レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年08月06日
- 登録日時
- 2012/08/06 13:42
- 更新日時
- 2013/11/15 17:07
- 管理番号
- 20120806-1
- 質問
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解決
最も長生きした動物を調べています。
- 回答
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2007年10月にイギリスのバンゴー大学の研究者により明らかになったことですが、大西洋のアイスランド沖海底から引き揚げられたアイスランド貝(Arctica islandica)が、405~410年あまりも長く生きていたことが調査でわかっています。この記録は世界記録で有名なギネスブックにも登録されています。
○ ギネス・ワールド・レコード 「最も古い軟体動物」 : Oldest Mollusc. 2007-10-28 (資料6)
(http://www.guinnessworldrecords.com/records-1000/oldest-mollusc/ last_access:2012-11-15)
しかし、その後の2013年の同大学の追加調査でその記録はさらに100年も引き上げられ、最長のものは507歳であったことがこのほど判明しニュースとなりました(資料7 2013-11-15)。
- 回答プロセス
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【一般の方からメールによる以下の参考質問を頂きました】
「最も長生きした動物を調べています。娘(小3)の質問がきっかけで調べ始めたのですが、インターネット上の『らばQキュー』というHPに長生きする動物が載っているのですが、これらの情報の裏をとれないかと思っていますが、可能でしょうか。貝のギネスレコードは220歳とこのHP上にあるのですが、ギネスレコードを図書館で確認することはできますか。また、大学の研究チームの発表した記事などはどのように検索したらいいのでしょうか。
調べたいと思っているのは、たとえば、長寿命のカメの推定年齢がどのように算出されたのかなどの研究結果のようなものを閲覧できないかと思っています。うまく説明ができないのですが、よろしくお願いします。」
【以下回答のプロセスについて】
◆ まず大学が契約しているいくつかの新聞記事データベースを使い、既知の情報の中から「二枚貝」と「長寿」or「長生き」のキーワードを選んで記事検索をかけます。すると以下のような記事が見つけられます。
○ 大西洋海底から二枚貝採集 大往生、史上最長寿405年 英チーム、肉はがし年齢調べ
・2007-10-29. 朝日新聞 夕刊.2社会面.p.16.
・・・・・引用ここから
【ロンドン=大野博人】大西洋のアイスランド沖海底から引き揚げられた二枚貝が400年あまりも生きていたことが明らかになった。これまで知られている動物の中で最も長生きとみられる。英バンゴー大学が28日、ウェブサイトで明らかにした=写真、英紙デーリー・テレグラフのウェブサイトから。
この貝は大きさが約8.6センチ。昨年、同大学の研究チームが採集した中にあった。貝殻は、温かくエサのプランクトンが豊富な夏場に成長するため木の年輪のように1年ごとに層ができる。それを顕微鏡で数えたところ、年齢は405年から410年の間で、これまで最長とされていた二枚貝よりさらに約30年長いという。
研究チームは「この貝が若いころ、英国ではシェークスピアが『マクベス』や『ハムレット』を書いていたのだ」と、長寿ぶりをたたえた。採集時は生きていたが、年齢を調べる時に肉をはがしたため、偉大な生涯を終えたという。
研究者の一人は「何もしない静かで安全な暮らしだったから長生きできたのだろう。恐ろしく退屈な一生だったはずだ」とコメントしている。
・・・・・引用おわり
○ 英国:400年生きた、二枚貝を発見--アイスランド沖.毎日新聞.2007-10-31.朝刊.社会面.p.31.
○ 動物最長寿 400歳の貝見つかる/アイスランド沖.読売新聞.2007-10-30.夕刊.18p.
○ 〔編集手帳〕動物の最長寿「貝尊」.読売新聞.2007-11-02.朝刊.一面.
◆ 次に上記記事には、英バンゴー大学のウェブサイトで明らかにされたとあるので、Googleで英国の Bangor Uni.を探し、その中の該当するニュース記事を探します。キーワードは「Clam(二枚貝)」。その他にも「longest animal lifespan」「longest -living」「logest-lived」「world's oldest animal」などのキーワードを使って、Google検索をかけると海外メディアでもこの重要な発見について取り上げた記事を多数みつけることができます。
また学名の "Arctica Clam" や "islandic clam"、"quahog clam" などの名称から wikipedia の記事のリンクを辿って詳細記事を見つけることもできます。
・400 year old Clam Found. Bangor University Website(バンゴー大学ウェブサイト). 2007-10-28.
(http://www.bangor.ac.uk/research/fullnews.php.en?Id=382 参照 2012-08-03)
・Jhon Roach. 405-Year-Old Clam Called Longest-Lived Animal. National Geographic News. 2007-10-29.
