レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年10月31日
- 登録日時
- 2021/01/05 15:04
- 更新日時
- 2021/03/12 10:49
- 管理番号
- 中央-1-0021447
- 質問
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解決
1.日本で席料やお通しが一般的になったのはいつごろか知りたい。
2.外食の席料やお通し文化の国際比較において参考になる本やウェブサイトを教えてほしい。
- 回答
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1.日本で席料やお通しが一般的になった時期について
始まった時期や一般的になった時期について、はっきりとした解説がある資料は見つからなかったが、参考までに以下の図書を紹介した。
(1)『居酒屋の誕生 江戸の呑みだおれ文化』飯野亮一/著 筑摩書房 2014年
p209~211 「お通し」について書かれている。
「お通し制度がいつから始まったかよく分からないが、比較的新しい制度のようだ」と書かれている。著者が所蔵する辞典(複数の出版年のものを所蔵)に語句が掲載されているかを基に、昭和10年頃から始まった制度ではないかと著者は推測している。
(2)『「お通し」はなぜ必ず出るのか ビジネスは飲食店に学べ』子安大輔/著 新潮社 2009年
p25~28「お通しの謎」の章で、お通し制度の本来の狙いや、欧米でのチップの習慣について書かれている。「“お通し”というものをいつ誰が始めたかはわかりません」とあり、始まった時期や一般的になった時期についての解説はなかった。
(3)『日本国語大辞典 第2巻』第2版 日本国語大辞典第二版編集委員会 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001年
p.1245 “おとおし”と“おとおしもの”が見出しで掲載されている。
“おとおし”の意味1に「酒のさかなとして出す簡単な食べ物。おとおしもの」と書かれており、用例文として、
作品名:白鳥の歌
出版年:1954
作家名:井伏鱒二
「阿佐ケ谷の飲屋で、お通しに出たマタタビの塩漬に箸をつけるとき」
があげられている。
“おとおしもの”の意味は“おとおし”の意味1に同じとあり、
作品名:今年竹 茜雲・五
出版年:1919~27
作家名:里見
「お玉が来て餉台を拭くと、お通しもので酒が出た」
作品名:引越やつれ 西南館
出版年:1947
作家名:井伏鱒二
「酒のお通しものにまで豆腐があしらはれてゐた」
が用例文としてあげられている。
作品に使われているということは普及しているとも考えられるが、料金が別料金かどうかはわからない。
また、「お通し」のそもそもの意味についても、諸説あるようだ。
(4)『日本大百科全書4』(小学館 1985年)には
「お通しは関東の名称で、関西では突き出し、先付けともいう。最近は前菜ということばが広く用いられている」と書かれているが、
(5)『外国人にも話したくなるビジネスエリートが知っておきたい教養としての日本食』(永山久夫/監修 KADOKAWA 2019年)p22~23には、
「会席料理で最初に出す前菜と同じものと同一視されていることが多いのですが、厳密に言えば前菜とお通しとは違うものです」と書かれている。
2.外食の席料やお通し文化の国際比較について
図書館資料やインターネット、データベースなどを使って調べたが、国際比較が掲載されているものは見つからなかった。
席料やお通しとは意味合いが異なるかもしれないが、レストランでのチップについて表形式でまとめられている旅行ガイドがあったので、参考までにそちらを紹介した。
(6)『地球の歩き方 A01 2020~21』「地球の歩き方」編集室/編集 ダイヤモンド・ビッグ社2020年
p48~55 ヨーロッパ16ヶ国の情報が表にまとめられており、「チップ」の項目にレストランでのチップの金額が書かれている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・日本で席料やお通しが始まったのは1935年頃。
・日本だと居酒屋等で席料やお通しなどを取ることがある。
・アメリカでは、BARなどを除いて、基本飲食店では取らないと聞く。
・パリでは、お通しはないが、テラス席などいい席だと追加料金がかかると聞く。
・イタリアではコペルトと言って、パン代として日本の席料に近いものを取るとのこと。
・フランスだとそういうものはないようだ。
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 10版)
- 商業経営.商店 (673 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 席料
- お通し
- チップ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000291982