レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 豊中市立図書館 (2310050) | 管理番号 (Control number) | 6000032621 | ||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2017/03/17 | 登録日時 (Registration date) | 2017年08月01日 00時30分 | 更新日時 (Last update) | 2020年08月26日 15時24分 | ||||||||
質問 (Question) | 「Ovos moles de Aveiro(オーヴォシュ・モーレシュ・デ・アヴェイロ)」というポルトガルのお菓子の形状が日本の最中に似ている。二つのお菓子には何か関係があるのか。 | ||||||||||||
回答 (Answer) | 日本で「最中」が商品として売り出され一般的に広まったのは江戸時代中期(1804~1818)であるが、それよりも前に書かれた本(『長崎夜話草』1719)に、該当のポルトガルのお菓子のことが書かれていると推測している資料があった。ポルトガルの「オーヴォシュ・モーレシュ・デ・アヴェイロ」と日本の「最中」の関係については、ポルトガルのお菓子が日本に伝わって「最中」の誕生に影響を与えたという可能性は考えられるが、定かではなく、それぞれ独自の成り立ちをしたと考えることもできる。 | ||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 293.6、383.8、596の書架から、ポルトガルに関する本、お菓子やその起源に関する本を確認するとともに、「ポルトガル」「菓子」「西洋菓子」「南蛮菓子」等をキーワードに所蔵検索し、関連する本を取り寄せ、「オーヴォシュ・モーレシュ・デ・アヴェイロ」について調べる。 『持ち帰りたいポルトガル』(誠文堂新光社)P201 「アヴェイロの『オヴォス・モーレス』は、ドース・デ・オヴォスの入った最中のような郷土菓子」という解説とともに写真あり。「ポルトガルの伝統菓子は修道院伝来のものが多く、卵黄と砂糖をベースにしたドース・デ・オヴォスというクリームが多用されます。一説には、昔の修道院ではアイロンがけのときに卵白を使用し、卵黄が大量に残ったそうなのです。その使い道として、ドース・デ・オヴォスを作ることが考え出されたといわれています。」 との解説。 『ようこそポルトガル食堂へ』(幻冬舎)P59-61 「オーヴォシュ・モーレシュ・デ・アヴェイロ」がポルトガル・アヴェイロの町のあちこちで売られている伝統的な修道院菓子であること、中身のクリーム(ドーセ・デ・オーヴォシュ)に加えて外側の生地が修道院で作られていた白くて薄いオシュテア(キリストの体を現す聖餅)であることやその材料、作り方の記述あり。歴史や味についても言及。 『ポルトガル』(日経BP企画) P172 アヴェイロの紹介ページにて「中央の橋のたもとにあるお菓子屋さんのウインドーに、この地の名物といわれる『オヴォス・モーレス』が飾られていた。卵の黄身を砂糖で味付けした白いあんこのようなものを、舟、樽、貝殻などの形をした独特な容器に詰め込んだ菓子。器には手書きの絵が描かれているのお土産にはうってつけ。中身は二週間くらいは日持ちがする。」 との解説。写真あり。 『南蛮スペイン・ポルトガル料理のふしぎ探検』(日本テレビ放送網)P76-77 『長崎夜話草』という本の中で名前が残されている「オブタウス」と「オベリアス」がそれぞれ、「ドース・デ・オヴォス」「オーヴォシュ・モーレシュ・デ・アヴェイロ」のことを指すとして解説。 「最中という和菓子がいつごろから日本にあったのか、詳しいことはわからないが、もし16世紀の後半以降に登場したものならば、このオベリアスが原型だという説が成り立つかもしれない。/そして、黄身クリームよりもっと身近な小豆(あずき)を煮たアンコを用いたとしてもふしぎではない。和菓子と南蛮料理の関係は、意外にも深いものかも。」との記述あり。 大阪府立図書館より『町人嚢・百姓嚢・長崎夜話草』(岩波書店)を取り寄せて内容を確認したところ、享保年間の己亥から庚子に書かれたことが確認でき、P304に長崎土産物の紹介として「南蛮菓子色々」として、カステラボウルやコンペイトとならんで、「ヲベリヤス」「ヲブダウス」と記載があった。 次に「最中」について調べる。 『菓子 新・食品事典 10』P213、「最中が商品として一般に現れたのは江戸時代の中期」「文化年間(1804~1818)の初期に、せんべいを売っていた吉原仲ノ町の竹村伊勢の店で売り出したのが最初」とのこと。 同様の内容は、 『たべもの起源事典 日本編』P718-719、『菓子 由来と味い方』P113にも記述あり。 『菓子 新・食品事典 10』P213にはさらに、「当時、どのような形のものがつくられていたかははっきりしない。」「モチ米粉を水でねり、蒸して薄く伸ばしたのを丸く切って焼き、砂糖をかけたものであったともいわれている。」「大正時代の中ごろまでは、中身のあんはわずかであったといわれている。」という解説もある。 これらの資料から、日本で「最中」が売り出される江戸時代中期以前に書かれた本にポルトガルの該当のお菓子が作られていたことが書かれていると推測できるので、ポルトガルの「オーヴォシュ・モーレシュ・デ・アヴェイロ」と日本の「最中」の関係については、それぞれ独自の成り立ちをしたか、もしくはポルトガルのお菓子が日本に伝わって「最中」の誕生に影響を与えたか、と推察することはできる。 | ||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||||||
備考 (Notes) | |||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | その他 | 質問者区分 (Category of questioner) | 一般 | ||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000219606 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |