レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年11月29日
- 登録日時
- 2012/11/09 14:08
- 更新日時
- 2016/08/20 12:21
- 管理番号
- 町田-073
- 質問
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解決
紙垂(しで)の意味と由来を知りたい。また、なぜZ形なのか。
- 回答
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■意味:紙垂は、「神聖・清浄」の標章。
(1)紙垂を注連縄(しめなわ)に垂らして神域や祭場に用いた場合は、聖域を示す象徴となる。
〔参考資料③p.805、④p.199、⑦p.188〕
(2)玉串(たまぐし)については、榊に紙垂を付することによって、遷霊されるものと考えられて
いる。榊だけでは神の依り代とはならない。
〔参考資料①p661、⑥p.290、⑨p.276〕
■由来:日本神話の神代天石屋戸条(しんだいあめのいわやどのじょう)に由来。紙垂の原型「丹寸手(にきて)」が出てくる。
〔参考資料①p.460、②p.200、⑤p.899〕
(原文)「・・・天の香山の五百津真賢木を根こじにこじて、上枝に八尺の勾玉の五百津の御すまるの
玉を取り著け、 中枝に八尺鏡を取り繋け、下枝には白丹寸手、青丹寸手を取り垂でて・・・」
〔参考資料⑩p.39〕
(訳)「・・・天の香具山のよく茂った榊を根こそぎ掘り取ってきて、その上方の枝に多くの勾玉を長い
緒に通した玉飾りをつけ、中ほどの枝に八咫鏡を掛け、下方の枝には楮の白い幣と麻の青い幣を下げた・・・」 〔参考資料⑩p.244〕
■形状:「無限大の神威」説と「雷」説がある。
(1)「無限大の神威」説:白い紙を交互に切り割くことによって、無限大を表わす。無限大の神威を一片の紙に
象徴するものと解される。
〔参考資料①p.661、⑥p.290、⑨p.276〕
(2)「雷」説:宮沢賢治は花巻農学校で教鞭をとっていたころ、「注連縄の本体は雲を、〆の子(細く垂れ下がっ
ている藁)は雨を、紙垂は雷(稲妻)を表わしている」と、生徒に教えていた。雲と雨と雷は、豊作のための
不可欠な要素であり、注連縄は元来、豊作を願って神社に奉納されたとされる。
〔参考資料⑧pp.23-24〕
* 賢治の授業については、下記のWeb サイトでも読むことができる。
http://izumi-math.jp/R_Yoshida/thunder.pdf (2013.4.7確認)
http://plaza.rakuten.co.jp/jifuku/9002/ (2013.4.7確認)
「雷」説については、参考資料⑩(pp.339-340)の中でも少し触れられているが、これらの他に確然
と論じている文献を見つけることはできなかった。
- 回答プロセス
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■神道関連の資料に当たって、一応全て回答できた。
■念のためGoogle検索したところ、形状に関して新たな説(「雷」説)が出てきた。
宮沢賢治が授業で話していたというので、教師としての賢治について書かれた資料を探す。
- 事前調査事項
- NDC
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- 祭祀 (176 9版)
- 参考資料
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- ①『神道史大辞典』薗田稔、吉川弘文館、2004年
- ②『日本宗教事典』小野泰博、弘文堂、1985年
- ③『祭・芸能・行事大辞典』小島美子他/監修、朝倉書店、2009年
- ④『神道事典』国学院大学日本文化研究所/編、弘文堂、1994年
- ⑤『国史大辞典 6』国史大辞典編集委員会/編、吉川弘文館、1985年
- ⑥『国史大辞典 9』国史大辞典編集委員会/編、吉川弘文館、1988年
- ⑦『神道いろは』神社本庁教学研究所/監修、神社新報社、2004年
- ⑧『教師宮沢賢治のしごと』畑山博、小学館、1988年
- ⑨『古事記』萩原浅夫/校注・訳、小学館、1986年
- ⑩『かたちの事典』高木隆司、丸善株式会社、2003年
- キーワード
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- 紙垂(しで)
- 注連縄(しめなわ)
- 玉串(たまぐし)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 祭祀
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000113877