レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年09月18日
- 登録日時
- 2014/09/18 15:30
- 更新日時
- 2015/05/24 17:40
- 管理番号
- 長野市立長野-14-019
- 質問
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未解決
「たらいの水と一緒に赤子を流す」という格言があるが、この言葉はどこからでてきたものなのか。
- 回答
-
『現代英語ことわざ辞典』に
「ドイツの天文学者ケプラー(Johannes Kepler,1571-1630)が初めて用いたとされる。」という記述がありました。
『ドイツ語ことわざ用法辞典』にもこの言葉の掲載がありましたが、どこが初出かについての記載はありませんでした。
ドイツのトーマス・ムルナーの「Narrenbeschwörung(1512年)」が最初であるといった記述がある英語表記のホームページがありましたが、信憑性はわかりません。
これらのことからドイツのことわざなのではと思われますが、裏付けが取れませんでした。
- 回答プロセス
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159や800、388のことわざや格言の資料にあたるが、この言葉が掲載されている資料がみつからない。
インターネットで検索したところ、「アメリカのことわざ」や「チェコのことわざ」といった文章が見受けられるが、信憑性がない。
英語訳すると「Don't throw the baby out with the bath water.」になるというページを見つけたので、この英語をそのまま検索してみる。
http://www.phrases.org.uk/meanings/dont-throw-the-baby-out-with-the-bathwater.html <最終確認:2014年9月18日>
http://en.wikipedia.org/wiki/Throw_out_the_baby_with_the_bath_water <最終確認:2014年9月18日>
といった英語のページにヒットする。
翻訳機能を使って読む限りでは、トーマス・ムルナーという人が1512年に書いた「Narrenbeschwörung」という文献に初めて出てくる、といった内容のことが記載されていたが、信憑性があるものなのかわからない。
『現代英語ことわざ辞典』を調べたところ、p312に
「Don't throw the baby out with the bathwater. 盥のお湯といっしょに赤ん坊を捨てるな」
という項目あり。
「ドイツの天文学者ケプラー(Johannes Kepler,1571-1630)が初めて用いたとされる。」という記載もあり。
英語の文献に始めて現れたのは1853年。
ケプラーに関する文献にあたるが、該当の文章を見つけることはできなかった。
【参照した文献】
『ヨハネス・ケプラー』河出書房新社 1977
『ケプラーの夢』講談社 1978
『宇宙の神秘』工作舎 1982
トーマス・ムルナーの文献がないか探すため、英語綴りのThomas Murnerで国立国会図書館サーチを検索したところ、
別のレファレンスがヒットする。
「たぶん外国だと思うが、「産湯を捨てるときに赤ん坊まで捨てる」というニュアンスのことわざがある。これがどこの国のことわざで原文が何かが知りたい。」(神奈川県立図書館様)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000021992 <最終確認:2014年9月18日>
これによると、ことわざ研究の第一人者の教授、Wolfgang Miederのホームページにもトーマス・ムルナーの「Narrenbeschwörung(1512)」が最初であるといった記述があったようだが、ホームページが見られなくなってしまっている。
- 事前調査事項
- NDC
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- ドイツ語 (840)
- 参考資料
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- 『現代英語ことわざ辞典』戸田 豊/編著 リーベル出版 2003.05 <R833ト> , ISBN 4-89798-630-3 (p312)
- 『ドイツ語ことわざ用法辞典』乙政 潤/共著,グイド・ヴォルデリング/共著 大学書林 1991.03 <847オ> (p155-157)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000160021