レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年12月21日
- 登録日時
- 2016/03/16 16:46
- 更新日時
- 2016/06/30 13:40
- 管理番号
- ASN2015-22
- 質問
-
解決
明治時代の大学病院の位置づけについて知りたい。
【利用者に補足で確認した内容】
・大学病院はどういう法律により建てられているのか(一般の病院とは違うはず)について知りたい。
・どういう人が利用していたのかについて知りたい。
・時代背景として「昔は大学も一部の人しか行くことが出来なかった敷居が高いイメージがある。
同じ"大学"という名前がついているのでやはり特別な感じだったのではないかということも知りたい。
【関連質問】
ASN2015-15 「春星会」の意味が知りたい。
ASN2015-16 「成珠者」の意味が知りたい。
ASN2015-17 「月並会」の意味が知りたい。
ASN2015-18 川上眉山と春星会の関係性と具体的な活動内容がわかる資料がみたい。
ASN2015-19 山岸荷葉と成珠会の関係性と具体的な活動内容がわかる資料がみたい。
ASN2015-20 月並会→二五日会→万丈会(ばんじょうかい)→藻社。
これらについて具体的な活動を知ることができる資料が知りたい。
あるいはこれらの会の内容について知りたい。
ASN2015-21 尾崎紅葉の作品で大学病院が出てくる作品を知りたい。
- 回答
-
回答プロセスを参照。
- 回答プロセス
-
1.レファレンス資料で探す
1-1.【★1】『JapanKnowledge』【契約データベース】
<キーワード:大学病院> ※見出し検索
「だいがく‐びょういん[:ビャウヰン]【大学病院】」(『日本国語大辞典』収録)
"医学関係の大学または医学部のある大学に付属して設置されている病院。"
1-2.レファレンス資料の棚をブラウジング(日本史(分類:21*))
【★2】『明治時代史大辞典』第3巻
p.238「病院」
"一定数以上の患者を収容・治療する医療施設。(中略)七年八月制定の医制は、官立病院は医学校
所属のものに限り、院長(医術開業免状所持者に限定)・当直医など所要の従事者を置くこと、公私
立病院開業は国の許可制と規定した。(以下略)"
→参考文献:厚生省医務局編『医制百年史』(ぎょうせい 1976.9 490/KO83/*)
⇒ 本学では星が丘図書館で所蔵。記述編、資料編、付録の3冊で構成。
【★3】『明治時代史大辞典』第1巻
p.91「医学教育」
"東京では、維新後は医学校・大学東校・東京医学校(のち東京大学医学部)などに受け継がれる。(中略)
地域の公立医学校では、明治十五年(一八八二)五月の医学校通則公布以後、帝大出身者を雇用して"
p.92「医学校」
"明治七年(一八七四)八月発布のわが国の総合的衛生制度の「医制」は、医学教育にまで及んでおり、
医学校の項目が第一二条から第二六条まである。(中略)第一二条に「各大学区ニ医学校一所を置キ
病院ヲ属ス」とあり、当分は東京と長崎に設置するとした。"
"医学校設立、医学教育に大きな影響を与えたものは、同十五年(一八八二)の太政官布達第四号と
それに基づく医学校通則の公布であり、"
などの記述がある。
2.本学所蔵資料を探す
2-1.本学OPAC
<キーワード:大学病院 医学 歴史 など>
・【★4】『明治医事往来』
p.100 "西洋医学を修得した医師は五人に一人もいない。あとのほとんどは「傷寒論」を読んだ
だけで医師になったような漢方医、あるいは字もろくに書けない藪医たちであった。
はたせるかな、翌明治八年二月二十五日の『あけぼの新聞』に、この文部省調査の医師
数を掲げ、「千人に一人の医師」という見出しで、医政を憂える記事がのった"
p.101 "大学医院は多分世人が想像するが如く、日本第一の医博士が集まり居る所なるべし"
"其の先生教師に診て貰はんと望む患者は非常の数にて、同院の頑固に定めて動かざる
一日二十人限り診療と云ふ定員の内に加はらんと、日々門前へ駈け集まりて早く其の
許可札を得んと犇めく有様は驚くばかりにて"
p.258 "啄木の右側のベットには「胃病やみの電車の運転士」、左側は「心臓の悪い田舎の爺さん」
がいた。"
→石川啄木が大学病院青山内科に入院した際に記した日記に記載あり。
・【★5】『日本医療史』
p.234 "病院は、明治政府が推進した西洋医学の導入による医療近代化の重要な舞台となった。"
"一八六八(明治元)年四月に横浜に設けられた軍陣病院は、七月には東京に移され、新政府
によって再編された医学所と合わせて大病院と呼ばれた。翌年には医学校兼病院になり、さら
に医学校が大学東校へ改称されると、病院は付属病院として位置づけられた。"
p.237 "医者にかかることが「贅沢」であった時代に、一般の人々が接した医療者の中には、国家資格
をもつ医師以外の人びとが多く含まれていた。"
p.250 "こうした民間の動きとは別に、東京大学が一八七七年に発足した際、医学部付属病院に施療
患者制度が作られた。趣意書には「貧困にしてその病症学術研究上、殊に須要と認むる者を
無料入院せしめ、治療を施すものとす」と記され、「施療」の目的が、医学研究のための患者
確保にあったことがわかる。"
・【★6】『病が語る日本史』
p.252 "明治三年には、東京大学の前身、東校に、ドイツから教師を迎えて、本格的な医学教育を始め
ることが決定された。"
・【★7】『東京大学の歴史:大学制度の先駆け』
p.187 "医師免許制度が整うとともに各地に設けられていた医学校の整備が進んだ。"
p.188 "明治維新から15年目には、東京大学の医学部は全国の医学教育をリードする地位を許される
までになっていたのである"
・【★8】『医学生とその時代:東京大学医学部卒業アルバムにみる日本近代医学の歩み:東京大学医学部・
医学部附属病院創立150周年記念』
p.13 "医学校兼病院は〔明治2年〕五月十日、学校(昌平学校)の管轄に入り、さらに六月十五日、
