①恋人の名前を体に彫る男性の事例について
【前提として】
日本国語大辞典(データベース「ジャパンナレッジ」)によると、恋人の名前を刺青で彫る行為をさす日本語として、“起誓彫り”や“いれぼくろ”という言葉があります。
"いれ‐ずみ【入墨・黥・刺青】", 日本国語大辞典, JapanKnowledge,
https://japanknowledge.com , (参照 2019-06-04)
【男性が彫った事例】
ほとんどが遊女など、女性が彫る事例でしたが、以下の資料には男性が彫ったということが書かれていました。
〇『江戸っ子』三田村鳶魚(1933年)
*国立国会図書館デジタルコレクション インターネット公開
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1181053 【最終アクセス2019/06/04】
p.95-98「思ふ女の紋所」という章があり、いれぼくろの風習について書いています。その最後の方で中元・馬方・船頭などが遊女の紋所や名前などを彫ってそれを伊達にしたという記述があります。
前後の章でもいれぼくろについて触れられていますので、ご確認ください。
〇『文身百姿』玉林繁 (1936年) *Google Booksで無料公開
https://books.google.co.jp/books?id=dhHlLVqva6MC 【最終アクセス2019/06/04】
p.13から「起請彫と恋愛彫」という章があり、この風習について詳しく書かれています。男性が彫った事例として、衆道のいれぼくろについても書かれています。
〇『日本刺青論』松田修(1989年)
p.139から「愛と刺青」という章があります。
〇『いれずみの文化誌』小野友道(2010年)
p.39から「第七話 入れぼくろ」という章があります。
また、明治以降の事例ですが、p.110からの「第十九話 永井荷風のいれずみ」で、荷風が芸者の名前の刺青を入れていたことが書かれています。
〇『風俗研究』34 (1933年)
「剳青の史的研究」という論文が掲載されています。この論文のp.6から「入ぼくろ」について触れています。
〇『繪本大和錦』西川祐信 (1776年)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/chi05/chi05_04428/chi05_04428_p0024.jpg 【最終アクセス2019/06/04】
女性が男性に「入ぼくろ」を入れる絵が描かれています。
②役者の家に女性が押し掛けた事例について
本学所蔵の資料では事例を見つけることができませんでしたが、以下の資料に掲載があります。
他大学図書館が所蔵されているため、現物の借用は可能です。
『江戸の芸者(中公文庫)』陳奮館主人著(1989年)
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN0891804X 【最終アクセス2019/06/04】
おいよという女性が歌舞伎役者瀬川路考の押しかけ女房になったというエピソードが書かれています。
*内容は立命館大学図書館の方にご確認いただきました。