(http://news.nationalgeographic.com/news/2007/10/071029-oldest-clam.html 参照 2012-08-03)
・Longest Living Animal? Clam - 400 Years Old - Found In Icelandic Waters.ScienceDialy. 2007-10-28
(http://www.sciencedaily.com/releases/2007/10/071028100032.htm 参照 2012-08-03)
「(部分抄訳)ギネスブックの記録によると、現存する長寿動物の記録は、1982年にアメリカ水域で採取された220歳の二枚貝である。また非公式の記録として博物館で見つかった374歳のアイスランド二枚貝がある。いずれの記録も最新の標本の前では影が薄くなってしまう。それは推定405~410歳の間で、貝殻に一年ごとに成長が刻まれる線を数えることによって評価されている。」
「…specimen, whose age, between 405 and 410 years, has been assessed by counting the annual growth lines in the shell.」とありますのでこの貝の年齢は、木の年輪のように殻のスジを数えて算出するようです。
【補記】 この2007年の調査では最長寿の貝は上記のように 405年~410年という報告でしたが、2013年の同大学の追加調査で最長寿は 507歳であることが明らかになりました。(資料7)
「Preliminary analysis of the longest-lived clam by academics found it to be between 405 and 410 years. Recent further study of this clam, however, has revealed that it is 507 years old.」
◆ また、ギネスレコードは下記の公式ウェブサイトから調べることができます。冊子体としても「ギネス世界記録2012」として刊行されているようですが、本学では所蔵しておりませんので確認できません。ウェブ版の内容を見る限りは、この2007年の発見を反映して既に記録は書き換えられているようです。「Clam」でサーチした結果です。
・ギネス・ワールド・レコード 「最も古い軟体動物」:Oldest Mollusc. 2007-10-28
(http://www.guinnessworldrecords.com/records-1000/oldest-mollusc/ 参照 2012-08-03)
◆ また、亀の年齢算出方法ですが、亀の年齢も甲羅のスジを数えるようですが、はがれることもあるようで正確には測れないそうです。
・「動物大百科12:両性・爬虫類」:本学所蔵 480/D81/12 3階開架 参考図書
*亀の生態・寿命についての説明あり。
・東邦大学生物多様性学習プログラム(BiolTop)に説明あり。「カメの測定、年齢の判定」
(http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/bioltop/exp/j2/j2-kaeru.html#how3 参照 2012-08-03)
- 事前調査事項
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【元になる情報】 もとのメール内容から転載
・『らばQ(キュー) : 地球上で最も長生きする10の動物(2010年10月06日 22:42)』
(http://labaq.com/archives/51509816.html 参照 2012-08-06)
この情報のなかで出てくるアイスランド貝についてネット検索したところ、過去にそのような記事があったようです。
「アイスランドガイ(Arctica islandicaは学名)。 知られている(老死する)動物で 最長の寿命をもつとされている二枚貝。 220年が公式に認められている最長の年齢だったが、 最近、400年の年齢だったと確認された貝殻が発見されたとのことである。」
この記事は、推測ですが、MSN産経ニュース2007年10月30日付けのようなのですが、ネット上では最近の過去記事しか確認できません。 公共図書館のレファレンスサービスも受けましたが、主に図鑑や本に掲載されている長寿命ランキング結果のもでした。
- NDC
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- 軟体動物.貝類学 (484 9版)
- 動物学 (480 9版)
- 水産業 (660 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】.『原色図鑑 続世界の貝』 p.79. 《本学所蔵 484.038//Sh33//(2)》
- 【資料2】.『世界海産貝類大図鑑』 p.372. 《本学所蔵 484.038//Se22》
- 【資料3】.『ものと人間の文化史 貝Ⅲ』 p.798-799. 《本学所蔵 664.7//Sh81//3》
- 【資料4】.『ポプラディア情報館 動物のふしぎ』 p.132~ "哺乳類の寿命" 《本学所蔵無》
- 【資料5】.『トップランキング事典』 p.26~ "生物" 《本学所蔵無》
- 【資料6】.ギネス英語版公式サイト(http://www.guinnessworldrecords.com/ 参照 2012-08-03)
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【資料7】.Bangor Uni. Website : NEWS & EVENTS > Clam found to be over 500 years old (15/11/2013)
(http://www.bangor.ac.uk/news/full.php.en?nid=16781&tnid=0 last_access:2013-11-15)
- キーワード
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- 動物最長寿
- 最長命
- ギネスブック
- guinness world records
- 新発見
- 二枚貝
- 世界記録
- 世界一
- 長寿動物
- Arctica islandica
- Quahog clam
- Methuselahs
- メトセラ
- メトシェラ
- 照会先
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- 質問者による事前のプレ調査は公共図書館でなされた。
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 動物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000109737