レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20100616
- 登録日時
- 2010/07/22 02:01
- 更新日時
- 2010/07/22 02:01
- 管理番号
- C100603114036
- 質問
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解決
市川・浦安市と東京都の間に流れる旧江戸川に、屋形船がいつ頃から出来始めたのか。屋形船は現在どのような業種で用いられているのか。書いてある文献があれば教えてほしい。
- 回答
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ご照会の事項について回答いたします(【】内は当館請求記号です)。
①旧江戸川に屋形船が出来始めた時期について
旧江戸川限定では該当資料は見当たりませんでしたが、江戸一帯の屋形船に関する資料はありましたので、以下に紹介します。
(1)『海の日本史再発見』(石井謙治著 日本海事広報協会 1987.5【NC51-E2】)
「船の名称と船型-川船」中の「屋形船」(pp.206-210)で、寛文前期(1661年~67年)頃に屋形船が遊山船としての体裁をそなえるようになったこと、当時の裕福な町人が豪華な屋形船を造ったことなどが記述されています。
なお、江戸時代に遊山船であった屋形船に対し、小舟に簡素な屋根を付けた川船として、「屋根船」があり、「船の名称と船型-川船」中の「屋根 船」(pp.210-213)では、屋根船が幕府の法令に登場するようになった時期(正徳三(1713)年)や、手軽な舟遊びや市中交通に使われていたことなどが記述されています。船の名称と船型-川船」中の「猪牙船」(pp.214-223)では、猪牙船の起源(明暦1655-1657年頃)について言及しています。
(2)『江戸深川情緒の研究』(深川区史編纂会編 有峰書店新社 1971.5 【GC67-G251】
「第五章 自然美 第三節 船遊びと屋形船」(pp.231-238)では、船遊びに用いた船として、屋形船のほか、猪牙船や屋根舟などがあったこと、遊山舟最大の「屋形船」の起源(慶長年代)、承應年代の流行と明暦の大火の影響、萬治年代の再流行等について記述されています。
「第四章 狹斜生活 第六節 猪牙船と屋根船」(pp.176-183)では、屋根船については、日除船とも言われていたことや、納涼や潮干や悪所通いに用いられていたことが記述されています。猪牙船については、遊里への嫖客が多用したとの記述があり、猪牙船の起源(明暦年代)について言及しています。
(3)「江戸-東京を対象とした屋形船の史的考察」佐々木隆三、畔柳昭雄(『学術講演梗概集 A』2000年度(2) pp.373-374 【Z43-776】)
*CiNiiにて以下のURLから全文アクセス可能
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004223746/
屋形船の種類として、屋形船、屋根船、猪牙船を挙げ、江戸時代から現在までの変遷をまとめています。
②現在の仕事の内容(どのような用途・業種で用いられているのか)について
(4)『業種別審査事典. 第6巻(6001-6143)』(金融財政事情研究会 2008.1 【D2-J7】)
「6139 屋形船」(pp.1045-1051)によると、屋形船専業の企業は少なく、遊覧船やクルーザーなどの海運業のほか、釣り船を扱う船宿から多角化するケース、船宿と日本料理店が共同で経営するケースなどがある旨、記述されています。また、用途については、屋形船業は遊興飲食店としての性格が強く、春の花見シーズンや年末の忘年会の時期に利用が多い旨、記述されています。
【調査済資料】
・『近世日本水運史の研究』(川名登著 雄山閣出版 1984.11 【DK171-8】)
・『日本水上交通史論集 第6巻』(柚木学著 文献出版 1996.1 【DK131-122】)
・『関東河川水運史の研究』(丹治健蔵著 法政大学出版局 1984.2 【DK175-47】)
・『河岸に生きる人びと』(川名登著 平凡社 1982.10 【DK175-43】)
・ 『利根川の水運』(埼玉県立さきたま資料館編 埼玉県教育委員会 1989.3 【DK175-E16】)
・『近世利根川水運史の研究』(渡辺英夫著 吉川弘文館 2002.1【DK175-G21】)
・ 『利根川・江戸川水系の川船調査報告書 1』(千葉県立関宿城博物館 2004.3 【DK175-H15】)
・『河岸』(川名登著 法政大学出版局 2007.8【DK175-H40】)
・『江戸川』(「論集江戸川」編集委員会 2006.3 【ME352-H87】)
・『江戸川の社会史』(松戸市立博物館編 同成社 2005.1 【GC41-H33】)
・『利根川事典』(森田保著 新人物往来社 1994.11 【GC41-E42】)
・『利根川の歴史』(金井忠夫著 日本図書刊行会 1997.2 【GC41-G14】)
・『河川水運の文化史』(川名登著 雄山閣出版 1993.6【GC41-E33】)
・『市川市史 第2巻』(市川市史編纂委員会編 吉川弘文館 1974 【GC63-15】)
・『市川市史 第6巻』(市川市史編纂委員会編 吉川弘文館 1972 【GC63-15】)
・『松戸市史 中巻』(松戸市誌編さん委員会編 松戸市 1978.3 【213.5-M283m2】)
・『取手市史 通史編 2』(取手市史編さん委員会編 取手市教育委員会社会教育課市史編さん室 1992.3【GC45-75】)
インターネットの最終アクセス日は2010年6月16日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『和船Ⅱ ものと人間の文化史76-2』石井謙治(法政大学出版局 1995)
「Ⅳ章:船の名称と船型...川船」の「5>屋形船」206~210ページ、「6>屋根船」210~213ページ 主に江戸時代の船遊山に使われていた屋形船、屋根船の寸法が明記されており、解説あり。
『東京屋形船あそび』『浦安・海に抱かれた町 聞き書きと人と暮らし』(三谷紀美/著 筑摩書房 1995)には、船宿が衰退して屋形船をはじめるようになったと聞き書きの証言が記載されている。
- NDC
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- 内陸水運.運河交通 (684 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 船舶
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000069408