レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年10月28日
- 登録日時
- 2020/12/19 14:20
- 更新日時
- 2021/01/15 13:20
- 管理番号
- 2020-43
- 質問
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解決
愛媛県で五月五日に幟を立てない理由は他にどのようなものがあるのか知りたい。
- 回答
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【資料1】第9章年中行事 第2節春から夏の行事
p500~503 五月幟と伝説
城を攻められた(事例4)、相撲で負けたから(事例1)を含め12例紹介されている。
「愛媛県史」は、全文がホームページに掲載されており、直接ご覧いただくこともできる。
https://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/ecode:2/50/view/6621
12例を転載。
事例1 周桑郡丹原町川根 異説もあるが、昔、新城ヶ森に大男がいて、ときおり里に出て来て村人に相撲を挑むので村人は困っていた。ある時、不思議な男が現れて、その大男と相撲を取り、彼をやっつける。大男は村人に詫びて、「村に幟を立てさえしなければもう出て来ない」と言い残して姿を消した。以来、村人は幟を立てれば新城ヶ森に赤幟が立つと言って恐れ、だれも幟を立てなくなった。
事例2 新城ヶ森の大男に、ある時、一人の村人が「どうして人を見ると角力をいどむのか」と尋ねたら、大男は「村に幟さえ立てなければその訳を言ってやろう」と言った。村人は以後幟を立てないことにしたが、ある年新出という所にその禁を破って幟を立てた者があった。すると幟から大蛇が下がって来た。それで村人はますます恐れをなし、幟を立てなくなった。
事例3 昔、耳兼城主が、川根の東光寺を焼き討ちしたことがあった。それで村人は強く城主に反抗するようになり、そのため川根には五月幟を立てさせなくなった。
事例4 端午の節供に幟を立てていたら、敵がそれを目当てに来襲して来て、遂に耳兼城が落城した。以来、川根では五月幟が禁忌となり、立てると蛇が上るといわれた。
事例5 同町久妙寺の今井家では五月幟を立てぬ。立てると耳兼城に赤幟が立つというので忌まれている。
事例6 同西屋敷の御子塚(若宮様)の近所でも五月幟や祭礼幟をいっさい立てることを禁じている。立てれば悪病が流行するという。
事例7 越智郡玉川町 五月幟は平家の印ということで、同町の大下や鬼原の者は源氏の子孫だから立てぬのだという。また同町中村の森部落でも五月幟はタブーである。昔、源平合戦で敗れた平氏落人が当地を開拓したためといわれる。また、森家の祖先(掃守様)が幟に巻かれて死んだので立てぬことになった(但し、座敷幟はよいという)。同町奈良ノ木でも五月幟を立てない。
事例8 松山市伊台町 享禄三年(一五三〇)、勝加城主河野近江守通遠は手勢を従え、潮見の城山を攻めたが戦利なく、単騎馬を駆って居城に引き揚げていたところ、松里の鼻のあたりで、庄屋の家に立ててあった五月幟が風に靡く音に馬が驚いて立ち上がり、全く動かなくなった。通遠はそこでこれまでと、刀を抜き追手の敵と渡り合ったが遂に討死した。里人は通遠の心中を察し、五月幟さえなかったらと、以後は村内のタブーとなった。
事例9 同市末町やその周辺にも五月幟の禁忌がある。昔、菊の森と城山に城があった。戦争があって五月五日に城山勢は近づく敵の旗を五月幟と間違えて安心していたために敗れた。以来、末部落から川上地区では絶対に五月幟を立てなくなった。
事例10 同市福音寺町や星ノ岡町でも五月幟はタブーである。ある家の男児が幟竿の下敷きになって死んだとか幟に巻かれて死んだのでとかで、その崇りを恐れて立てぬことになったという。
事例11 伊予郡双海町 天正年間に上灘の由並本尊城主稲葉帯刀は、長宗我部軍が幟を押し立てて攻め寄せて来たのを、五月幟と見誤り、不覚をとって戦死した。その後、岡部落で男児が生まれて五月幟を立てると必ず死ぬので、城主の崇りであろうということになり、現在でも五月幟は立てない。
事例12 西条市中野 木挽原に石川備中守の弟源吾の墓がある。源吾は氷見の高尾城を守備していたが、塩出・徳永等の讒言にあい、ここにおびき出されて殺害された。丁度五月節供の頃であったので、幟竿で攻め囲まれ、遂に討たれたのであるが、以後崇りをなすようになる。五月節供に幟を立てれば、暴風起こり、竿を吹き折るので、木挽原辺では五月幟を立てないことになった。(西条誌巻八)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『愛媛県史 民俗 下』の「五月五日」もしくは「人の一生 初節句」などの個所がある。また「五月五日の端午の節句には幟を立てない。城を攻められた、相撲で負けたから」と書かれていた。
- NDC
- 参考資料
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- 【資料1】『愛媛県史 民俗 下』 愛媛県 1984 <当館請求記号:K200-31>
- キーワード
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- 端午の節句
- 幟
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000291014