レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20190731
- 登録日時
- 2019/12/26 00:30
- 更新日時
- 2020/03/26 10:57
- 管理番号
- 0401000860
- 質問
-
未解決
トルストイ著の『復活』には、表題の裏(後)に新約聖書マタイ伝の一節が載っている。その中にある第十八章第二十二節の訳が「否とよ~」となっているものを昔読んだ。その訳になっている資料を探してほしい。
- 回答
-
標題のすぐ後のマタイ伝の言葉が「否とよ~」となっているものは確認できなかった。
ただし、自館所蔵の『トルストイ全集2 復活』原久一郎/訳,講談社,1949年の上下巻において、
上巻の標題のすぐ後のマタイ伝は「否、われ~」となっているが、下巻のp.308に同じくマタイ伝が載っている箇所では「否とよ、~」となっているものが見つかった。
依頼者の記憶にある、複数著者収録の緑の装丁の全集ではなかったが、「否とよ」訳のものが唯一見つかったため、こちらを紹介した。
- 回答プロセス
-
依頼者からの事前情報は次の通りだった。
「この訳を読んだのは18歳のときで、今から50年前(1969年以前出版の本と思われる)。トルストイ以外の作家も含まれた文学全集で少し分厚い緑の装丁の一冊だった」
更に依頼者のメモによると「トルストイ『復活』表紙見開き 新約聖書マタイ伝の某章節」に
「主よ、わが友またも我を欺けり。いくたび許すべきか?七たびまでか?」
「否とよ!七たびに非ず!七たびを七十たび許すなり。」と書かれていたとのこと(ただし50年前なのでうろ覚えとのこと)
以上を踏まえて調査を始めた。
依頼者の事前情報より1969年以前出版の本と思われたため、まずは自館所蔵のトルストイの『復活』の中から1969年以前に出版された作品をすべて確認した。
作品の中にまでマタイ伝が出てくるとは知らなかったため、まずはすべて標題のすぐ後の部分だけ確認したが依頼者が探す訳は見つからなかった。
続けて国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信限定)で確認できる『復活』をすべて確認した。
同じく標題のすぐ後の部分だけだったが「否とよ」訳は見つからなかった。
その後、別の職員が自館所蔵の『復活』の中を確認していたところ、本文中に「マタイ伝」が出てきて、更に「否とよ」訳の箇所を見つけた。
そのため、再度自館所蔵の全作品の本文中の「マタイ伝」の箇所を確認した。
結局その職員が手に取ったその一冊だけが偶然探していた「否とよ」訳だった。
依頼者の記憶とは違う形態の資料だったが、とりあえず同じ訳が見つかって依頼者も喜ばれていた。
その後時間がなく、デジタルコレクションに多数ある『復活』の本文中に出てくるマタイ伝掲載箇所の訳について、「否とよ」となっているものがないか再確認するには至っていなかった。
後日依頼者より「該当資料を読んでみたが話の内容が記憶と少し違う部分がある。「否とよ」訳が表題のすぐ後だったことと装丁も記憶にある資料とは違うので自分が読んだのは当時、若者向けに書かれた全集だったのではないか?」
とのことだったが、これ以上の調査は不要とのことだった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (983)
- 参考資料
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- 復活 下,トルストイ/著,講談社,1949年 (P.308 28章の途中に「マタイ伝 十八章」あり。その二十二が「否、とよ~」を含んでいた。しかし二十一は依頼者の言葉と少し違う|0111104329|/983/ト/)
- 復活 上,トルストイ/著,講談社,1949年 (表題紙裏のマタイ伝訳は「否、われ~」となっている。本文と訳が違っている。|0111104352|/983/ト/)
- 世界文学全集 2-11,河出書房新社,1963 (依頼者の記憶に近い装丁の全集。ただし表題裏と本文のマタイ伝は「イエス彼に曰いけるは~」となっている|0118848191|/908/シュ/081960)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000271587