたとわかる文献はないか?
- 回答
-
両端とも歯ブラシとして使われているということが明確に記されているものは見当たらない
絵図・解説などでそれらしい、又は異なるものとわかる文献を紹介
『観音霊験記 秩父巡礼第24番』 / 埼玉県立図書館デジタルライブラリー(https://www.lib.pref.saitama.jp/stplib_doc/data/d_conts/kicho/gazou/16-2.pdf)
『月岡芳年の世界』 悳俊彦編著 東京書籍 1993 <当館請求記号 721.8/Isa>
→「風俗三十二相 めがさめさう」掲載。解説に歌麿にもこうした作例があるとの記述あり
『歌麿(浮世絵大系5.6)』 集英社 1973 <当館請求記号 721.8E/Zau/5>
『歌麿(浮世絵を読む2)』 朝日新聞社 1998 <当館請求記号 721.8/Asa/2>
→房楊枝の画あり
『ヴィジュアル百科江戸事情 6服飾編』 雄山閣出版 <当館請求記号 210.5/Nhk/6>
→P142 「お歯黒化粧と歯磨き」についてその様子を描いた国貞作の浮世絵(4作)と解説はある。歯ブラシと紅筆の関係については不明確
『歌川国貞 : 美人画を中心に』 静嘉堂文庫 1996 <当館請求記号 721.8/Uta>
→P52の75図、P117~118解説、他カラー図版あり。図10、18、52、58、63
『江戸時代文化 1(雑誌叢書1)』 ゆまに書房 1978年(複製版)
→P9~10 楊子の図、作り方、使用法について説明あり
- 回答プロセス
-
※以下のWeb検索についてlast access日は2010/02/26。
女性文庫ブラウジング
『化粧史文献資料年表』 ポーラ文化研究所 2001 <当館請求記号 女70/Mur>
→P138"壺打の楊子=先端をたたいて房のようにした房楊子、壺屋という店で作った房楊子"とあり。他文献なし
風俗関係書架ブラウジング→なし
歴史関係書架ブラウジング
『江戸時代館』 小学館 2002 <当館請求記号 R210.5/Ois/1>→記述なし
『事典しらべる江戸時代』 柏書房 2001 <当館請求記号 R210.5/Hay>→記述なし
『国史大辞典』 吉川弘文館 <当館請求記号 R210/Kok>→なし
Google画像検索(http://www.google.co.jp/imghp?hl=ja&tab=wi)→片方が紅筆、片方が歯ブラシの画像なし
CiNii(http://ci.nii.ac.jp/)検索
「房楊枝の歯磨き効果について」 『日本歯科医史学会会誌』 14(3)
→房楊枝の持ち方について記述はあったが紅筆として使われていた等記述なし
当初はネットで入手した2枚の絵の載っている資料を見たいとの事だったので、以下の資料を提示
『観音霊験記 秩父巡礼二拾四番白山光智山法泉寺 恋ケ窪の遊女』 広重、国貞作 / 国立国会図書館貴重書画像DB (http://rarebook.ndl.go.jp/pre/servlet/pre_com_menu.jsp)
→印刷できるが、拡大できないため文章が読み取れず。
『観音霊験記 秩父巡礼第24番』 / 埼玉県立図書館デジタルライブラリー(https://www.lib.pref.saitama.jp/stplib_doc/data/d_conts/kicho/gazou/16-2.pdf)
→文章まで判読可能。"此楊枝を用ひふバ…"とあり
『月岡芳年の世界』 悳俊彦編著 東京書籍 1993 <当館請求記号 721.8/Isa>
→「風俗三十二相 めがさめさう」掲載。解説に歌麿にもこうした作例があるとの記述あり
歌麿の資料から房楊子の書かれたものを抽出
『歌麿(浮世絵大系5.6)』 集英社 1973 <当館請求記号 721.8E/Zau/5>
『歌麿(浮世絵を読む2)』 朝日新聞社 1998 <当館請求記号 721.8/Asa/2>
『日本風俗史事典』 弘文堂 1979 <当館請求記号 R382/Nih>
→P528 「歯磨」の項の浮世絵『絵本小倉錦』で歯磨をする女が描かれているが"一端を槌で打ちくだき房のようにした"房楊子
