レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年09月04日
- 登録日時
- 2021/03/07 13:58
- 更新日時
- 2021/03/12 08:39
- 管理番号
- 県立長野-20-103
- 質問
-
解決
『洩矢(もれや)民族 千鹿頭(ちかとう)神』に記載されている千鹿頭神社の神社名と場所を知りたい。長野県内分でよい。
- 回答
-
『洩矢民族 千鹿頭神』を当館では所蔵していないため、諏訪市図書館へ照会したところ、p.46から、全国各地の千鹿頭神社の神社名と場所、祭神が記載されていると回答を得る。記載内容は、以下のとおり。
・千鹿頭神社 茅野市埴原田
・御座石神社 茅野市埴原田
・千鹿頭神社 諏訪市有賀(旧有賀村)諏訪明神御神領地内
・千鹿頭神社 茅野市上原(諏訪郡上原村)
・千鹿頭神社 富士見町横吹
・原之千鹿頭神社 富士見町休戸
・河原の千鹿頭神 富士見町休戸
・千鹿頭明神 上伊那郡朝日村(辰野町)
・千鹿頭神社 東筑摩郡中山村神田(松本市)
・千鹿頭神社 東筑摩郡里山辺村 森(松本市)
・守矢系譜謂う 宇良古山に鎮座 同地に命の社あり
・近津神社 北佐久郡岩村田町長土呂
・近津神社 北佐久郡南御牧村桑山
・近戸社 上水内群津和村越道
『洩矢民族 千鹿頭神』 今井野菊著 中央印刷 1964 の所蔵館と複写、図書館間の貸出について案内する。
上記の千鹿頭神社の現在の住所は次のとおり。
≪諏訪市≫
千鹿頭神社 諏訪市有賀(旧有賀村)諏訪明神御神領地内
〒392-0016 長野県諏訪市大字豊田 字宮垣3903
≪茅野市≫
千鹿頭神社 茅野市上原(諏訪郡上原村)
現在は葛井神社に合祀されている。
〒391-0001 茅野市ちの字九頭井414
御座石神社 茅野市埴原田
〒391-0001 茅野市ちの字御座石5307
千鹿頭神社 茅野市埴原田(はいばらだ)
〒391-0216 茅野市米沢字下河原212
『茅野市史 中巻』 茅野市編・刊 1987 【N241/111/2】 p.1009-1011に記述がある。
<ちの地区の産土社>
[上原村には葛井神社のほかに、八幡神社と千鹿頭神社という二つの重要な神社がある。『旧蹟年代記』に「上原村鎮守三社・・・・・・」とみえ、また明治十五年の「「神社明細帳」には三社とも社各が村社になっており、いずれも重要な神社であったが、明治四十一年四月、八幡・千鹿頭両社を分霊、葛井神社へ合祀し、以来産土社は葛井神社一社となった。
塚原村の産土社である塚原鎮守社は、嘉禎三年(一二三七)の奥書を持つ『祝詞段』に記載されている矢ヶ崎鎮守を改称したものであることが、「村社々号改称願」でわかる。この願いには、安永六年(一七七七)矢ヶ崎村と塚原村の地籍分割に際し、両村氏子示談のうえで同社地籍を塚原村に編入し、塚原鎮守社と改称し、塚原村の産土社に定めたことが記載されている。祭神ははじめ大己貴神であったが、御座石神社の祭神、高志沼河姫(こしぬなかわひめ)神を分霊合祀して二神となった。祭日は十一月二十日。
矢ヶ崎村では、そのときから御座石(ございし)神社を産土社に定めた。御座石神社は「御サン所明神」(『祝詞段』)・「御座所ノ宮」(『諏訪大明神画詞』)などともみえ、建御名方神の母神、古志沼河姫神を祭神とした神社である。]
<米沢地区の産土社>
[埴原田(はいばらだ)村の産土社、千鹿頭神社の創立年度・由緒などは明らかでない。しかし『祝詞段』にはすでにその名がみえており、早い時代に創立されたことは想像される。祭神は千鹿頭神、また建御名方神・八坂刀売神および御子神一三座ともいわれ、また一説には内県(うちあがた)神(同御子神のうちの一神)ともみえる。祭日は三月三日。]
≪諏訪郡富士見町≫
千鹿頭神社 富士見町横吹(よこぶき)
〒399-0211 諏訪郡富士見町富士見字坂上峯4637
原之千鹿頭神社 富士見町休戸
河原の千鹿頭神 富士見町休戸
〒399-0211 諏訪郡富士見町富士見字河原休戸5185
『富士見町史 上巻』 富士見町編 富士見町教育委員会 1991 【N241/121/1-1】 p.1236に
<横吹新田>
[千鹿頭社 千鹿頭社は、横吹、木之間、芧(とち:[くさかんむり]に[子])之木 三村の鎮守であり、寛永十八年(一六四一)に勧請したとされる。棟札により、その後宝暦十二~十三年(一七六二~三)に再建されたことがわかる。]
<休戸村>
[千鹿頭社 氏神は千鹿頭社で、その石祠には「寛永十八四ねん」(一六三七)の文字が刻みこまれている。以前は原休戸、河原休戸の二集落のそれぞれに社があったという。]
なお、Google mapでは、原休戸千鹿頭神社【最終確認2021.3.9】で検索される。
≪上伊那郡辰野町≫
千鹿頭明神 上伊那郡朝日村(辰野町)
『朝日村史』 朝日村史編纂会編 朝日村史刊行会 1968 【N242/47】 p.530-531
<千鹿頭神社>
[樋口に在る。創建の年代は明らかでないが、由緒として次の話が伝承されている。
大昔、諏訪の明神様が荒神山へ鹿狩に来た。その頃荒神山にはたくさんの鹿が棲んでいて、樋口と荒神山の間は海になっていた。明神様は舟に乗ってこれを渡り鹿狩をしたが、獲物は現在のお宮のところで料理してその頭を埋めた。それで後に健御名方命を此処に祀り千鹿頭明神と称したという。]
※昭和42.11.17撮影の写真あり
『辰野町誌』 辰野町誌編纂専門委員会編 辰野町誌刊行委員会 1990【N242/108/3】p.1094に町内の神祠一覧があり、旧・樋口村には、荒神、八幡宮、近戸明神、牛頭天王、芝宮、山神が挙げられている。本文中に近戸明神の記載はない。
上記神社庁のサイトには記載がなく、住所は不明。千鹿頭神社でも記載はない。なお、Google mapでは、千鹿頭神社として検索される。
≪松本市≫
千鹿頭神社 東筑摩郡中山村神田(松本市)
〒390-0822松本市神田1-16-1
千鹿頭神社 東筑摩郡里山辺村 森(松本市)
〒390-0221松本市大字里山辺5203
守矢系譜謂う 宇良古山に鎮座 同地に命の社あり
『松本市史 第4巻 旧市町村編』 松本市編・刊 1994 【N233/106/4-4】
