レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年03月23日
- 登録日時
- 2022/06/14 12:01
- 更新日時
- 2022/06/15 11:17
- 管理番号
- 0000110979
- 質問
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解決
山口連隊区司令部について、次の2点が知りたい。
1.昭和20年(1945年)に、山口連隊区司令部が戦災を避けるため疎開したかどうか。
2.終戦前後に、山口連隊区司令部が陸軍兵籍簿を焼却したかどうか。
- 回答
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1.下記資料1-4によると、昭和20年前後に山口地区司令部が移転したと思われるが、資料によってその時期には違いがある。
資料1巻末の年表に、昭和20年(1945年)4月25日のこととして、「山口地区司令部、野田高女を接収し移転」とある。この野田高女は、野田高等女学校(現・野田学園高等学校)のことと思われる。
なお、資料1の本文中の昭和20年前後の記述(p528-535)には、このことについての記載はなかった。前の版の市史である資料2も同様。
また、資料3p171によると、昭和18年(1943年)に野田高等女学校の校舎が憲兵隊本部に接収され、昭和19年(1944年)に「山口県地区司令部がおかれてそのまま終戦を迎えた。」とある。巻末年表p797では昭和20年(1945年)の項に、「この間学校は山口憲兵隊本部、山口地区司令部に徴用され」たとあるが、それぞれ具体的な年月日は明示されていない。資料4でも、昭和19年から20年にかけて軍需工場へ学徒動員が行われたとの記述に続いて「その間学校は山口憲兵隊本部に校舎提供を余儀なくされ、続いて山口地区司令部の庁舎として徴用され」たとある。
なお、資料5の目次及び「第九編終戦」の項を通覧したが、司令部が疎開したとの記述は見当たらなかった。
2.資料5p684-685に、終戦時、軍司令部や師団からの命令により、作戦関係書類等の焼却を行い、戦時名簿についても焼却命令があったが、白石勇連隊副官が、部隊の人員把握ができなくなるとの理由で、自身の責任で焼却しないことを決断した、とある。
なお、『援護事業の概要 [昭和52年]』(山口県民生部援護課 編 山口県民生部援護課 1977.3)p105には、終戦後、連隊区司令部等から使用中の兵籍簿の引継ぎを受けたことのみ記載あり。兵籍及び諸証明を合わせ、231,209件の文書を保存している、とある。資料2『援護事業の概要 昭和50年度』(山口県民生部援護課 編 山口県民生部援護課 1975)には、兵籍簿に関する記載なし。
このほか、確認したが記載のなかった資料は以下のとおり。
『山口県史 通史編 近代』(山口県 編集 山口県 2016.3 [2018.3])
『山口県警察史 下巻』(山口県警察史編さん委員会 編 山口県警察本部 1982.3)
『山口市史 各説篇』(山口市史編纂委員会 編 山口市 1971.3)
『山口県政史 下』(山口県文書館 編 山口県 1971.3)
「防長新聞」記事索引(業務用)
- 回答プロセス
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『山口歩兵第四十二連隊史』を確認。兵籍簿を償却しなかったことについては記述あり
山口市史、および県史類を確認。『山口市史』年表部分に野田高女に移転した旨の記載があり、野田学園の学校史も確認
念のため、郷土紙の索引を確認
- 事前調査事項
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事前調査事項
1.については、他県の場合、学校(茨城県、埼玉県、富山県、愛知県)や寺院(新潟県、三重県)のように、陸軍兵籍簿の焼失を避けるため、連隊区司令部まるごと、市内中心部から疎開した事例が散見される。
2.については、山口県庁の陸軍兵籍簿の保管数量が大量であること(約18万人分・約1000冊)、山口県庁職員の寄稿した援護行政部署の紹介記事(雑誌「恩給」)を読む限り、他県(西日本の場合、岡山県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県が該当)のような焼却処分は行われなかったものと推察している。県史・市史等、文献的裏付けが必要。
なお、山口県庁には過去に照会済み
上記山口県庁職員の援護行政部署紹介記事については、「恩給」第212号、1996年9月、18頁に記載
自館所蔵の『援護事業の概要(昭和52年):援護課設置30周年記念』(山口県民生部援護課 編 1977)に、上記質問内容に関する記事があるかもしれない。(山口県民生部援護課は、山口連隊区司令部の後継組織(1945年山口地方世話部、1947年山口県民生部世話課))
- NDC
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- 中国地方 (217 9版)
- 国防史.事情.軍事史.事情 (392 9版)
- 参考資料
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1.山口市. 山口市史. 山口市, 1982.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001607472-00 (p528-535,1017) -
2.山口市史編纂委員会 編 , 山口市史編纂委員会. 山口市史 : 通史篇. 山口市役所, 1955.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060399151-00 (p461-470年表p49) -
3.野田学園百年史編集委員会 編 , 野田学園百年史編集委員会. 野田学園百年史. 野田学園創立百周年記念事業委員会, 1977.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060726295-00 (p171,797) -
4.野田学園 , 野田学園. 野田学園創設八十周年. 野田学園, 1957.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060660066-00 (p20) -
5.山口歩兵第四十二連隊史編纂委員会 編. 山口歩兵第四十二連隊史. 山口歩兵第四十二連隊史編纂委員会, 1988.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001963479-00 (p675-712,684-685)
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1.山口市. 山口市史. 山口市, 1982.
- キーワード
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- 歩兵第四二連隊
- 陸軍--日本--歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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雑誌「恩給」第212号(1996年9月)は国立国会図書館デジタルコレクションに収録(図書館・個人送信限定)されている。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2639567/11
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000317261