レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年08月25日
- 登録日時
- 2020/07/02 16:27
- 更新日時
- 2021/02/25 13:46
- 管理番号
- 吹-30-2020-002
- 質問
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解決
第二次世界大戦中、召集された兵士の残された家族の生活保障はどのようにされていたのか。昭和17年に自分は生まれたが、父は戦争に行っていた。働き手のいない家庭の暮らしを支える制度があったのかを知りたい。
- 回答
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昭和17年(1942年)当時、昭和12年(1937年)に制定された「軍事扶助法」に基づき、国費によって応召者の家族の生活救護が行われていた。
(1)『地域のなかの軍隊 8 日本の軍隊を知る』(荒川章二[ほか]/編 吉川弘文館 2015.6)の「徴兵制の定着と入営(出征)者援護」p22に「一九一七年七月十九日、軍事救護法(一九三七年三月三十日に軍事扶助法と改正)が制定され、兵事団体、自治体等が担っていた入営者とその家族への援護が国費によって実施されるようになる」の記述があった。
(2)大阪府立中央図書館所蔵の『近代日本の国民動員―隣保扶助と地域統合』(郡司淳/著 刀水書房 2009.3)のp299「表7-3軍事救護法・軍事扶助法の施行状況」(1936~45年度)には、a)陸海軍兵員数、b)扶助戸数・扶助人員・金額、b/a、一世帯月額、一人月額の一覧が記載されていた。
以上、2冊を質問者へ紹介した。
- 回答プロセス
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当館の3類書架に直接向かい『地域のなかの軍隊 8 日本の軍隊を知る』(荒川章二[ほか]/編 吉川弘文館 2015.6)及び、『地域のなかの軍隊 9 軍隊と地域社会を問う』(林博史[ほか]/編 吉川弘文館 2015.9)を見つけた。同資料記載の「入営者擁護」「軍事援護」「軍事救護法」「軍事扶助法」などのキーワードを手掛かりに当館の検索機でさらに検索をした。
- 事前調査事項
- NDC
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- 国防史.事情.軍事史.事情 (392 10版)
- 日本史 (210 10版)
- 参考資料
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荒川, 章二, 1952- , 河西, 英通, 1953- , 坂根, 嘉弘, 1956-. 地域のなかの軍隊 8. 吉川弘文館, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026379687-00 , ISBN 9784642064804 -
林, 博史, 1955- , 原田, 敬一, 1948- , 山本, 和重, 1959-. 地域のなかの軍隊 9. 吉川弘文館, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026616282-00 , ISBN 9784642064811 -
郡司淳 著 , 郡司, 淳, 1960-. 近代日本の国民動員 : 「隣保相扶」と地域統合. 刀水書房, 2009.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010070588-00 , ISBN 9784887083752 -
倉沢愛子/〔ほか〕編 , 倉沢‖愛子. 岩波講座*アジア・太平洋戦争 3. 岩波書店, 2006.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I004912059-00 , ISBN 4000105051 -
斉藤 利彦 , 斉藤 利彦. 「誉れの子」の記憶と現代 : 戦争と子どもたち. 2019-03. 学習院大学教育学・教育実践論叢(5) p. 3-16
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I030419140-00 -
一ノ瀬俊也著 , 一ノ瀬, 俊也. 銃後の社会史 : 戦死者と遺族. 吉川弘文館, 2005. (歴史文化ライブラリー, 203)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I010255343-00 , ISBN 4642056033
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荒川, 章二, 1952- , 河西, 英通, 1953- , 坂根, 嘉弘, 1956-. 地域のなかの軍隊 8. 吉川弘文館, 2015.
- キーワード
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- 軍事援護
- 軍事扶助法
- 軍事救護法
- 入営者擁護
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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『地域のなかの軍隊 9 軍隊と地域社会を問う』(林博史[ほか]/編 吉川弘文館 2015.9)
「軍事援護」p98に軍事救護法、軍事扶助法の制定過程の記述がある。p106の「表3 軍事救護法(1937年から軍事扶助法)による救護の人員および金額」では、1917年から1945年までの推移がわかる。
『岩波講座アジア・太平洋戦争 3 動員・抵抗・翼賛』(倉沢愛子[ほか]/編 岩波書店 2006.1)
p143に「軍事扶助法」の特徴についての記述がある。ここでは、徴用労働者への援護である徴用援護制度と軍事援護制度が比較されている。
『「誉れの子」と戦争 愛国プロパガンダと子どもたち』(斉藤利彦/著 中央公論新社 2019.7)
「第ニ章 軍人援護政策の展開と「誉れの子」」の「軍事扶助対象の激増」p24~p27に「軍事扶助法」の対象についての記述、昭和元年度から十四年度まで増加の一途をたどる戸数比較・人員比較の表が記載されている。
『銃後の社会史 戦死者と遺族』(一ノ瀬俊也/著 吉川弘文館 2005.12)
「命の値段」p67~p89に遺族に対する経済的扶助についてや遺族の生活実態についての記述がある。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000283864