レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年06月09日
- 登録日時
- 2021/11/19 09:24
- 更新日時
- 2021/11/23 14:27
- 管理番号
- 0131225396
- 質問
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解決
「新編高崎市史 資料編4」p342にある「三七〇 武田信玄書状写」の原本が見たい。
- 回答
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この文書は1567(永禄10)年11月23日に武田信玄が信濃の武士祢津信直に送った書状の写しで、信玄が信直に箕輪在城を命じるとともに、小鼻之郷300貫と大窪之郷100貫を与えた内容です。小鼻之郷は、現在の高崎市上・下小塙町とみられます。
この文書は『旧東新居村助之丞所蔵文書』(『旧東新居村津田助之丞所蔵文書』とも表記あり)のもので、「新編甲州古文書2」(荻野三七彦共編 斉藤俊六共編 角川書店 1968年刊:当館未所蔵)では『旧東新居村助之丞所蔵文書』を“傳未詳” 、「山梨県史 資料編4-[1]」(山梨県編 山梨日日新聞社 1999年刊:当館未所蔵)では“掲出文書の所在は不明”との記載がありました。
以上のことからお尋ねの書状の原本を見つけるのは難しいと思われます。
- 回答プロセス
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まずは、「新編高崎市史 資料編4」で、質問の文書を確認すると、次のように記載あり。
三七〇 武田信玄書状写 甲斐国志
同書の巻末にある『資料別目録・第一部編年資料』内で“甲斐国志 甲斐志料集成”を確認すると、次のように記載あり。
三七〇 武田信玄書状写 甲斐国志 永禄10.11.23
よって、質問の文書は「甲斐志料集成」に収録されている「甲斐国志」が出典と確定。
当館所蔵資料の「甲斐国志 下巻」(天下堂書店 1967)の巻之百二十一(附録第三)にて、同じ文書を確認するが、原本については記載見当たらず。(p1130)
次に国立国会図書館デジタルコレクションと国立公文書館デジタルアーカイブで「甲斐志料集成」あるいは「甲斐国志」を探索し、内容を確認したが、いずれも書状の原本についての記載は見当たりませんでした。
国立国会図書館デジタルコレクション
・「甲斐志料集成6」p547(巻一二一 附録 第三)(甲斐志料刊行会, 1935)
280コマ
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1240900 2021.5.18最終確認)
・「甲斐国志. 下」p1223(甲陽図書刊行会, 1912)
629コマ
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/764917 2021.5.27 最終確認)
・「甲斐国志. 第120巻 附録第2,第121巻 附録第3」(温故堂, 1884)
23コマ
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/764946 2021.5.27 最終確認)
国立公文書館デジタルアーカイブ
・「甲斐国志」(請求番号:173-0101)巻之121
24コマ
(https://www.digital.archives.go.jp/item/4344866 2021.5.18最終確認)
・「甲斐国志」(請求番号:173-0103)69
23コマ
(https://www.digital.archives.go.jp/item/4395416 2021.5.27最終確認)
・「甲斐国志」(請求番号: 173-0104)巻之121
23コマ
(https://www.digital.archives.go.jp/item/4181557 2021.5.27最終確認)
・「甲斐国志」(請求番号: 173-0105) 67
24コマ
(https://www.digital.archives.go.jp/item/4454274 2021.5.27最終確認)
また、新編高崎市史を編さんした市史担当にこの文書について問い合わせたところ、「新編高崎市史 資料編4」の資料別目録のとおり、出典は「甲斐国志」であり、書状の原本には当たっていないとのことでした。
さらに、当時編さんに関わった中世の専門の方に連絡を取っていただきましたが、文書の原本については不明でした。
市史担当よりアドバイスいただき、「戦国遺文 武田氏編第2巻」(東京堂出版 2002)を他館より借用し確認したところ、この文書が収録されており、「本文書は、甲斐国八代郡新居村・助之丞旧蔵」と合わせて記載されていた。(p202)
Google ブックスで『甲斐国八代郡新居村助之丞』を検索すると、「角川日本地名大辞典 第19巻」がヒットした。
当館所蔵の「角川日本地名大辞典 第19巻」(角川書店 1984)を確認すると、この文書の内容についての解説があり、出典が“旧東新居村助之丞所蔵文書/甲州古文書2”と記載されていた。(p191)
「新編甲州古文書2」(角川書店 1968)を他館より借用し確認したところ、この文書が収録されていたが、“(舊)東新居村 助之丞所蔵文書[傳未詳]” と記載されており、“『甲斐國志』巻之百二十”と出典が記載されていた。(p150)
さらにGoogle ブックスで『東新居村助之丞所蔵文書』を検索したところ、「山梨県史 資料編 第4巻」がヒットした。
「山梨県史 資料編4-[1]」(山梨日日新聞社 1999)を他館より借用し確認したところ、この文書が収録されていたが(p763-764)、解説編の『東新居村津田助之丞所蔵文書』の項に“掲出文書の所在は不明で「甲斐国志」一二一によった。”と記載されていた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 関東地方 (213 9版)
- 参考資料
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荻野三七彦, 斎藤俊六 共編 , 荻野, 三七彦, 1904-1992 , 斎藤, 俊六. 新編甲州古文書 第2巻. 角川書店, 1968.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001105560-00 -
山梨県 編 , 山梨県. 山梨県史 資料編 4. 山梨県, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002797489-00
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荻野三七彦, 斎藤俊六 共編 , 荻野, 三七彦, 1904-1992 , 斎藤, 俊六. 新編甲州古文書 第2巻. 角川書店, 1968.
- キーワード
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- 高崎市-歴史
- 武田信玄
- 祢津信直
- 甲斐国志
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 所蔵調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000307787