レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年07月24日
- 登録日時
- 2018/10/01 15:31
- 更新日時
- 2020/03/03 15:33
- 管理番号
- 中野1039
- 質問
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解決
京都と秀吉について
1.天正14(1586)年、秀吉が京都に大仏を建立した。その際、なぜその地(現在の方広寺や三十三間堂など含まれる広い土地)を選んだのか。
2.天正18(1590)年、秀吉が京都大改造計画の一環で洛中に散在していた寺院を移転させた。浄土宗・法華宗(日蓮宗)・時宗の諸寺院となっているが、何故その宗派だったのか理由が知りたい。
- 回答
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1に関しては【資料1】と【資料2】を提供
2に関しては【資料3】~【資料7】を提供、【資料8】を紹介した。
1
【資料1】『秀吉の大仏造立』(210.4/カ)
p.23「新大仏の計画地」
“その理由を示す史料は残されていない”としながらも、著者の考察がある。
【資料2】『京都大仏御殿盛衰記』(188.4/ム)
p.112- 大仏に触れてはいるが、回答につながる記述はない。
2
【資料3】『京都千年 5』(291.62/キ/5)
p.52「秀吉は、洛中の町屋のなかに混在していた寺院を、一定区域に強制移転させる。とくに移転の対象となったのは、浄土宗・法華宗(日蓮宗)・時宗などの寺院であった。これらは、洛中の民衆生活に密着して発達し、信仰を通じて町衆の連帯の核ともなってきたものである。その強制移転は、町衆の自治的活動と連帯の精神的よりどころをうばう、きびしい政策であるといえた。」
【資料4】『京都千年 2』(291.62/キ/2)
p.219 寺町・下寺町の寺
「洛中の人々の生活に密着していた浄土宗、日蓮宗、時宗の各寺院が強制的に移転させられたのである。そこには秀吉の為政者としての宗教勢力の封じ込めに狙いがあった。」
【資料5】『町衆』林屋辰三郎/著(216.2/ハ)
p.190「その二は、市中散在の寺院を東の京極および安居院附近に集め、前者を寺町、後者を寺ノ内と称したことである。これは中世の宗教的権威に対して敢然と政治的権力をもってたち向かったものだが、とくに法華宗本山がその主要な対象となったことは、法華一揆の歴史にもとづくものであろう。」
【資料6】『京都の歴史 3』仏教大学/編(216.2/キ/3)
p.121 天正末年の京都改造
「それから一五九〇・九一年(天正十八・十九)に京都の大改造を行います。最初は天皇の御所から手をつけていきます。(略)強盛を誇った日蓮宗、法華宗の寺院を寺の内に集めてしまいます。」
【資料7】『古地図から読み解く城下町の不思議と謎』(291.01/コ)
p.66-67 「寺町の寺院を宗派別に見ると、最も多いのは浄土宗で、全体の実に五分の三ほどを占める。そのほか、真言宗、禅宗、法華宗などの寺院も建ち並ぶが、その中にあって、浄土真宗の寺院は寺町に置かれなかった。浄土真宗門徒がたびたび権力者に牙を剥いてきた歴史を持つことから、あえて大阪市中に分散させ、一揆の勃発を未然に防いだといわれている。」
【資料8】『京都の寺社と豊臣政権』法蔵館 ※所蔵無し
調査過程で参考文献として出てくる。所蔵がないために中身の確認はしていないが、何か載っているかもしれない。
●その他の調査済み資料-記述なし
『京都府の歴史』山川出版社(216.2/キ)
p.168「京都と信長・秀吉」 p.170「京都の大仏」
『日本の地誌8 近畿圏』金田章裕/編 石川義孝/編,朝倉書店,2006(R291.0/二/8)
p.327「豊臣秀吉の城下町的都市改造と近世都市京都」
寺ノ内や東の鴨川沿いに集めて南北に長い寺町を整備したという記載はあるが、宗派の言及はない。
『図説京都府の歴史』森谷尅久/責任編集,河出書房新社,1994(216.2/ズ)
p.170 寺院街の形成について触れられているが、宗派の言及はない。
『京のまちなみ史』丸山俊明/著,昭和堂,2018(216.2/マ)
p.118「御土居と寺町」内郭としての寺町や寺ノ内の記載があるが、宗派の言及はない。
『仏教史研究ハンドブック』佛教史学会/編,法蔵館,2017(182/ブ)
p.268「織豊政権期の仏教」参考文献の記載あり。
『戦国大名論集 豊臣政権の研究』三鬼清一郎/編,吉川弘文館,1984(210.4/セ/18)
『論集 日本歴史 6 織豊政権』藤木久志/編 北島万次/編,有精堂,1974(210.08/ロ/6)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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新聞記事
『日本歴史地名大系 27』平凡社,1979
『豊臣秀吉と京都 聚楽第・御土居と伏見城』日本史研究会/編,文理閣,2001
『京都秀吉の時代 土の中から』京都市埋蔵文化財研究所/監修,ユニプラン,2010
- NDC
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- 日本史 (210)
- 近畿地方 (216)
- 各宗 (188)
- 参考資料
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【資料1】河内将芳 著 , 河内, 将芳, 1963-. 秀吉の大仏造立. 法藏館, 2008. (シリーズ権力者と仏教)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009916426-00 , ISBN 9784831875839 -
【資料2】村山修一著 , 村山, 修一. 京都大仏御殿盛衰記. 法藏館, 2003.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I009584064-00 , ISBN 4831874817 -
【資料3】原田伴彦 [ほか]編集 , 原田, 伴彦, 1917-1983. 京都千年 5. 講談社, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001674599-00 , ISBN 4061871056 -
【資料4】原田伴彦 [ほか]編集 , 原田, 伴彦, 1917-1983. 京都千年 2. 講談社, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001670911-00 , ISBN 4061871021 -
【資料5】林屋辰三郎著 , 林屋, 辰三郎. 町衆 : 京都における「市民」形成史. 中央公論社, 1990. (中公文庫,)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I010428006-00 , ISBN 4122017181 -
【資料6】仏教大学 編 , 仏教大学. 京都の歴史 3 (町衆の躍動). 京都新聞社, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002438131-00 , ISBN 4763803573 -
【資料7】山本博文監修 , 山本, 博文. 古地図から読み解く城下町の不思議と謎. 実業之日本社, 2017.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I008883175-00 , ISBN 9784408009070 -
【資料8】伊藤真昭著 , 伊藤, 真昭. 京都の寺社と豊臣政権. 法蔵館, 2003. (日本仏教史研究叢書,)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I000781821-00 , ISBN 483186031X
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【資料1】河内将芳 著 , 河内, 将芳, 1963-. 秀吉の大仏造立. 法藏館, 2008. (シリーズ権力者と仏教)
- キーワード
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- 豊臣秀吉
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000243145