レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年12月19日
- 登録日時
- 2018/01/12 15:13
- 更新日時
- 2018/02/07 12:03
- 管理番号
- 2017-4
- 質問
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解決
金毘羅さんのあたりに村上水軍の拠点があったと聞いた。文献的な根拠があるか探したい。金毘羅さんとのかかわりについても知りたい。
- 回答
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A:1.村上水軍の讃岐地方の拠点について
日本史事典の「村上水軍」の項には金毘羅についての手掛かりはなし。
香川県の郷土史・地名に焦点を当てて探した。
①『香川県の歴史』(県史37)/山川出版社
P128 「永正五(一五〇八)年管領となった細川高国は、大内義隆の上洛にさいし警護役をつとめた功績により伊予国能島(のしま)の村上隆勝を塩飽島の代官に任命した。能島村上氏は水軍として著名な三島村上氏であり、その制海権は西は豊後水道から周防灘、東は備前児島までおよんでいた。塩飽浦の人びと-塩飽衆は能島村上氏の配下としてその勢力の一端をになうことになったのである(屋代島村上文書)
塩飽衆は、大内氏の明との貿易に際して警護にあたり、また永正一七年大内氏が朝鮮へ兵船をだしたさいにも加わったという(『南海通記』)」
ここから「塩飽」という地名を特定。以下の地名辞典を調査した。
②「香川県の地名」(日本歴史地名大系38)
p331 丸亀市 塩飽諸島の項
「(前略-)永正年間(1504-21)には村上隆勝が任命されている。(四月一三日「細川高国宛行状」屋代島村上文書)。能島村上氏は大内氏警護衆として活躍していたが、塩飽も抱え込み、永正一七年大内氏が朝鮮へ兵船を出した時には兵船三艘をもって参陣している(南海通記)(-後略-)」
③香川県 ((角川日本地名大辞典37)/角川書店
P432 塩飽島の項
「4月13日の細川高国宛行状(村上文書/愛媛県史資料編)」
p575 那珂郡の項
塩飽水軍についての記述あり、しかし村上氏に関してはふれていないが金比羅についての記述あり。
「近世に盛んとなる金毘羅大権現の中世における状態は、史料不足で明らかにし難い。ただ貞治元年3月18日の新荘(子松荘か)御方預所代官頼景の寄進状に、子松荘松尾寺金毘羅堂免田とあり(地名辞書所収文書)、…後略」「金毘羅へ」という記載のあることなどから、南北朝期子松荘内の松尾寺にあった金毘羅堂が、その後発展したものと推定することができる。」
④(街道の日本史シリーズ45巻)「讃岐と金毘羅道」木原溥幸, 和田仁編吉川弘文館
p83-84 応仁の乱では…(中略)周防の大内義興はこの情勢を見て前将軍義材を擁して上京、之長らと対立していた細川高国と結んで、澄元・之長を阿波に追った。讃岐在国の武士の多くは義興・高国に従い、塩飽水軍も伊予の村上支配下で高国方につくが、…(後略)
大内氏に協力したという記述のある『南海通記』は国会図書館デジタルコレクションで全文が閲覧可能。
p213 豫洲能嶋来由記に記載あり。
*「南海通記」
国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1020201
*レファ協に村上武吉についての事例あり。
<参考文献>『屋代島村上文書』(山口県文書館蔵)の記載あり。
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000151121
『村上家文書』山口公文書館所蔵。
http://archives.pref.yamaguchi.lg.jp/msearch/cls_detail.php?op=search&id=2704&pt=&pg=6
*『村上文書』:山口県立文書肝臓 間宮暁校訂 國學院大学古文書古記録学会, 1976.2
CiNii 東京大学 史料編纂所 図書室に所蔵
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA48518318
国会図書館に所蔵
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=full-set-set&set_number=065720&set_entry=000003&format=999
『愛媛県史 資料編』と出典情報にあるものは巻数が多く特定ができなかった。
「愛媛県史 資料編 古代・中世 付録 所蔵者別文書目録」か?=大阪府立中央図所蔵あり
https://www.library.pref.osaka.jp/licsxp-opac/WOpacTifTilListToTifTilDetailAction.do?returnid=tiles.WTifSchCmpd&gamenid=tiles.WTifTilList&tilcod=10000000537064
(全サイト最終確認:20171219)
2.金毘羅信仰について
②の資料「金刀比羅宮」の項
p314[庶民信仰]「金毘羅大権現が急速に勢力を伸ばした時期は豊臣秀吉による朝鮮出兵、それに続く寛永一六年までの朱印船貿易が盛んに行われた時代である。-(前略)-塩飽船の廻船活動によって全国的な庶民信仰となっていった-(後略)-」
時代は下るが、塩飽衆が金毘羅信仰を広めていたことが判明した。
【参考文献】
『漂海民』 羽原又吉著 岩波新書・緑
塩飽暴動について触れられているp132 秀吉の朝鮮出兵で塩飽衆が活躍した記述あり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 四国地方 (218 9版)
- 日本 (291 9版)
- 参考資料
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木原溥幸 [ほか]. 香川県の歴史 新版. 山川出版社, 1997. (県史 ; 37)
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/BB00139375 (当館請求記号 本館 2F和書 210.08||Ke||37) -
平凡社地方資料センター編. 香川県の地名. 平凡社, 1989. (日本歴史地名大系 38)
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW90019824 (当館請求記号 本館 1F参考(和) 291.03||Ni||38) -
「角川日本地名大辞典」編纂委員会編. 香川県. 角川書店, 1978. (角川日本地名大辞典37)
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW00003735 (当館請求記号 本館 1F参考(和) 291.03||Ka||37) -
羽原又吉. 漂海民. 岩波書店, 1963. (岩波新書 ; 青-504)
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW00049994 (当館請求記号 本館 1F新書 岩波新書青) -
木原溥幸, 和田仁編. 讃岐と金毘羅道. 吉川弘文館, 2001. (街道の日本史 ; 45)
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/BB00452770 (当館請求記号 本館 2F和書 682.1||Ka||45)
-
木原溥幸 [ほか]. 香川県の歴史 新版. 山川出版社, 1997. (県史 ; 37)
- キーワード
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- 村上水軍
- 金毘羅
- 塩飽衆
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000228220