大学校の一分局としての医学校になった。"
"「医理ヲ明ニシ、薬性ヲ審ニシ、以テ健康ヲ保全シ、病院ヲ設ケ、患者ヲ療シ、実験ノ究ルヲ要トス」
とその目的が明示され、臨床的見地に立つ病院付設の必要が初めて説かれたのである"
・【★9】『医学の歴史』
p.305 "戊辰戦争後、ウィリスは東京の大病院(後の医学校兼病院)つまりは将来、東京大学になるべき
所で、一ヵ年医療と医学教育に携わる契約を結んだ"
・【★10】『大学の誕生(上) : 帝国大学の時代』
p.20「本校・南校・東校」
3.Web情報から探す
3-1.【★11】『文部科学省』
トップ > 白書・統計・出版物 > 白書 > 学制百年史 > 「一 明治初期の高等教育」
→医学校について記載あり。
3-2.【★12】『東京大学医学部附属病院』
ホーム > 東大病院について > 沿革
→東京大学医学部附属病院の歴史を掲載。東京大学医学部附属病院の前身が医学校であることがわかる。
以上
<Web最終確認日:2015/12/24>
- 事前調査事項
- NDC
-
- 医学.薬学 (49 9版)
- 日本史 (21 9版)
- 大学.高等.専門教育.学術行政 (377 9版)
- 参考資料
-
- 【★1】契約DB『JapanKnowledge(ジャパンナレッジ)』(百科事典・辞書・ニュース・学術サイトURL集などを検索可能)
-
【★2】宮地正人, 佐藤能丸, 櫻井良樹 編 , 宮地, 正人, 1944- , 佐藤, 能丸, 1943- , 桜井, 良樹, 1957-. 明治時代史大辞典 3 (に~わ). 吉川弘文館, 2013.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024193515-00 , ISBN 9784642014632 (当館請求記号:2106/MI71-1/3) -
【★3】宮地正人, 佐藤能丸, 櫻井良樹 編 , 宮地, 正人, 1944- , 佐藤, 能丸, 1943- , 桜井, 良樹, 1957-. 明治時代史大辞典 第1巻 (あ~こ). 吉川弘文館, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023157334-00 , ISBN 9784642014618 (当館請求記号:2106/MI71-1/1) -
【★4】立川昭二 [著] , 立川, 昭二, 1927-. 明治医事往来. 講談社, 2013. (講談社学術文庫 ; 2205)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024959505-00 , ISBN 9784062922050 (当館請求記号:コウダンガク/2205) -
【★5】新村拓 編 , 新村, 拓, 1946-. 日本医療史. 吉川弘文館, 2006.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008248056-00 , ISBN 4642079602 (当館請求記号:4902/SH64) -
【★6】酒井シヅ [著] , 酒井, シヅ, 1935-. 病が語る日本史. 講談社, 2008. (講談社学術文庫)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009436107-00 , ISBN 9784061598867 (当館請求記号:コウダンガク/1886) -
【★7】寺崎昌男 [著] , 寺崎, 昌男, 1932-. 東京大学の歴史 : 大学制度の先駆け. 講談社, 2007. (講談社学術文庫)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008416070-00 , ISBN 9784061597990 (当館請求記号:コウダンガク/1799) -
【★8】東京大学医学部・医学部附属病院創立150周年記念アルバム編集委員会 編 , 東京大学医学部 , 東京大学医学部附属病院. 医学生とその時代 : 東京大学医学部卒業アルバムにみる日本近代医学の歩み. 中央公論新社, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009373380-00 , ISBN 9784120039324 (当館請求記号:37728/TO462-9) -
【★9】梶田昭 [著] , 梶田, 昭, 1922-2001. 医学の歴史. 講談社, 2003. (講談社学術文庫)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004231090-00 , ISBN 4061596144 (当館請求記号:コウダンガク/1614) -
【★10】天野郁夫 著 , 天野, 郁夫, 1936-. 大学の誕生 上 (帝国大学の時代). 中央公論新社, 2009. (中公新書 ; 2004)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010248105-00 , ISBN 9784121020048 (当館請求記号:チュウコウシン/2004) - 【★11】『文部科学省』<http://www.mext.go.jp/>(文部科学省のホームページ。「学校基本調査」など文部科学省と文化庁による統計の最新データ、『文部科学白書』『教育白書』などを閲覧できる。)
- 【★12】『東京大学医学部附属病院』<http://www.h.u-tokyo.ac.jp/index.html>(東京大学医学部附属病院のホームページ。沿革などを掲載。)
- キーワード
-
- 大学病院
- 明治時代
- 医学校
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 歴史
- 質問者区分
- 教員
- 登録番号
- 1000189377