レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年06月12日
- 登録日時
- 2020/10/22 18:30
- 更新日時
- 2021/01/25 16:47
- 管理番号
- 中央-1-0021414
- 質問
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解決
下級武士の日記を読んでいて、「甘酒」と「懐中甘酒」という言葉が出てきたのでその二つに違いがあるのか気になった。
江戸時代辺りの古文書で、甘酒のレシピや効能について載っているものがあれば教えてほしい。
また、何のために飲まれていたのか、今と製法は違うのかについても知りたい。
- 回答
-
以下の資料およびサイトを紹介した。
・『江戸グルメ誕生-時代考証で見る江戸の味-』山田順子/著 講談社 2010年
・『江戸の健康食-日本人の知恵と工夫を再発見-』小泉武夫/著 河出書房新社 2016年
・『江戸っ子が好んだ日々の和食』中江克己/著 第三文明社 2016年
・『知識ゼロからの甘酒入門』石澤清美/著 江田証/医学監修 幻冬舎 2018年
・『江戸川柳飲食事典』渡辺信一郎/著 東京堂出版 1996年
・『新燕石十種 第5巻』国書刊行会/編 中央公論社 1981年
・『大田南畝全集 第8巻』大田南畝/著 浜田義一郎ほか/編集 岩波書店 1986年
・Haccomachi KYOTO
【コラム】甘酒からみる発酵食文化(3)おうちで作ろう!自家製甘酒の作り方&飲み方
https://haccomachi.jp/column/440/ (最終確認2021年1月25日)
- 回答プロセス
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(1) 『江戸グルメ誕生-時代考証で見る江戸の味-』山田順子/著 講談社 2010年
P202~204の「夏 夏バテ防止には甘酒」の項目に関連記載があります。
P202では、甘酒の製法について、米の飯に米麹を混ぜて発酵させてつくる製法と、日本酒を製造するときに出る酒糟に砂糖を加えてつくる製法の二種類があると紹介されている。
また、前者の製法で作られた甘酒について、「この甘酒は糖分が二十パーセント近くあり、ビタミン類も多く含まれています。しかも、米のたんぱく質を必須アミノ酸に変えているので、立派な栄養ドリンクなのです。」と述べられている。
(2) 『江戸の健康食-日本人の知恵と工夫を再発見-』小泉武夫/著 河出書房新社 2016年
P12~15に「甘酒」の項目がある。
P14~15では、甘酒に多くの栄養素が含まれていることについて触れたうえで、「甘酒は江戸時代の『必須アミノ酸強化飲料』であり、と同時に『総合ビタミンドリンク剤』でもあったのだ」と述べている。
(3) 『江戸っ子が好んだ日々の和食』中江克己/著 第三文明社 2016年
P195~196「消夏法として飲む甘酒」に、「江戸庶民は夏の暑い日、消夏法として甘酒をふうふういいながら飲んだ。甘酒といっても正確には酒ではない。糯米で炊いた粥に麹を混ぜ、五、六十度の温度を保ちながら十時間ほど温めると、できあがる甘い飲み物だ。」「発酵飲料だから胃腸の働きを助ける効果が大きい。」とある。
(4) 『知識ゼロからの甘酒入門』石澤清美/著 江田証/医学監修 幻冬舎 2018年
P12~13「日本人に愛されてきた麹パワー」では、江戸時代に甘酒ブームが到来したことについて触れたうえで、「現在のように医療が発達しておらず、夏バテで死ぬこともあった時代です。江戸時代の甘酒は、今でいう栄養ドリンクやエナジードリンクのように飲まれていたのです。麹でつくった甘酒が健康にいいことを、当時の人々は経験的に知っていたのでしょう。」と述べている。
(5)『江戸川柳飲食事典』渡辺信一郎/著 東京堂出版 1996年
P234~235に「甘酒」の項目がある。
ここでは、当時の甘酒の製法について、通常の製法・即席の製法の2つが紹介されている。
(6)『新燕石十種 第5巻』国書刊行会/編 中央公論社 1981年
(5)に記載がある甘酒の製法の引用元である「卯花園漫録」が収録されている。
P155には、「醴(あまざけ)之法~」と甘酒の製法が書かれた文章がある。
(7)『大田南畝全集 第8巻』大田南畝/著 浜田義一郎ほか/編集 岩波書店 1986年
(5)に記載がある甘酒の製法の引用元である「百舌の草茎」が収録されている。
P460~461には、「即座に醴のこしらへ様~」と、即席の甘酒の作り方を記した一文がある。
・Haccomachi KYOTO
【コラム】甘酒からみる発酵食文化(3)おうちで作ろう!自家製甘酒の作り方&飲み方
https://haccomachi.jp/column/440/ (最終確認2021年1月25日)
「懐中甘酒」という言葉は、このサイトでのみ確認できた。
このサイトが参考として挙げている資料『和洋銘酒醸造秘法:附・除害法』によると、蒸籠(せいろ)の中へ餅米を入れ、その上に麹を置きよく蒸し、糀の花と焼酎と一緒に臼でつける甘酒の作り方を「懐中甘酒製法」と言うようだ。
また、上記の『和洋銘酒醸造秘法:附・除害法』は、国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ から閲覧できる。
『和洋銘酒醸造秘法:附・除害法』尾形昌三/著 貴寿堂 明治24年
書誌ID:000000485878 23コマ目 「懐中甘酒製法」の詳細が記されている。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 江戸時代
- 甘酒
- 懐中甘酒
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000288527