レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年10月10日
- 登録日時
- 2021/01/14 09:36
- 更新日時
- 2021/01/14 10:38
- 管理番号
- 京歴-528
- 質問
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解決
寿宝寺(京都府京田辺市)にある「十一面千手千眼観音立像」の木材の樹種や制作技法を知りたい。樹種が「かや」で「割はき造」とする説と、材質が「桧」で「寄木造」とする説があると聞いた。
- 回答
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寿宝寺の十一面千手千眼観音立像の樹種・制作技法については、以下のように資料ごとに記述が異なる。
『京田辺市の仏像:京田辺市美術工芸品調査報告書』(①)pp.44-45に寿宝寺の木造千手観音立像の写真と解説が載っている。
「針葉樹(カヤか)材で頭体を彫出(合掌・宝鉢・錫杖・戟の各手上膊部は頭体部と共木)。後頭部は別材矧ぎ付け、体部襟際から裙裾までを割矧ぎ(わりはぎ)、各内刳り(うちぐり)。素地仕上げ(頭髪、眉、眼、ひげ、唇は彩色)。」と書かれている。
『京都南山城の仏たち:古寺巡礼』(②)のp.83には、「カヤと思われる一材から頭体部の前面は彫られ、背面は後頭部と体部に各一材を当てている」とあり。
『平等院と南山城の古寺(日本古寺美術全集;15)』(③)のp.144にも、「榧(かや)と思われる材の素地を生かして」という記述がある。
『藤原彫刻(日本の美術;50)』(④)のp.79には、「檜の素木一木造り」とあり。
- 回答プロセス
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当館の蔵書検索システムでキーワード「寿宝寺」を検索したが、該当する資料は出てこなかった。
『京都府文化財総合目録,平成18年版』(⑤)を調べ、寿宝寺の木造千手観音立像が平安時代に制作されたもので、大正2年4月14日に重要文化財(有形文化財(美術工芸品の部))に指定されたことがわかった(p.370)。
重要文化財であることがわかったので、『彫刻,上巻(国宝・重要文化財大全;3)』(⑥)を調べたところ、p.321に写真と解説が載っていたが、素材については「木造 素地」としか記載されていなかった。
京田辺市や、京都府の南部地域の仏像についての本を探し、①②③に関連する記述があるのを見つけた。
平安時代の仏像についての本を探し、④に関連する記述があるのを見つけた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 仏像 (718)
- 参考資料
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- ①『京田辺市の仏像:京田辺市美術工芸品調査報告書』京田辺市教育委員会編 京田辺市教育委員会 2007 (当館請求記号:K272||718.3||Ky6||)
- ②『京都南山城の仏たち:古寺巡礼』京都南山城古寺の会編 京都南山城古寺の会 2014 (当館請求記号:K2||718.087||Ky6||)
- ③『平等院と南山城の古寺(日本古寺美術全集;15)』宮次男著者代表 集英社 1980 (当館請求記号:E||702.098||N71||15)
- ④『藤原彫刻(日本の美術;50)』中野玄三編 至文堂 1970 (当館請求記号:||702.1||N71||50)
- ⑤『京都府文化財総合目録,平成18年版』京都府教育委員会編集 京都文化財団 2006 (当館請求記号:K0||709.162||Ky6||)
- ⑥『彫刻,上巻(国宝・重要文化財大全;3)』毎日新聞社 1998 (当館請求記号:709.1||Ma31||3)
- キーワード
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- 寿宝寺
- 十一面千手千眼観音立像
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000292335