レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/10/11
- 登録日時
- 2015/02/14 00:30
- 更新日時
- 2015/02/18 10:22
- 管理番号
- 所沢狭山-2014-009
- 質問
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解決
和歌などで「東風」を「こち」と読む。「北風」「南風」「西風」にもそのような読み方があるか知りたい。
- 回答
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以下の読み方があります。
・「南風」の読みは、「みなみかぜ」「なんぷう」。また俳句などの季語で、「みなみ」「はえ」と読むとの記述がありました。
・「北風」の読みは、「きたかぜ」「ほくふう」。また俳句などの季語で、「きた」「ならい」と読むとの記述がありました。
・「西風」の読みは、「にしかぜ」「せいふう」。また俳句などの季語で「にし」、地名や人名などで「ならい」と読むとの記述がありました。
以下の資料に記載があります。
〇『早引き俳句季語辞典』 復本一郎/編 三省堂 2003年
〇『風の名前』 高橋順子/文 小学館 2002年
〇『カラー図説』 日本大歳時記 講談社 1983年
〇『季語季題よみかた辞典』 日外アソシエーツ株式会社/編集 日外アソシエーツ 1994年
〇『季節のことば辞典』 復本一郎/監修 柏書房 2004年
〇『難読姓氏・地名大事典』 丹羽基二/著 新人物往来社 2006年
〇『雨と風のことば』 加藤迪男/編 岐阜新聞社 2003年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
「和歌」「俳句」「季語」「気象」「風」などのキーワードでタイトル、件名検索。
参考図書架や分類451、911の書架をブラウジング。
〇『早引き俳句季語辞典』(三省堂 2003年)
p.109 「東風」に「こち」の読み表記あり。
p.109 「西風」のみ単独でなく、「涅槃西風」「ねはんにし」の読み表記あり。
p.111 「南風」「なんぷう」「みなみ」の読み表記あり。また、「はえ」(南風。近畿以西で用いられた)、「まぜ」(南または南西風のこと)、「まじ」(まぜとおなじ)などの関連語の掲載があり、南風を「はえ」と読ませる例句あり。
p.117 「北風」「きた」の読み表記あり。
〇『風の名前』(小学館 2002年)
p.59に「南風」「はえ」の読みと「ところによっては「はい」「みなみ」とも呼ぶ。おもに西日本でいう南風を指す古くからある言葉(後略)」 との記述あり。
p.112に「北風」「きたかぜ」の読みと「単に「きた」ともいう。北からの冷たい風。」との記述あり。
p.131に「西風」「にしかぜ」の読みと「「せいふう」とも読む。西から吹く風。単に「にし」という地方は多い。」との記述あり。
△『短歌・俳句』(ポプラ社 2008年)
p.165に「南風」に「なんぷう」の読みあり。読みではないが「「はえ」ともいいます。」との記述あり。
2.追加調査
ここまで調べた資料の記述に「その土地の地形や気象的特徴、地名、あるいは季節感のある言葉などをきめ細かく添えた呼び名が数多くある」とあったので、「地形」「地名」「方言」などのキーワードでタイトル、件名検索し、所蔵資料を追加調査。
〇『難読姓氏・地名大事典 』(新人物往来社 2006年)
p.230の「西風」の項に(ならい・なる・にしかぜ)の読みと「②ナライとは並いで、山並みに沿って吹く強風。山脈の位置によって風の吹く方向は違うが、北風、西風、または、それに近い方向の風が多い。(後略)」との記述あり。
〇『カラー図説 日本大歳時記』 講談社 1983年
p439 「南風(みなみ)」の項あり。読みとして「みなみ」「みなみかぜ」「なんぷう」の記述あり。
p.440 「はえ」の項あり。関連傍題「南風」に「はえ」の読み表記あり。句例あり。
p.440 「まじ」の項には漢字表記なし。関連傍題に「まぜ」あり。
p.895 「高西風」、「大西風」の項あり。それぞれ「たかにし」「おおにし」の読み表記あり。
p.1215 「北風(きた)」の項あり。読みとして「きた」「きたかぜ」「ほくふう」の記述あり。句例あり。
p1216 「ならい」の項あり。関連傍題「北風」に「ならい」の読み表記あり。句例あり。
〇『季節のことば辞典』 復本一郎 監修 柏書房 2004年
p.195 「はえ【南風】」あり。p4凡例に、「見出し語にあてられる漢字については標準的な書き表し方を【】内に示した。ただし俳句で慣用または頻用される表記はこれを採ったものである。」と記述あり。
