レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年05月27日
- 登録日時
- 2018/03/15 15:58
- 更新日時
- 2018/09/05 11:36
- 管理番号
- 関大総図 17A-15J
- 質問
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解決
夏目漱石『明暗』について
①33章で出てくる「爪先を厚く四角に拵えたいかつい亜米利加型の靴」とはどんな靴か
②40章で出てくる「西洋洗濯屋」とはどのようなものか
- 回答
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①亜米利加型の靴について
『はきごこち 暮らしのなかの靴』によると、1890年にはアメリカから流行の靴型が輸入され、爪先型(爪先部分を盛り上げて芯の代わりとし、スタイルを保つ方法)の紳士靴が機械生産されていたようで、爪先型の種類にも四角から先が尖ったものまで各種あったようです(pp.24-25参照)。
上記と『明暗』の記述「爪先を厚く四角に拵えた」や「亜米利加型」から、該当の靴はアメリカで流行の爪先型の紳士靴ではないかと考えられます。
参考になる絵として、1915(大正4)年5月25日の朝日新聞(東京)朝刊7頁、「最新流行 米國形」紳士靴の広告があります。
②西洋洗濯屋について
『世界大百科事典』第16巻の「洗濯」によれば、現在のクリーニング業のような形の洗濯業者を<西洋洗濯>と呼び、東京では明治元年に神田で西洋洗濯屋がはじまったそうです(p.143)。また、『上京して成功し得るまで』(福田弥栄吉 編、東京生活堂、大正6年)(国会図書館デジタルコレクションにてインターネット公開)には、「西洋洗濯屋」の項目があり、説明から、現代で言うクリーニング屋を指していると考えられます(pp.40-41)。『舶来事物起原事典』にも、「クリーニング」の項目に西洋洗濯について記述があります(pp.101-102)。
また、『明暗』と「西洋洗濯屋」を扱った論考には、田中邦夫「『明暗』における「自然物」と「西洋洗濯屋の風景」―禅的世界観と漱石の『明暗』執筆態度との繋がり―」『大阪経大論集』 52(4), pp.364-333があります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (913)
- その他の雑工業 (589)
- 染色加工.染色業 (587)
- 参考資料
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- 大塚斌著. はきごこち : 暮らしのなかの靴. 築地書館, 1991. , ISBN 4806756989 (当館請求記号 *589.2*O881*1, 当館資料番号 303125781)
- 世界大百科事典 16巻 [2007年] 改訂新版. 平凡社, 2007. (当館請求記号 N8R*031*7*16, 当館資料番号 210526041)
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福田弥栄吉編. 上京して成功し得るまで. 東京生活堂, 1917.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/958179 【最終アクセス2018/7/16】 - 富田仁著. 舶来事物起原事典. 名著普及会, 1987. , ISBN 4895513122 (当館請求記号 R*031.4*T1*1, 当館資料番号 203524560)
- 田中 邦夫. "『明暗』における「自然物」と「西洋洗濯屋の風景」 -禅的世界観と漱石の『明暗』執筆態度との繋がり-". 大阪経済大学, 2001-11-15. 大阪經大論集 52(4) p.364-333, ISSN 04747909 (当館請求記号 M*330.5*O6, 当館資料番号 208532064)
- キーワード
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- 夏目, 漱石, 1867-1916
- 『明暗』
- 靴
- クリーニング
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 大学院生
- 登録番号
- 1000232561