レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年08月07日
- 登録日時
- 2020/11/17 15:24
- 更新日時
- 2020/11/18 16:34
- 管理番号
- 0000110866
- 質問
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解決
高山植物の「サンカヨウ(山荷葉)」の花は、雨などに濡れるとガラスのように透明になるが、この仕組みが知りたい。
- 回答
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「サンカヨウ」の花が雨にぬれると透明になる仕組みを日本語で解説した文献は見当たらなかった。
参考までに、洋書『Functional Surfaces in Biology III』(自館未所蔵、GoogleBook検索による。)に言及した部分があったため、その部分の記述と、翻訳サイト(DeepL、Google翻訳)での機械翻訳の結果を提示した。(2020年11月7日最終確認)
“Functional Surfaces in Biology III”(Stanislav N. Gorb, Elena V. Gorb 2018)p74
GoogleBook検索の検索結果(キーワード "Diphylleia grayi","transparent")
https://books.google.co.jp/books?id=EAVTDwAAQBAJ&pg=PA74&dq=%22transparent%22+%22Diphylleia+grayi%22&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjyqeuWp4jrAhUGQd4KHfY1CyMQ6AEwAHoECAUQAg#v=onepage&q=%22transparent%22%20%22Diphylleia%20grayi%22&f=false
以下、“Functional Surfaces in Biology III”の該当部分の引用
"Refractive index Matching: Diphylleia grayi
The flower petals of small herb Diphylleia grayi are white in dry weather. The numerous lacunae in between the cell on the petals are filled with air: the difference in refractive index between the two media causes light to be scattered and therefore produces a white colouration.
However, if it rains, the air gaps fill with water, whose refractive index is very similar to one of cells. The petals become a uniform medium and light can propagate through them almost undeflected, giving a transparent appearance."
上記のDeepL翻訳の結果 https://www.deepl.com/ja/translator
「屈折率一致:ジフィリア・グレイイ
小さなハーブDiphylleia grayiの花びらは、乾燥した天候では白くなります。花びらのセルとセルの間にある多数の裂け目は空気で満たされていますが、2つの媒体の屈折率の違いにより光が散乱して白くなります。
しかし、雨が降ると、空気の隙間は水で満たされ、その屈折率は細胞の一つに非常によく似ています。花びらは均一な媒体となり、光はほとんど屈折せずに伝わり、透明な外観を与えます。」
同Google翻訳の結果 https://translate.google.co.jp/?hl=ja
「屈折率マッチング:Diphylleia grayi
小さなハーブDiphylleia grayiの花びらは、乾燥した天候では白いです。花びらのセルの間にある多数の裂孔は空気で満たされています。2つの媒質の屈折率の違いにより、光が散乱され、したがって白い色になります。
ただし、雨が降ると、エアギャップは水で満たされ、その屈折率はセルの1つに非常に似ています。 花びらは均一な媒質になり、光はほとんど偏向されずに伝播し、透明な外観になります。」
なお、J-globalにて、 「サンカヨウ」で検索したところ、日本語の研究文献としては以下があるようだが、いずれも予稿集や発表要旨であり、入手困難と思われる。
荒川卓巳 (千歳科技大), 若林龍太 (千歳科技大), KARTHAUS Olaf (千歳科技大)「サンカヨウの花弁の透明化メカニズムの解明と人工的な模倣」(高分子学会北海道支部研究発表会講演要旨集 2019)
荒川卓巳 (千歳科技大), 若林龍太 (千歳科技大), KARTHAUS Olaf (千歳科技大)「サンカヨウの花弁の透明化メカニズムの解明と人工的な模倣」(高分子学会予稿集(CD-ROM) 2018)
荒川卓巳 (千歳科技大), 若林龍太 (千歳科技大), KARTHAUS Olaf (千歳科技大)「サンカヨウの透明化メカニズムの解明とPVDF膜を用いたバイオミメティクス」(高分子学会北海道支部研究発表会講演要旨集 2018)
- 回答プロセス
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回答期限が短かったため、百科事典や図鑑等は調査対象から外し、インターネットによる検索に基づき回答。
Wikipediaで、サンカヨウの学名「Diphylleia grayi」を確認
NDLサーチにて、「サンカヨウ」「山荷葉」「Diphylleia grayi」で検索、論文を中心に探す。
WebcatPlusMinusにて、「サンカヨウ」「山荷葉」「Diphylleia grayi」で検索
J-globalにて、「サンカヨウ」「山荷葉」「Diphylleia grayi」で検索、関係する論文がヒットするが予稿集等のため入手は難しいと思われた。
Googlebook検索にて、「Diphylleia grayi」で検索、ヒットした資料のうち、該当部分を見ることのできた"Functional Surfaces in Biology III"の記述を翻訳サイトで翻訳
- 事前調査事項
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所蔵する百科事典、植物事典をはじめ高山植物、多年草等の図鑑類を確認するが、仕組みについての記述なし。
「植物のふしぎ」について書かれていそうな児童書・一般書を見るが、「サンカヨウ」については記述なし。
ウェブ検索したところ、以下のページがヒット。専門家の見解を紹介している。
FNNプライムオンライン 生き物ディープランド:濡れると透明になる花「サンカヨウ」が神秘的…なぜ白から変化? 2つの植物園に聞いた(Fuji News Network, Inc.)
https://www.fnn.jp/articles/-/47197
白馬五竜高山植物園(長野県白馬村)学芸員・風間勇児氏
「私は、“光の散乱”と“透過”が関わっていると考えています。(中略)ではなぜ白く見えるのかというと、光が花びらの中で散乱するからだと考えられます。花は細胞という部屋の集合でできていますが、光が細胞の隙間に入り込んだ時に散乱して、人の目には「白色」に見えるということです。」とし、ラップによる実験(丸めたラップは白く見えるが、水につけると透き通る)を紹介している。
六甲高山植物園(兵庫県神戸市)担当者
「“すりガラスを濡らすと透明になる原理”と同じと考えられます。「濡れていない状態」では、表面の小さな凹凸に光が乱反射して“白く”見えます。一方で「濡れて表面が水の膜に覆われた状態」だと、光を反射しないため“透明”に見えます。」
「レファレンス協同データベース」で事例がないか検索したが、ヒットせず。
- NDC
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- 被子植物 (479 9版)
- 一般植物学 (471 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- サンカヨウ
- 植物生理学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000289596