p.363 「きた【北】」の項に、「北風」を「きた」と読ませた句例あり。
〇『季語季題よみかた辞典』 日外アソシエーツ株式会社/編集 日外アソシエーツ 1994年
p.93 「北風」の読みに、「きたかぜ」「きた」「ほくふう」の記述あり。
p.267 「南風」の読みに、「はえ」「みなみ」「みなみかぜ」「なんぷう」の記述あり。
※「西風」の掲載なし。
〇『雨と風のことば』 加藤迪男/編 岐阜新聞社 2003年
<風のことば>
p.103 「東風(あいのかぜ)」の読み表記あり。
p.105 「東風(あゆ・あゆのかぜ)」の読み表記あり。
p.120 「北風(きたかぜ)」の読み表記あり。
p.124 「東風(こち・こちかぜ)」の読み表記あり。
p.131 「西風(せいふう)」の読み表記あり。
p.136 「東風(とうふう)」の読み表記あり。
p.138 「南風(なんぷう)」の読み表記あり。
p.140 「南風(はえ)」の読み表記あり。
p.141 「東風(ひがしかぜ)」の読み表記あり。
p.165 「北風(ほくふう)」の読み表記あり。
p.166 「南風(みなみかぜ)」の読み表記あり。
<風の季語>
p.171 「東風(こち)」の読み表記あり。句例あり。
p.175 「南風(なんぷう・はえ・みなみ・みなみかぜ)」の読み表記あり。句例あり。
p.176 「南風(はえ)」の読み表記あり。句例あり。
p.178 「高西風(たかにし)」の読み表記あり。句例あり。
p.181 「北風(きた・きたかぜ・ほくふう)」の読み表記あり。句例あり。
「北風(ならい)」の読み表記あり。句例あり。
△『日本国語大辞典』 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001年
・「こち【東風】」の漢字表記あり。
・「なんぷう【南風】」、「みなみかぜ【南風】」はそれぞれ漢字表記あり。
・「みなみ【南】」は、意味に「みなみかぜ(南風)の略。<季・夏>」の記述あり。
・「はえ」は漢字表記はなし。意味に「南」「南風」の記述あり。また、方言として「はいかぜ」などの用例あり。
・「まぜ【真風】」の意味に、「①西風。」、「②南風または南西風」、「③東南風」の記述あり。
・「まじ【真風】」の意味に、「まぜ(真風)と同じ。」と記述あり。
・「ならい」は漢字表記なし。意味に「冬に山並に沿って吹く風。」の記述あり。「ならいかぜ。ならいのかぜ。ならいごち、ならえ。<季・冬>」の記述あり。
・「なる」の項で、西風または北風の意味の掲載はなし。
・「にしかぜ【西風】」の漢字表記あり。
・「せいふう【西風】」の漢字表記あり。
・「ほくふう【北風】」の漢字表記あり。
・「きたかぜ【北風】」の漢字表記あり。
・「きた【北】」は、意味に「北風。〈季・冬〉の記述あり。
△『広辞苑』(岩波書店 2008年)
p. 90 あゆ【東風】(アイとも)東のかぜ。
p.1985、2338 とうふう【東風】、ひがしかぜ【東風】の項に、「こち」の読みあり。
南風、北風、西風の項には、別の読みはなし。
△『全国方言辞典』(東京堂出版 1951年)
p. 626の「ならい」の項の②に「北風。千葉・伊豆大島・三宅島・八丈島・神奈川・大分。」の記述あり。
p. 769の「まぜ→まじ」の項に南風との記述あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 気象学 (451 9版)
- 方言.訛語 (818 9版)
- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 早引き俳句季語辞典 復本一郎/編 三省堂 2003.4 911.307 4-385-15361-2
- 風の名前 高橋順子/文 小学館 2002.5 451.4 4-09-681432-6
- カラー図説 日本大歳時記 講談社 1983.11 911.307 4-06-128646-3
- 季語季題よみかた辞典 日外アソシエーツ株式会社/編集 日外アソシエーツ 1994.7 911.307 4-8169-1250-9
- 季節のことば辞典 復本一郎/監修 柏書房 2004.7 911.307 4-7601-2569-8
- 難読姓氏・地名大事典 丹羽基二/著 新人物往来社 2006.2 288.1 4-404-03291-9
- 雨と風のことば 加藤迪男/編 岐阜新聞社 2003.7 451.64 4-87797-062-2
- キーワード
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- 和歌
- 漢字
- 俳句
- 季語
- 気象
- 風
- 方言
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000167651