レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/09/08
- 登録日時
- 2022/10/04 00:30
- 更新日時
- 2022/10/20 20:00
- 管理番号
- 12807590
- 質問
-
未解決
江戸文字の一種とされているひげ文字(髭文字)がいつ頃から使われ始めたのか、その起源と由来を知りたい。
ひげ文字のひげの数が7、3、5など奇数であることから縁起にも関わっているのではないか。
現在では日本酒のラベルに多用されているが、それは何故か、いつからか。
- 回答
-
ひげ(髭)文字の起源と由来について、明確・詳細に述べた資料は見当たりませんでした。下記資料1、2に、関連する記述がありましたので参考としてお知らせします(ただし、貴館調査済み資料のうち日向数夫著『髭文字』は当館所蔵資料がデジタル化作業中で確認できないため、内容の重複等がある可能性があります)。
また、日本酒のラベルにひげ文字が使用され始めた時期や理由について明確な記載のある資料も見当たりませんでした。関連する記述のある資料を、参考までに紹介します。
<資料 (【 】内は当館請求記号)>
1.日向数夫 著『伝統書体字典』新装版 (グラフィック社の文字シリーズ)グラフィック社 2018.6【KC531-L58】
→「はじめに」(pp.4-13)のp.6、pp.8-11に、髭文字に関する記述があります(p.11には七五三の髭文字への言及があります)。
2.「江戸文字」(『別冊アトリエ』(90) 1967.1 pp.52-59【Z11-30】)
→p.56に、ひげ文字について簡潔な説明があり、「割れ先を、七、五、三にして、縁起をかついだものもあります」等ともあります。また、p.52に、江戸文字の簡潔な解説があります。
[日本酒のラベルのひげ文字について(参考)]
・石田信夫「日本酒ラベル そのデザイン変遷の歴史(中編)」
(https://sakestreet.com/ja/media/history-of-sake-labels-2) < SAKE Street(https://sakestreet.com/ja/media)
→日本酒のラベルのデザインが昭和に入りひげ文字も使用したある一つの型に集約されていった旨の記述があり、華やかでめでたいイメージが目指されていたのではないかと推測されています(ひげ文字自体が使用され始めた時期・理由等の明確な記述は見当たりません)。
・時事通信社編『吟醸酒・純米酒情報事典』時事通信社 1998.2【DL687-G119】
→石田信夫「日本酒票私史―ラベルは語る」(pp.6-13)のpp.12-13にひげ文字に関する記述があります。
・東広島市教育委員会 編『菰樽 : 東広島市の化粧菰樽製造業』(東広島市文化財基礎調査報告 ; 6) 東広島市教育委員会 2009.3【KB242-J12】
→「Ⅰ菰樽の概要 4.シルシの変遷」(pp.10-12)のp.11に、酒樽に巻く菰に入れる「シルシ(印)」に髭文字が使用されている例(江戸時代)への言及があります。
・太田和彦「日本酒のラベルデザイン」(『アイデア = Idea』65(4) 379 2017.10 pp.129-139【Z4-31】)
→p.129に、日本酒のラベルに描かれた髭文字に関する記述があります。
<その他の主な調査済み資料・データベース>
・谷峯蔵 著『日本屋外広告史』岩崎美術社 1989.9【DH435-E21】
→pp.236-238に髭文字に関する記述がありますが、貴館調査済み資料『日本レタリング史』と著者が同じで、内容も類似しています。
・白鶴酒造株式会社社史編纂室 編『白鶴二百三十年の歩み』本編 白鶴酒造 1977.10【DH22-886】
→pp.202-207に日本酒の商標やラベルに関する記述があります。
・アイデア編集部「高桑美術印刷を訪ねて」(『アイデア = Idea』65(4) 379 2017.10 pp. 140-148【Z4-31】)
・石田 信夫「酒票(日本酒ラベル)の起源」(『比治山大学紀要』28号 2022.3 pp.45-53【Z22-B280】)(http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hijiyama-u/metadata/12965)
・石田信夫「日本酒ラベル そのデザイン変遷の歴史(前編)」
(https://sakestreet.com/ja/media/history-of-sake-labels-1) < SAKE Street(https://sakestreet.com/ja/media)
・酒票の美(http://fude.or.jp/jp/exhibition_post/2021/04/2335/) < 企画展 < 筆の里工房(https://fude.or.jp/jp/)
・市田真紀「日本酒の銘柄とラベル」(人間文化研究機構 監修『HUMAN : 知の森へのいざない』vol.05(2013December) (〈特集〉酒と日本文化) 2013.12 pp.62-67【UA11-L23】)
・[高橋正人] [著]『日本のしるし : 伝承デザイン資料集成』第3巻 (商品・業種のしるし) 日本図書センター 2009.1【GB43-J70】
・橘右橘 著『江戸文字入門』(ふくろうの本)河出書房新社 2007.2【KC531-H26】
・府川充男 著撰『組版原論 : タイポグラフィと活字・写植・DTP』太田出版 1996.4【PE61-G10】
・パイインターナショナル 編著『実例付きフォント字典 = JAPANESE FONT LIBRARY WITH EXAMPLES』改訂版 パイインターナショナル 2018.4【M154-L473】
・中山幹雄「江戸文字の成立―江戸文字と御家流」(『江東史談』215 1985.7/8/9 pp.11-14【Z8-1135】)
・国文学論文目録データベース(http://base1.nijl.ac.jp/infolib/meta_pub/G0038835RBN)
・日本語研究・日本語教育文献データベース(https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/)
・ジャパンサーチ(https://jpsearch.go.jp/)
・ジャパンナレッジ Lib(当館契約データベース)
・レファレンス事例詳細(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000288935) < レファレンス協同データベース(https://crd.ndl.go.jp/reference/)
(ウェブサイトへの最終アクセスは2022年9月5日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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レファレンス協同データベース(https://crd.ndl.go.jp/reference/)の事例(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000114303)で回答されている『事典しらべる江戸時代』p.42、『日本レタリング史』pp.125-130、グラフィック社の『江戸文字』pp.318-319、グラフィック社の『髭文字』の内容は確認済みです。
- NDC
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- グラフィックデザイン.図案 (727 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000322092