レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/01/17
- 登録日時
- 2012/10/05 02:01
- 更新日時
- 2012/10/05 02:01
- 管理番号
- 横浜市中央1932
- 質問
-
解決
アイザック(またはイサーク)・バベルの短編小説、できれば「がちょうを殺した話」という作品を読みたい。
『集英社ギャラリー「世界の文学」5 イギリス』(集英社 1990年)に収められている「アイザック・バベルに敬意をこめて」(ドリス・レッシング著 市川博彬訳)で紹介されている。
また、アイザック・バベルについて書かれたものも紹介してほしい。
- 回答
-
「がちょうを殺した話」については、『騎兵隊』(下記4 参照)に所収されています。
以下、調査過程とアイザック・バベルについての関連資料をご紹介します。
1 『集英社ギャラリー「世界の文学」5 イギリス』を確認したところ、「アイザック・バベルに敬意
をこめて」の原題は、『HOMAGE FOR ISAAC BABEL』でした(p.1139)。
なお、この作品中では、ガチョウを殺す話、と言及していますが、かぎかっこなどがないので、
書名・作品名に該当するかどうか確認できません。
アイザック・バベルについては、ロシアのユダヤ人、短篇小説家、二十年くらい前に殺された、
といった記述があります。
「作家と作品」の欄(p.1136)には、「訳出した掌編は短編集『一人の男と二人の女』
(六三)に所収」とありますので、『一人の男と二人の女(福武文庫)』レッシング/著
福武書店 1990 を確認しました。しかし、原著と構成が違うようで、この作品そのものや
作品についての解説を確認することができませんでした。
2 NDC983(ロシア文学の小説)×全項目「短編」で蔵書検索した中で、「バーベリ」という
表記を確認することができ、NDC98(ロシア文学)×全項目「バーベリ」で蔵書検索した結果、
バーベリの作品が収められているものとしては下記の資料がありました。
『オデッサ物語 群像社ライブラリー 1』 イサーク・バーベリ/著 群像社 1995
『現代ソヴェト文学18人集 1』 新潮社 1967
オデッサ物語,わたしの鳩小屋の話,ダンテ街(バーベリ著 江川卓訳)
『騎兵隊(中公文庫)』 バーベリ/著 中央公論社 1975
『世界短編名作選 ソビエト編』 草鹿外吉/〔ほか〕編集 新日本出版社 1978
塩(バーベリ著 西尾章二訳)
3 国立国会図書館のリサーチナビ・ナビ http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/
では全集もヒットしますが、ガチョウを殺す話については確認できませんでした。
合わせて「CINII」http://ci.nii.ac.jp/、「WEBCAT」http://webcat.nii.ac.jp/ も検索し
ましたが、ヒットしませんでした。
4 Googleで「バーベリ ガチョウ」の言葉で検索すると、『騎兵隊』という作品中の『私の最初の
ガチョウ』というエピソードに言及している論文がヒットしました。
「『騎兵隊』論:その成立過程と構造について」中村唯史
(「スラヴ研究」44号(北海道大学スラブ研究センター)1977年)
http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/slavic-studies/44/nakamura/Nakamura-menu.html
『騎兵隊』が収められている資料は、上記2でご紹介した「中公文庫版」のほか、
『世界文学全集 41 ロ-プシン.ヤセンスキ-.バ-ベリ』
五木寛之/[ほか]編集(学習研究社)1979
『世界の文学 28 ゴーリキイ,バーベリ』(中央公論社)1966
を所蔵しています。「わが初鵞鳥」「血祭り」などと訳されています。
5 作者や作品については下記の資料などがあります。
『魅せられた旅人 ロシア文学の愉しみ』木村彰一/著 (恒文社)1987
非情と抒情―バーベリの世界と『騎兵隊』
「新潮」99巻5号(2002年5月)p.238~241
2002年文学の旅 イサーク・バーベリ、全作品新訳 柴田元幸
6 なお、「アイザック・バベルに敬意をこめて」には異訳「イサーク・バーベリ讃歌」柴田元幸/訳
もありますので、合わせてご紹介します。
『Sudden fiction 2 超短編小説・世界篇(文春文庫)』
ロバート・シャパード/編 , ジェームズ・トーマス/編 文藝春秋 1994
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 小説.物語 (983 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000112150