レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年12月07日
- 登録日時
- 2016/03/27 13:48
- 更新日時
- 2016/03/31 11:14
- 管理番号
- 静岡郷土-16
- 質問
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解決
江戸時代、安倍川餅の値段はいくらだったのか知りたい。
- 回答
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資料によると、安倍川餅は一個五文という大変高価な餅であったようです。当時貴重品だった砂糖をつかった名物餅で、「五文取り」と称したことが『東海道中膝栗毛』『五十三次江戸土産』『東街便覧図略』等に書かれているとあります。
『東海道中膝栗毛』では、弥次さん喜多さんが安倍川に差し掛かると、茶屋女に「五文どりをあがりヤアし」と安倍川餅をすすめられています。
- 回答プロセス
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当館所蔵の和菓子の本、また当館の蔵書検索システムで「安倍川餅」「安倍川もち」で検索しヒットした資料を確認したところ、次のような記述がありました。
・『和菓子の辞典』(奥山 益朗/編 東京堂出版 1983)
「安倍川餅」p.11があり、『東海道中膝栗毛』の茶屋女が「五文どりをあがりヤア」と客引きする場面を引用している。
・『東海道名物膝栗毛』(八木 洋行/著 静岡新聞社 2009)
「14 安倍川餅」p.128-134に、「安倍川餅の呼び名を、別に「五文どりの名物の餅」で通ったのには、五文が他より安かったのではなく、反対に一個五文とする高価な餅だったからで、その自信は、当時まだ珍しい砂糖をまぶして売ったからであろう。」p.130とある。
・『可美古随筆安倍川餅』(法月 俊郎/著 麗沢叢書刊行会 1933)
「安倍川餅」p.1-8には「五個五文の五文採餅であったのを後に一個五文に売ったもので」p.5とある。また『東海道中膝栗毛』や『役者見立東海道五十三次』などにも五文取り餅として記載があることが紹介されている。
・『ふるさと百話 第11巻』(静岡新聞社 1974)
「名物もち往来」p.233-237には安倍川餅についても記述があり、伊勢参りの男が一盆五文のつもりで食べたところ、一個五文と聞いてびっくりしたという『五十三次江戸土産』の話が載っている。
・『静岡県謎解き散歩』(小和田 哲男/編著 新人物往来社 2011)
「安倍川餅命名の由来は」p.277-279で、伊勢参りの男が一個五文の高値に驚いた話を紹介しており、それで「安倍川五文取」とも呼ばれていたという話が『五十三次江戸土産』『東海道中膝栗毛』や『東街便覧図略』等に載っていると書いています。
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596 8版)
- 中部地方 (215 8版)
- 参考資料
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- 『和菓子の辞典』(奥山 益朗/編 東京堂出版 1983)
- 『東海道名物膝栗毛』(八木 洋行/著 静岡新聞社 2009)
- 『可美古随筆安倍川餅』(法月 俊郎/著 麗沢叢書刊行会 1933)
- 『ふるさと百話 第11巻』(静岡新聞社 1974)
- 『静岡県謎解き散歩』(小和田 哲男/編著 新人物往来社 2011)
- キーワード
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- 安倍川もち
- 銘菓
- 東海道
- 土産物
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000189843