レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/03/24
- 登録日時
- 2023/03/30 00:30
- 更新日時
- 2023/03/30 00:30
- 管理番号
- 6001060432
- 質問
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解決
昔、阪急百貨店の食堂でスッポンの吸物がついたお弁当があったらしい。この弁当について記載されている資料が見たい。
- 回答
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次の資料に記載がある。
■『私の人生観』(小林一三/著 要書房 1952)
「私の企業戦術」の「研究と商機」に次の記載がある。
「阪急の食堂で、昔スッポンの吸物を四十銭の弁当に附けて出したことがあります。大体スッポンの吸物だけでも五十銭位取るものです。如何に阪急百貨店の食堂と雖も、スッポンの吸物が四十銭の弁当に附く訳はないじやないか、こういう議論が当然起つたものです。」(p.184)
スッポンの吸物が安い理由として、生きたままのスッポンを中国から輸入し養殖するのは、輸送が難しいうえに四割の税金がかかるが、「私共の食堂の主任がある時大阪の立派なスッポン屋のコック長と一緒になつて話をすると、『スッポンと云うものは味の附け具合でうまくたべさせるのである。味を附けることの上手な人が勝つのだ、その味附けが秘伝だ』こういうことを聞込んだものですから」、スッポンのシーズンに時価で仕入れ、スッポンは生きたままではなく「天津の冷蔵庫へ皆預けて、それから毎月冷蔵船で内地へ持つて来る。冷蔵品であるから、一疋もそつがない上に薬種品として一割の税金しか取られないのであります。こう云う風にして持つて来た物を今お話した吸物にして出すのですから、何も不思議はない。」(p.184-185)とある。
■『財界の鉱脈 : 小林一三と大屋晋三』(邱永漢/著 南北社 1964)
※府立図書館では所蔵なしのため、国立国会図書館デジタルコレクション(送信サービス)にて確認。
「小林一三」の「一一」に次の記載がある。
「阪急食堂で四十銭の弁当にスッポンの吸物をつけた。当時は、スッポンの吸物だけでも五十銭はとるのが当り前とされていた。」とあり、安さの理由として『私の人生観』に記載されているのと同内容の説明がある。(p.134)
■『20世紀を動かした人々 16 アイディアに生きる』(講談社 1962)
「小林一三 ターミナル百貨店のアイディア」に次の記載がある。
「阪急食堂は(中略)スッポンの吸物を四十銭の弁当につけるという思いきったサービスもやってのけた。」とあり、安さの理由として『私の人生観』に記載されているのと同内容の説明があり、「したがって最高級の料理であるスッポンの吸物を四十銭の弁当につけても引きあったのである。」(p.249-250)
■『阪急線歴史散歩:史跡をたずねて各駅停車』(野添梨麻/著 鷹書房 1987.4)
「梅田駅」の「阪急百貨店」の項に、阪急食堂には「高級品の代表・スッポンの吸物つき弁当というメニューもありました。しかし、このお弁当、高くてあたりまえのスッポンがついて四〇銭という大衆的な値段で提供されていたのです。中国で獲れたスッポンの頭と内臓を取り、冷蔵倉庫を借りて大量に貯蔵する方法をとったために安くすることができたのでした。いうまでもなくこの弁当は食堂の目玉商品として大当りをとりました」(p.125)とある。
[事例作成日:2023年3月24日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596 10版)
- 商業経営.商店 (673 10版)
- 参考資料
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- 私の人生観 小林/一三∥著 要書房 1952 (184-185)
- 20世紀を動かした人々 16 講談社 1962 (249-250)
- 阪急線歴史散歩 野添/梨麻∥著 鷹書房 1987.4 (125)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 業務
- 登録番号
- 1000331242