レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年11月17日
- 登録日時
- 2016/11/22 15:19
- 更新日時
- 2016/12/23 14:29
- 管理番号
- 日進16R-28
- 質問
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解決
『続日本紀』の天平7年4月辛亥条にて吉備真備が唐より持ち帰ってきたと書かれている「測影鉄尺」とは何か。
- 回答
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測影鉄尺(圭表、ノーモン)
→高さ八尺程の鉄の棒。地上に垂直に立てて正午に投げる影の長さを計測し、
冬至の日時を定めるために用いられたもの。
→圭表とは、長い棒で地面に立てて影を測り太陽の高度や南中時間などを
調べる天体観測用の道具。
- 回答プロセス
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※( )内は当館請求記号
質問者に見せて頂いた授業のプリントに吉備真備がもたらしたとの記述があった。自館OPACで"吉備 真備"と
検索。『吉備真備』(281/068/[55])p.31に記載あり。天文学に利用したものか?との事。天文学という事で
自館OPACで"暦"と検索。ヒット数が多かったため、請求記号449.8辺りの棚を探し、以下の図書を見つけた。
『日本史を学ぶための<古代の暦>入門』(449.8/038)p.117~吉備真備の内容。p.119に鉄尺の記載あり。
『日本暦日原典』(449.8/08)→☓
『旧暦で読み解く日本の習わし』(449.3/013)p.175に記載はあるが宗教文化学科の所蔵。
自館所蔵分ではこれ以上分からなかったため、インターネットで"測影鉄尺"と検索する。
『暦はエレガントな科学: 二十四節気と日本人』に載っているとの情報を得たが、現物を確認できず。
また、愛知県図書館で『暦を知る事典』を発見。p.54-55に冬至の決定に関するものとの記述あり。
- 事前調査事項
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『続日本紀』天平7年(735)4月辛亥(26日)条に記載あり。授業用プリントのコピーを頂いた。
- NDC
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- 時法.暦学 (449 7版)
- 日本 (281 7版)
- 参考資料
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- 『吉備真備』宮田俊彦著/吉川弘文館/1988/(281/068/[55])p.31(AJ94010728)
- 『日本史を学ぶための<古代の暦>入門』細井浩志著/吉川弘文館/2014/(449.8/038)(AJ97104719)
- キーワード
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- 暦
- 吉備真備
- 測影鉄尺
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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測影鉄尺とは何か
吉備真備が遣唐使として留学をした際に持って帰ってきた物。
『人物叢書 吉備真備』では"『文献通考』に開皇官尺即ち一尺五寸、とある。或いは天文関係の用具で
あろうか"とある。(p.31)
この後には何に使用するものかなどの記述はなく、同時に持ち帰ってきた『大衍暦』に使用するものなの
ではないかというところでとまっている。
『旧暦で読み解く日本の習わし』では影を測る鉄の尺と振り仮名を振られており、"長さ八尺の鉄の棒で
地上に垂直に立て正午に投げる影の長さを計測し、冬至の日時を定める為に用いられたもの"とある。(p.175)
『暦を知る事典』では"冬至の日時を定めるなどの目的で使用されるもの"とある。(p.54,55)大衍暦に
関する表や書物とともに持ち帰られている為、日時計の棒と同じようなものと考えられる。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 開放講座
- 登録番号
- 1000200276