p.32 <中山>
[村内の千鹿頭山は高遠山の尾根先の独立丘で、その上に千鹿頭社があった。元和四年(一六一八)に松本領から五千石が割かれ諏訪因幡守頼水に分けられた時、林村分・神田村分の村境がこの山の尾根を通ったため、その後、神社も二つ並べて建てられるようになった。]
p.578 <里山辺>
[千鹿頭社は伝承によれば、延暦年間(七二八-八〇六)に田村麻呂利仁の副将雨宮藤原緒継(おつぐ)という官人と麓の林の里長六郎とが、諏訪洩屋(もりや)(守矢)の神の御子神を蓬莱山鶴ヶ峰に勧請したものという。]
『東筑摩郡松本市・塩尻市誌 別編 地名』 東筑摩郡松本市・塩尻市郷土資料編纂会編・刊 1976 【N233/10/別】を見たが、宇良古山は確認できなかった。
≪佐久市≫
近津神社 北佐久郡岩村田町長土呂
〒385-0021 佐久市大字長土呂字本宮1182
近津神社 北佐久郡南御牧村桑山
江戸期は桑山村で、明治初期に南御牧村となった。その後、浅科村を経て現在は佐久市。この変遷の中で、当館で所蔵している各自治体名を冠した史誌類を調べたが、近津社についての記載は確認できなかった。信州デジタルコモンズで公開している明治初期の「桑山村全図」【最終確認2021.3.9】には、神社名が書かれてはいないが、「明神平」という字名の近くに建物が描かれている。
≪長野市≫
近戸社 上水内郡津和村越道
長野県神社庁のサイトでは、近戸皇大神社:上水内郡信州新町越道5361 となっていたが、現在信州新町は長野市と合併し、長野市信州新町となっている。
- 回答プロセス
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1 問い合わせの資料を確認する。当館では所蔵していないため、所蔵している諏訪市図書館【最終確認2021.3.9】へ照会する。県内分の記載内容を得る。
2 掲載されている14社について、神社名の変遷(分霊、合祀)を『全国神社名鑑 上巻』三浦譲編 全国神社名鑑刊行会史学センター 1977 【175.9/ゼン/1】 と 各地域の誌史類、『長野県町村誌 南信編』長野県編 名著出版 1973 (1936年長野県刊の復刻版)【N290/33a/3】で調査する。
3 現在の住所を確認していく。長野県神社庁のウェブサイトの「神社紹介」【最終確認2021.3.9】で住所を探した。
4 3で探せなかったものについては、Google mapで検索し、誌史類の記述と合致するものを紹介した。
<調査資料>
・『浅科村史』 浅科村史編纂委員会編 浅科村史刊行会 2005 【N222/151】
- 事前調査事項
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『洩矢民族 千鹿頭神』今井野菊著 中央印刷
- NDC
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- 神道 (170 10版)
- 中部地方 (215 10版)
- 参考資料
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全国神社名鑑刊行会史学センター/編纂 , 全国神社名鑑刊行会史学センター. 全国神社名鑑 上巻. 全国神社名鑑刊行会史学センター, 1977.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005709379-00 (【175.9/ゼン/1】) -
長野県 , 長野県. 長野縣町村誌 第3巻 南信篇 複刻版. 名著出版, 1973.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I098389507-00 (【N290/33a/3】) -
茅野市/編集 , 茅野市. 茅野市史 中巻. 茅野市, 1987.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I011729885-00 (【N241/111/2】 p.1009-1011) -
富士見町 編集 , 富士見町. 富士見町史 上巻. 富士見町, 1991.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I077276121-00 (【N241/121/1-1】 p.1236) -
朝日村史編纂会/編 , 朝日村史編纂会. 明治百年記念朝日村史. 朝日村史編纂会, 1968-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059269903-00 (【N242/47】 p.530-531) -
辰野町誌編纂専門委員会 編纂 , 辰野町 (長野県). 辰野町誌 歴史編. 辰野町誌刊行委員会, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002079965-00 (【N242/108/3】p.1094) -
松本市/編 , 松本市 , 松本市. 松本市史 第4巻 旧市町村編4. 松本市.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I058878026-00 (【N233/106/4-4】)
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全国神社名鑑刊行会史学センター/編纂 , 全国神社名鑑刊行会史学センター. 全国神社名鑑 上巻. 全国神社名鑑刊行会史学センター, 1977.
- キーワード
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- 千鹿頭神
- 洩矢神
- 神社
- 照会先
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- 諏訪市図書館【最終確認2021.3.9】
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000294807