①には、3冊の中で最も詳しい説明がされている。「おにぎりはなぜ三角形が多いの?」という問いに対して、「いろいろな説のうち、「山のかたちをまねた」というものがよく知られています。昔の人たちは、「山には神様がすんでいる」とか、「神様は空から地上にくるとき、まず山の頂上におりる」と考えていました。これがいつしか「山は神様」となりました。つまり、山のかたちは、神さまのかたちでもあるわけです。ではなぜ、おにぎりはわざわざ山のかたち(神様のかたち)ににぎられたのでしょうか?ポイントは、おにぎりのもうひとつのよび名でである「おむすび」です。おむすびのよび名は、「むすぶ」からきています。「むすぶ」には、「つなぐ」「強いかんけいをつくる」といった意味があり、「親交をむすぶ」や「同盟をむすぶ」のように使われます。つまり、三角形ににぎられるのは、神様と「つながる」ためなのです。山のかたちにすることで、神さまのパワーをごはんの中ににぎりこみ、さらにそれを食べることで、からだに取りこむ意味があったのです。(中略)出かけた先では何がおこるかわかりません。そのため、人びとは「神様の力を得て今日一日を安全にすごしたい」という願いのもと、三角形ににぎられたおにぎりを手に遠出したのです。ほかにも、かどがあると食べやすいので三角形になったとの説もあります。また、よび名も三角形ににぎったものがおむずびで、そのほかのかたちが自由なものがおにぎりというなど、さまざまな説があります。」と回答している。
②には、①と似ているが、詳しく読むと「むすびのかみ」等のキーワードの入った若干異なる解説が、「おにぎり」と「おむすび」の違いを説明する中にある。「お米・おにぎりのいろいろ豆知識」のコラムで、「「おむすび」の名前の由来は、山の神様。むかしの人は、自分たちの崇めていた山の神様の力をさずかろうとして、ごはんを三角形ににぎって食べるようになった。その山の神さまの名前が「むすびのかみ」だったから、「おむすび」とよぶようになったといわれているよ。だから、「おむすび」とよべるのは三角形ににぎったものだけ。」と解説されている。
③には、三角が多い理由について①や②とは、異なる視点で記載がある。「今は、三角がいちばん多い」の項目で「たきだし(7ページ)や人がおおぜい集まるときなどにも、おなじ大きさににぎりやすく、運びやすい三角おにぎりつくられることが多いといわれている。」また、「・三角形だと、おにぎりとおにぎりの辺どうしを、くっつけるようにおくことができるので、すき間なくつめられる。・形がそろうので、ならべやすい。・同じ量のごはんだと、三角形がいちばん大きく見えるので、売るとき有利。」と記載されている。さらに、「「さるかに合戦」のおにぎりは三角?」のコラムで、「むかしの絵草紙には、まるいおにぎりが描かれていたこともあったようですが、明治時代の国定教科書のさし絵で、三角のおにぎりが描かれてから、『さるかに合戦』のおにぎりは三角形になり、全国的に三角おにぎりが広まった、といわれています。」と記載されている。