レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年08月17日
- 登録日時
- 2018/08/19 14:24
- 更新日時
- 2019/06/03 11:57
- 管理番号
- 長野市立長野-18-009
- 質問
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解決
ムクゲ・アオイ・フヨウの違いや特徴を知りたいが、見比べられるような資料はあるか。
- 回答
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フヨウもムクゲもアオイ科のため似ているようだ。
フヨウとムクゲの大きな違いをまとめると以下のとおり。
フヨウの葉は、やや浅く5裂する大型の葉(10cm~20cm)。基部(葉と茎の接合部分)はハート形にくぼむ。ムクゲの葉は、菱形形状(4cm~10cm)。基部から伸びる3本の葉脈が目立つ。しばしば3浅裂するが、大ぶりな鋸歯があるのが特徴。しかし葉形は個体差が大きい。
フヨウ・ムクゲとも1日花で、1日だけ咲き翌日にはしぼんで落ちてしまう。フヨウの花は、花びらが丸くなって落ちるが、ムクゲの花は、花びらを細長く巻いて落ちる。フヨウのめしべは、先が折れ曲がっているが、ムクゲのめしべはまっすぐである。
どちらも落葉低木だが、ムクゲは枝が上方へ直線的に伸びる樹形が大きな特徴といえる。樹高については、各資料記述にバラつきがあり、はっきりしなかった。しかし参考資料⑤には、「むくげは、ときには10メートル以上もの高さになることもある、れっきとした木(中略)ふようは潅木だから、高くはならない」とあった。
これらを踏まえ、参考資料を提示し回答とした。
- 回答プロセス
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まず、参考資料①でどんな植物か調べる。
すべてアオイ科。それぞれの特徴などが植物画とともに見ることができた。ただ、アオイについては、「アオイの漢名は葵または冬葵。」「日本の庭園などにはほとんど見ず」と記してあることから、よく庭で見かけるタチアオイの項目を見てみる。すると「昔一般にアオイと呼んでいたのはこの植物を指していたことが多い」とあったため、利用者にタチアオイではないか確認するも、不明とのこと。一端保留にし、先にフヨウ・ムクゲを調査する。
フヨウ・ムクゲは落葉低木だったため、森林の棚を一般・児童ともに直接あたる。参考資料②③には葉の特徴が見分けやすい内容だった。参考資料④には花が落ちてからの形状の違いが明確に書かれている。樹高については、各資料ともばらつきがあり、一概に何メートルとは言えないようだが、参考資料⑤に「ふようは潅木で、むくげは木」という記述が確認できた。参考資料⑦にはムクゲは枝が上方へ直線的に伸びる独特の樹形も大きな特徴とある。
参考資料①のような図鑑でカラーがあるか聞かれたため、参考資料⑥を提示。
アオイについては、ご本人もうろ覚えで特定できなかったため、今回の調査は必要ないとのこと。
フヨウ・ムクゲについてはご満足いただけたようで調査終了となった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 森林立地.造林 (653)
- 植物学 (470)
- 一般植物学 (471)
- 参考資料
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- ①『新分類牧野日本植物図鑑』牧野 富太郎/原著 北隆館 2017.069 <R470マ> , ISBN 978-4-8326-1051-4 (p802 2671タチアオイ、p804 2677フユアオイ(フヨウ)、p805 2682フヨウ、p806 2688ムクゲ)
- ②『樹木の葉』林 将之/解説・写真 山と溪谷社 2014.04 <653ハ> , ISBN 978-4-635-07032-4 (p488フヨウ、p489 ムクゲ)
- ③『葉実木のかたちで調べる樹木の名前大事典』近田 文弘/著 くもん出版 2014.02 <65コ> , ISBN 978-4-7743-2219-3 (p159 フヨウ・ムクゲ)
- ④『しぜんかんさつずかん 夏』おくやま ひさし/写真・文 ポプラ社 2016.04 <40オ2> , ISBN 978-4-591-14848-8 (p122 ムクゲ、p123 フヨウ)
- ⑤『調べてなるほど!花のかたち』柳原 明彦/絵と文 保育社 2017.03 <47.1ヤ> , ISBN 978-4-586-08563-7 (p104-105 ふよう、むくげ)
- ⑥『原色牧野植物大図鑑 〔正〕』牧野 富太郎/著 北隆館 1982.05 <R470マ> , ISBN 4-8326-0001-X (p326 アオイ、p327 フヨウ・ムクゲ)
- キーワード
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- 芙蓉
- 槿
- 葵
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000240939