→P667 「楊子」には絵図なし。"一部は化粧道具との組合せで売られた"とあり
『事典しらべる江戸時代』 柏書房 2001 <当館請求記号 R210.5/Hay>
→P73 女が房楊枝で舌かきをする絵にはお歯黒道具が置いてある
→P74 お歯黒道具(お歯黒筆[鉄漿(はぐろ)筆]を含む)写真あり。房楊枝に似ているようにも見えるが筆部分はトリの羽らしい
上記資料の参考文献より
『ヴィジュアル百科江戸事情 6服飾編』 雄山閣出版 <当館請求記号 210.5/Nhk/6>
→P142 「お歯黒化粧と歯磨き」についてその様子を描いた国貞作の浮世絵(4作)と解説はある。歯ブラシと紅筆の関係については不明確
書架をブラウジング
『日本の化粧 : 道具と心模様』 ポーラ文化研究所 1989 <当館請求記号 383.5/Por>
→P26-27に上記図6歯磨きの絵の拡大絵(モノクロ)あり
"紅入り歯みがきを手に房楊子で歯を磨こうとしている"という解説。紅入り歯みがきは袋に入っている市販の歯磨き粉。紅は薬効として使用されているもの。口紅の紅とは別に紅入り
→P31ほか 紅筆で紅を引く絵があるが房楊子などは見られない
→P44 鏡台の"引き出しの中には房楊子"とあり
『江戸・東京学雑誌論文総覧』 大串夏身, 江戸・東京資料研究会編 青弓社 1994 <当館請求記号 R213/Ogu>の「ことば(件名)から探せる研究論文総覧」より
→P549 楊枝店 「江戸の楊子店」 / 樋畑雪湖 『江戸時代文化』 1(1) P7-11 (1927.02)へ
『江戸時代文化 1(雑誌叢書1)』 ゆまに書房 1978年(複製版)
→P9~10 楊子の図と解説あり(4種の楊枝について)。"柳で出来た普通の房楊枝"には"主として婦人用である。"として作り方と使用法あり
『歌川国貞 : 美人画を中心に』 静嘉堂文庫 1996 <当館請求記号 721.8/Uta> カラー図版あり
10図 三ヶ月お仙つぼね見世之図 → 左から5人目の女は歯みがき
P29 18図 集女八景 洞庭秋月 →化粧箱の引出しの中に房楊枝?刷毛部分が赤い
52図 当世美人流光好 (化粧) →右側に房楊枝あり。茶色
58図 今世斗計十二時 巳ノ刻 →歯みがきか?
63図 当世三十弐相 世事がよさ相 →房楊子で舌かき
73図 今風化粧鏡 (鉄漿つけ) →お歯黒の筆
P52 75図 今風化粧鏡 (房楊枝) →房楊子の両端は赤い。一方は房のよう、紅を引いているもう一方は?
→P117~118 解説には"紅入りの歯磨粉の箱を左手に持ち、房楊枝を使っている美人。房楊枝は柳の木を棒状に削り、端を叩いたブラシ様のもので、この美人は今度は逆にして尖った方を使っている。(後略)"とある
Web検索 キーワード"房楊枝"
「房楊枝を使っている浮世絵を紹介します。」 / 歯の資料館 (http://www.geocities.jp/hamigakinorekishi/syasinn.htm)
→房楊枝を使っている浮世絵に両端が房らしいものはあるが解説なし
「title」 / おもしろい歯のはなし (http://www.dentalpark.net/etc_hana_02.html)
→歯を磨く娘の画あり。両端が房にみえる。解説なし(画の出典 中原泉監修 『浮世絵に見る歯科風俗史』 医歯薬出版 1978)
「歯みがきの習慣は仏教と共に中国から伝わった」 / 歯の博物館(神奈川県歯科医師会)
(http://www.dent-kng.or.jp/chishiki/museum/hakubutukan/hamigakisyu/hamisyu1.htm)
→「歯ブラシの元祖、江戸時代の"房楊枝"」に房楊枝の写真あり
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本画 (721 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 房楊枝
- 房楊子
- 歯ブラシ
- 歯みがき
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 教職員
- 登録番号
- 1000083685