レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年08月05日
- 登録日時
- 2020/09/18 16:31
- 更新日時
- 2020/10/07 11:23
- 管理番号
- 2020-30
- 質問
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解決
石手寺と道後公園に建てられた湯築城址の建築物について、どのような木材(スギやヒノキなど)をどれくらいの量を使って作られているか知りたい。
- 回答
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石手寺について
【資料1】p35には、石手寺の阿弥陀堂に室町時代の古材が多く使われているということが書かれているが、具体的な木材の使用料についての記述はなかった。
【資料2】は「石手寺護摩堂解体修理工事」「石手寺鐘楼屋根葺替及補修工事」「石手寺訶梨帝母天堂屋根葺替及補修工事」に関する資料で、石手寺全体に関するものではない。護摩堂の部分で、「木工事」について記述がある。
p7 木工事
補足材は、化粧部、檜上材 其他檜、杉並材何れも抜節腐朽陽疾等の欠点ないものを使用し、木材の継手、手法は在来のものにならって施工した。(以下略)
この他、軸部、天井、床等についての木工事の記述がある。
図面や写真の掲載があるので、木材の使用量について目安になる。
湯築城址について
湯築城が創建された当時の木材に関する資料は、見当たらなかったが、復元された際のことが載っている資料がある。
【資料3】は、愛媛県が平成10年度から13年度にかけて実施した道後公園整備事業の工事報告書で、建物を復元した際の木材の種類等について記述がある。どのくらいの量を使用したかは書かれていないが、建物の図面や、木組みの図等がある。
(以下資料から抜き出し)
p56 木材の種類
伊予地方の民家において最も古いとされる真鍋家においては、主に「マツ」を主材としているが、河野氏と関連があった当地の土豪であった豊島家や、武家の出身である小比賀家では「ツガ」を多く使用しており、ツガをもっと上級な材とし、主材として用いる「ツガ普請」となっている。従って、建物の主材となる柱や長押・鴨居・敷居等の造作材を「ツガ」とした。構造材の主材である梁と裄は、古民家の例よりもっと多く用いられている「マツ」とした。
床下の束柱の痕跡がないことより、床を支える大引きは梁以上の断面をもつ丸太材となる。大引きの材種は古民家例においてはマツ・ツガ・クリが使用されており、一般的に腐り難い材とされているクリ丸太とした。
p106 木材の調達
復元建物の木材は、地元もしくは周辺地域産とし市場調査を行った結果、設計数量・仕様条件で調達できる木材の産地は以下の通りとなった。
<市場調査の結果>
スギ・ヒノキ(垂木・貫・建具等) =愛媛県産
ツガ(柱・裄・鴨居・敷居・長押等) =徳島県産
マツ(梁・床板等) =広島県産
クリ(地覆) =広島県産
サワラ(屋根材) =岐阜県産(木曽)
【資料4】~【資料7】の資料も調査したが関連記述はなかった。
- 回答プロセス
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古建築の木材の使用量ということで、修理保存の報告書等を中心に調査した。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 【資料1】『愛媛県の近世社寺建築 近世社寺建築緊急調査報告書』 愛媛県教育委員会 平成2年 <当館請求記号:K521-34>
- 【資料2】『重要文化財石手寺護摩堂外二棟修理工事報告書』 重要文化財石手寺護摩堂外二棟修理委員会 昭和33年 <当館請求記号:K521-4>
- 【資料3】『道後公園(湯築城跡)整備工事報告書』 愛媛県土木部都市局都市整備課 平成15年
- 【資料4】『愛媛の古建築を訪ねて 文化財・まちづくり委員会33年の活動記録』 愛媛県建築士会 平成30年 <当館請求記号:K521-エヒ-2018>
- 【資料5】『四国霊場第五十一番札所石手寺総合調査報告書』 胡光/編 愛媛大学法文学部附属 四国遍路・世界の巡礼研究センター 2017 <当館請求記号:K188.55-エヒ-2017>
- 【資料6】『日本の遺跡39 湯築城跡 伊予道後の中世城館』 中野良一/著 同成社 2009 <当館請求記号:K231-ナリ-2009>
- 【資料7】『史跡湯築城跡 保存管理計画書』 愛媛県 平成26年 <当館請求記号:K231-ユズ-2014>
- キーワード
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- 石手寺
- 湯築城址
- 建築物
- 木材
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000287325