レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009/05/27
- 登録日時
- 2009/09/09 02:11
- 更新日時
- 2009/09/17 16:43
- 管理番号
- 埼浦-2009-012
- 質問
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解決
富永恭次(トミナガキョウジ:元陸軍中将)が終戦後どのように生きたかを知りたい。
- 回答
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富永が戦後どう生きたかについて具体的な記述のある資料は見つからなかった。若干関連記述がある情報として、下記の資料を紹介する。
『朝日新聞 縮刷版 昭和35年1月15日 11面』p263
「冨永恭次氏(元陸軍次官)十四日午前一時、東京都世田谷区玉川上野毛町二の七の自宅で心臓衰弱のため死亡、六十八歳、長崎県出身、元陸軍中将。戦時中、フィリピン方面陸軍航空部隊指揮官として多くの特攻隊を送り出した。告別式は十七日午後一時から同二時まで自宅で。」
『日本陸海軍総合事典 第2版』(東京大学出版会 2005)
p109(主要陸海軍人の履歴)に〈冨永恭次〉の項あり。戦後の履歴としては、「30.4シベリア抑留より帰国 回想録は防研所蔵」とのみあり。
『陸軍特別攻撃隊』(高木敏朗 文藝春秋 1975)
p451-「背広と軍服」の章に冨永氏がソ連の抑留から帰国した頃の新聞記事等の紹介あり。(朝日新聞の死亡記事も転載あり)。
《WHOPLUS》を〈冨永恭次〉で検索してわかった情報。
経歴情報(戦後の部分)より「同[昭和20年]7月召集され、満州の第139師団長で敗戦、シベリア抑留となり、30年4月帰国」「没年月日:昭和35年1月14日 没年齢=68歳」
- 回答プロセス
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《WHOPLUS》を〈冨永恭次〉で検索する。
経歴情報に戦後の簡単な記載あり。
人物文献情報で「昭和の名将と愚将」(文芸春秋 2008)がヒットするが、戦後の生き方についての記載はなし。《BOOKPLUS》でも同資料がヒット。
《NDL-OPAC(雑索)》《MAGAZINE PLUS》《Ginii》などを〈富永恭次〉で検索する。
《Webcatplus》で2件ヒットしたうち、「帝国の決断 4」(広済堂出版 1994)の内容紹介に富永恭次についての記述が出てくるが、戦後についてはなし。
《Google ブック》を〈富永恭次〉で検索する。ヒットしたものの中から当館所蔵の『大東亜戦争の真実』(PHP研究所 2004)『憲兵政治』(新日本出版社 2008)を調査する。
『憲兵政治』p134に「東條憲兵政治を支えた富永恭次陸軍次官は航空司令官に(中略)転出した。言うならば左遷人事である。」という記述あり。
朝日新聞、読売新聞、毎日新聞のそれぞれ昭和35年1月15日に死亡記事あり。朝日新聞の記事が最も詳細な記述あり。
軍事関係の資料を調査する。
『日本陸海軍総合事典 第2版』(東京大学出版会 2005) 戦後の履歴としては、「30.4シベリア抑留より帰国 回想録は防研所蔵」とのみあり。
事前調査資料の単行本『陸軍特別攻撃隊』(高木敏朗 文藝春秋 1975)に戦後の記述が若干あり。
『大東亜会議の真実』(深田祐介 PHP研究所 2004)には記述はあるが、戦後の生き方についての記述は見つからず。
《聞蔵Ⅱ》を〈冨永恭次〉で1945-1984記事見出し・キーワード検索を行う。
戦後の記事は2件ヒットするが、生き方についての記載はなし。
『大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録 人名編4』p762より、村松喬「「冨永恭次」魂の抜けた参謀たち 冨永恭次・元中将比島脱出の真相」(『サンデー毎日 1955.5.15』p22)の存在がわかるが、未所蔵のため内容未確認。
その他記述のなかった調査済み資料は以下のとおり。
『神風特別攻撃隊』(日本出版協同 1952)
『特別攻撃隊 別冊一億人の昭和史』(毎日新聞社 1979)
- 事前調査事項
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「日本陸海軍人名辞典」(芙蓉書房 2000)p331-332に記述は有るが、終戦後は記述なし。
「陸軍特別攻撃隊 3」(高木俊朗 文芸春秋 文春文庫 1986)富永軍司令官の敵前逃亡事件の詳細な記述は有るが、終戦後は記述なし。「戦後、富永恭次の書いた、ウソで固めたような回想録は、防衛庁戦史室に資料として保管され、その一部が公刊戦史の付録に掲載された。」(p468)という記述があるが、現物を所蔵せず。
「現代日本朝日人物事典」(朝日新聞社 1990)p1113「終戦となりシベリアに抑留。55年4月帰国」の記述あり。
「20世紀日本人名辞典 そ~わ」(日外アソシエーツ 2004) シベリア抑留後30年に帰国の記述あり。
《Wikipedia》〈富永恭次〉の項
「8月ソ連参戦、そして終戦ののち富永はシベリアのハバロフスク収容所に抑留され、昭和30年(1955)4月18日引揚船の興安丸で舞鶴港に帰国している。」と記述あり。
- NDC
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- 個人伝記 (289 9版)
- 国防史.事情.軍事史.事情 (392 9版)
- 参考資料
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- 『朝日新聞 縮刷版 昭和35年1月15日 11面』
- 『日本陸海軍総合事典 第2版』(東京大学出版会 2005)
- 『陸軍特別攻撃隊』(高木敏朗 文藝春秋 1975)
- キーワード
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- 富永 恭次(トミナガ キョウジ)
- 日本-陸軍-軍人
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000057719