レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年03月02日
- 登録日時
- 2011/07/09 11:16
- 更新日時
- 2011/07/09 11:16
- 管理番号
- 9000007261
- 質問
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解決
真言宗で「九字(くじ)を切る」という言葉があるが、どのようなことか。
- 回答
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『真言宗小事典』(福田亮成編 法蔵館 2000年)によると、「九字を切る」とは、災難を除くために、臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前の九字と、それに相応する印を手に結び、つぎに刀印を結んで、横・縦の順に四縦五横の直線を空中に画する呪法。
本来は道教の呪法であるが、仏教にも取り入れられ、密教や修験道でも使用される。詳細については照会資料をご覧下さい。
- 回答プロセス
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1.『真言宗小事典』(福田亮成編 法蔵館 2000年)で「【九字を切る】くじをきる」をひくと、「災害をはらい勝利を得るために、臨(りん)・兵(びょう)・闘(とう)・者(しゃ)・皆(かい)・陳(ちん)・列(れつ)・在(ざい)・前(ぜん)の九字と、それに相応する印を手に結び、つぎに刀印を結んで、横・縦の順に四縦五横の直線を空中に画する呪法をいう」とある。また、本来道教の術法が、日本の修験道に混入したものとある。
2.1で「本来道教の術法が、日本の修験道に混入したもの」とあったので、道教・修験道の事典を確認
・『道教事典』(野口鉄郎ほか編集 平河出版社 1994年)→「九字(きゅうじ)」の項あり。「本来は道教の呪法であるが、仏教にも取り入れられた」「密教や修験道でも修法され、日蓮宗においても使用される」とあり、「切紙九字之大事」の図があり各印相が図で紹介されている。
・『修験道辞典』(宮家準編 東京堂出版 1986年)→「九字(くじ)」の項あり。「…葛浜の『抱朴子』(篇四)に出る「臨兵闘者皆陳列前行」に由来する。道士が山には入るときの魔よけの呪文とされたが、密教や修験道にとり入れられて、煩悩魔障一切の禍を除く護身呪とみなされた」などとある。
3.自館システムで、件名「呪術」で検索し、次にものについて内容を確認すると、「九字」についての説明があった。
・『図説日本呪術全書』(豊島泰国著 原書房 1998年)→「修験道の呪術」の項に「九字法」の掲載があり、各印相が図で紹介され、九字の本地仏と垂迹神の配当の一例について記述がある。また「日蓮宗系の呪術」の項p263-266にも「九字の法」の掲載があるが、この「九字」は「法華経二十八品九字文」であり、密教や道教、修験道のものとは異なる。「真言宗で」との質問だったが「密教系の呪術」の項に「九字」についての記述はなかった。
・『図説憑物呪法全書』(豊嶋泰国著 原書房 2002年)→第2章「管狐(くだぎつね)」p212-214に九字を斬る憑物落としについての記述がある。
・『魔よけ百科:かたちの謎を解く』(岡田保造著 丸善 2007年)→p12-13に「九字」の項があり、九字紋の瓦や、鎧を収める具足櫃に書かれた「前」の文字(前の字画が9画であることから九字を意味する)の写真の掲載がある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 各宗 (188 9版)
- 道教 (166 9版)
- 民間信仰.迷信[俗信] (387 9版)
- 参考資料
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- 『真言宗小事典』(福田亮成編 法蔵館 2000年) (p51)
- 『道教事典』(野口鉄郎ほか編集 平河出版社 1994年) (p97)
- 『修験道辞典』(宮家準編 東京堂出版 1986年) (p92)
- 図説日本呪術全書』(豊島泰国著 原書房 1998年) (p142-143)
- 『魔よけ百科:かたちの謎を解く』(岡田保造著 丸善 2007年) (p12-13)
- キーワード
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- 九字
- 九字を切る
- 呪術
- 仏教
- 密教
- 修験道
- 道教
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 思想・宗教一般
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000088223