レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 福井県立図書館 (2110037) | 管理番号 (Control number) | 福井県図-20081003 | |||||
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事例作成日 (Creation date) | 2008年10月03日 | 登録日時 (Registration date) | 2008年10月04日 13時40分 | 更新日時 (Last update) | 2008年11月09日 13時01分 | |||
質問 (Question) | ケビン・カーター氏の手記がどの文献に出ているか教えてください。 ケビン・カーター氏は、1994年、「ハゲワシと少女」の写真でピューリッツアー賞を受賞しています。この「ハゲワシと少女」の写真に関して、『「写真を撮った後、ハゲワシを追い払い、木陰で泣いた」と手記に書かれている』とネット上ではたくさん書かれているが、その出典がわからない。 | |||||||
回答 (Answer) | ケビン・カーター氏の手記を発見することはできませんでした。 ご参考になりそうな文献はありましたので、ご紹介いたします。 1.『絵はがきにされた少年』藤原章生・著 2005.11 集英社(ISBN:4-08-781338-X) 手記は掲載されていませんが、木陰で泣いていた様子を見ていた人物の話は載っています。(p.24)また、遺書を載せている部分があります。P.28-30 2.『フォト・ジャーナリズム』徳山喜雄・著 2001.3平凡社(ISBN:4-582-85081-2) →p.131「三十四歳のカーターさんは反論することもなく自分の車のなかで排ガス自殺をしてしまった」との記述があり、手記がなかった可能性を示す根拠の一つになりそうです。 3.雑誌記事:「「ハゲワシと少女」論争」カメラマンはなぜ自殺したか 佐藤吉雄 (「新聞研究」No.518(1994.9)に掲載) p.58-60には、佐藤氏のケビン・カーターへの電話インタビューが、掲載されています。 なお、この記事は、「ハゲワシと少女」をめぐる論争について紹介するものですが、カーター氏自身の手記について触れられた文章はありません。また、「この写真に、もし、カーターさん自身が書いた記事がつき、私に答えた内容が書かれていれば、これほど批判を受けなくて済んだのではないかということである」という佐藤氏の一文からは、カーター氏本人の手になる手記がこの記事の時点では発表されていないことが読み取れます。 | |||||||
回答プロセス (Answering process) | 1.当館所蔵資料を「ケビン・カーター」をキーワードに検索→ヒットしない。 2.WebcatPlus 一致検索で、キーワード「ケビン・カーター」を検索→『フォト・ジャーナリズム』徳山喜雄・著 2001.3平凡社(ISBN:4-582-85081-2)がヒット。→p.131「三十四歳のカーターさんは反論することもなく自分の車のなかで排ガス自殺をしてしまった」との記述有。 3.Webcatplus一致検索でキーワード「ハゲワシと少女」を検索→「朝日新聞報道写真集」1995がヒット。(石川文洋が、この写真について論じた文章が掲載されている。本件の参考にはならなかった) 4.Wikipediaで「ケビン・カーター」を検索→参考文献に、『絵はがきにされた少年』が挙がっている。→手記は掲載されていないが、木陰で泣いていた様子を見ていた人物の話は載っている。(p.24)また、遺書から多くの文章を載せている。P.28-30 5.手記とのことなので、雑誌記事を検索→NDL-OPAC雑誌記事索引で「ケビン・カーター」を検索→ヒットせず。 6.「ハゲワシと少女」→2件ヒット。うち当館所蔵雑誌を確認。 ・「「ハゲワシと少女」論争」カメラマンはなぜ自殺したか 佐藤吉雄 「新聞研究」No.518(1994.9)p.58-60には、佐藤氏のケビン・カーターへの電話インタビューが、掲載されている。 この記事では、「ハゲワシと少女」をめぐる論争について紹介しているが、カーター氏自身の手記について触れられた文章はない。また、「この写真に、もし、カーターさん自身が書いた記事がつき、私に答えた内容が書かれていれば、これほど批判を受けなくて済んだのではないかということである」という佐藤氏の一文から、カーター本人の手になる手記がこの記事の時点では発表されていない可能性がある。 7.インターネットで検索すると道徳の教材として「報道か人命か」 出典 全日本中学校道徳研究会 「中学校道徳教育実践事例集2」 という資料があることがわかる。 ( http://www.setagaya.ed.jp/tfushi/kenkyuu/kennkyuujyugyou/2bs.pdf )「中学校道徳教育実践事例集」は、NDL-OPAC、総合目録ネットワークシステム、webcatで検索するも所蔵機関なし。学校関係者にのみ頒布されているものの可能性が高い。また、インターネットで手記を読んだとしているサイトのほとんどが、道徳の授業記録であることから、「手記」の出所は、この道徳教材である可能性が考えられる。 8.ケビン・カーターが、南アフリカの写真家であることから、National library of South Africaの目録でKevin Carter(Carter,Kevin)を著者名検索、件名検索→該当なし。著書・伝記の類がない可能性あり。 9.Library of congress , British library Direct などでも検索したが該当なし。(ただし、British Library Directの収録範囲は5年分なので、ケビン・カーター存命中の記事はヒットしない) 以上、ケビン・カーターの手記は存在が確認できませんでした。インターネット等でふれられている「手記」の出典は、「報道か人命か」(全日本中学校道徳研究会「中学校道徳教育実践事例集 2」)である可能性がありますが、図書館で資料を確認することはできませんでした。 | |||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) | ||||||||
キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||
寄与者 (Contributor) |
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備考 (Notes) | 有益な情報をご存知の方は、福井県立図書館までお知らせください。 香川県立図書館様から、以下の情報をいただきました。 (1)ケビン・カーター(リンク集) http://plaza.rakuten.co.jp/ryujisato/diary/200702100000 より次の2つの情報を見つけました。 ・報道か人の命か?」ケビン・カーター氏のドキュメンタリー映画 http://blog.at-globe.com/index.php?itemid=82796 ・THE DEATH OF KEVIN CARTER(映画の公式サイト) http://www.kevincarterfilm.com/ (2)TIME ARCHIVE:1923 to the Present http://www.time.com/time/archive を "kevin carter"で検索して次の情報を見つけました。 ・The Life and Death of Kevin Carter By Scott MacLeod/Johannesburg Monday, Sep. 12, 1994 http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,981431-1,00.html ※3画面目に次の記述があります。 "Afterward he sat under a tree, lit a cigarette, talked to God and cried." | |||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | ||||
登録番号 (Registration number) | 1000047824 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 未解決 |