レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/08/20
- 登録日時
- 2021/09/02 00:30
- 更新日時
- 2021/09/24 10:59
- 管理番号
- 10206263
- 質問
-
未解決
山岡鉄舟の書「世事且随流水去 吟懐閑對晩涼開」(世事且つ流水に随うて去り、吟懐閑に晩涼に対して開く)の題名、解説が知りたい。その書が記載されている資料を見たい。
- 回答
-
資料1、2にご照会の詩句に訓点が付されたものと作者名(逹澄)、口語訳、読下し文が掲載されています。
一部、漢字が異なる点がありますが、ご照会の句を含む逹澄の詩は資料3に掲載されており、題名は「夏日放生河亭與無餘居士納涼」のようです。
山岡鉄舟の書に関する資料も確認しましたが、同一の詩句が記載された書の掲載は見当たりませんでした。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。書誌事項末尾に◎を付した資料は国立国会図書館デジタルコレクションの国立国会図書館/図書館送信参加館内公開資料です。
資料1
市河米庵 輯『新註墨場必携 上巻 新版』名跡刊行会, 2010.2【KC631-J17】
* p.761。本書の旧版が資料2です。
資料2
米菴河 輯, 洛東書院編輯所 編『墨場必携 : 新註 25版』洛東書院, 昭和13【特222-490】
* p.761。資料1とは口語訳中の漢字の字体や促音の書き表し方等に、異なる点があります。
* 国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開しています。
該当箇所のURL: https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1033232/400
資料3
台湾国家図書館「台湾華文電子書庫 Taiwan eBook」:『湖海詩傳 四十六卷v.4』
https://taiwanebook.ncl.edu.tw/zh-tw/book/NCL-000007917/reader
* p.1356(360コマ目)に逹澄の項があります。同ページの左端の行に当該句の文字列が確認できます。「閑」の字は「閒」となっています。
[主な調査済み資料およびウェブサイト]
桂五十郎 著『漢籍解題 復刻版』明治書院, 2005.5【UP5-H35】
* p.514「湖海詩傳 四十六卷」:『湖海詩伝』について、清の王昶の編による詩集であり、科挙に登第した人々の作品を掲載している、ただし46巻には方外の士が収録されている等の説明があります。
寺山葛常 著『鉄舟と書道 : 書美の本質とその深化』巌南堂書店, 1977.10【KC637-60】
* pp.1-61「鉄舟作品観賞・釈文」:45歳の春以降の作品55点の掲載があります。
* p.63「一 鉄舟と書道」「一 掲載写真について」:掲載した55点は著者が確認した数千点の中から選定したこと、『山岡鉄舟居士遺墨集』(昭和47年、禅美術館)および『鉄舟先生遺墨集』(鉄舟会)掲載のものは、つとめて割愛したとの記載があります。
『山岡鉄舟居士遺墨集』および『鉄舟先生遺墨集』は当館に所蔵がありませんでした。
両書とも、金沢市立玉川図書館近世史料館(春風館文庫)に所蔵があるようですので、ご参考までにお知らせします。
『山岡鉄舟居士遺墨集』
金沢市立玉川図書館所蔵近世史料館データベース( http://jmapps.ne.jp/amhr/det.html?data_id=31013 )
同書は、静岡県立中央図書館にも所蔵があるようです。
国立国会図書館サーチ( https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I015333962-00 )
『鉄舟先生遺墨集』
金沢市立玉川図書館所蔵近世史料館データベース( http://jmapps.ne.jp/amhr/det.html?data_id=31009 )
寺山葛常 著『三舟及び南洲の書』巌南堂書店, 1982.9【KC626-183】
* pp.1-208「三舟及び南洲作品」:鉄舟作品は、図版104~153の50点。
* pp.224-230「鉄舟(鉄舟作品釈文)」
岩佐寛 編著『岩佐一亭 : 山岡鉄舟書の師匠』岩佐清, 1987.7【KC637-E8】
* pp.73-106「第二章 小野鉄太郎(山岡鉄舟)」:「三、鉄太郎の書」(pp.78-80)に作品7点、「四、鉄太郎の書簡」(pp.81-103)に書簡の掲載があります。
寺内 進「山岡鐵舟の書--真贋にまつわる一管見」(『二松学舎大学論集』(53) 2010 pp.103-141【Z22-259】)
* 鉄舟が、生涯で書を百万点書いたと言われていることが紹介されています(p.103)。
島 善高「山岡鉄舟の書について」(『書法漢學研究』([1]) 2007.7 pp.41-49【Z71-T427】)
* p.41に鉄舟の書に関する先行研究への言及があり、その中に『山岡鐵舟居士遺墨集』(昭和63年、筆禅会)について言及がありました。「各機関、個人が所蔵する鉄舟の名品を多数収録」しているとのことですが、当館に所蔵はありませんでした。
『筆禅』筆禅会【Z71-V438】
* 当館所蔵の29号(2008.1)、30(2009.1)、31号(2010.1)の目次を通覧。
古筆学研究所 編『過眼墨宝撰集 2』旺文社, 1988.3【KC637-E7】
* pp.144-145「54 山岡鉄舟筆 五言二句」
『日本書道大系 7 (江戸・明治・大正)』講談社, 1972【KC637-13】
* 「229 山岡鉄舟」
偉人遺墨顕彰会 編『維新志士遺墨集』偉人遺墨顕彰会, 昭和8【422-163】◎
* 「六二 山岡鐵舟 書 東京 大橋圖書館藏」
今井庄次 [等]編『書の日本史 第7巻 (幕末維新)』平凡社, 1975【KC637-42】
* pp.204-205「山岡鉄舟」:書状の掲載有。
『書と人物 第3巻 (武人)』毎日新聞社, 1977.12【KC637-55】
* pp.140-141「山岡鉄舟」:書状の掲載有。
白石念舟 著『勤皇の系譜 : 書による心の世界』高木書房, 2015.6【KC637-L42】
* p.65「山岡鉄舟の書」(p.6に同書のカラー写真有)
大森曹玄 著『山岡鉄舟』春秋社, 1968【289.1-Y433Oy】
* 冒頭の口絵部分に墨跡・書翰等の掲載があります。
牛山栄治 編著『山岡鉄舟の一生』春風館, 1968【289.1-Y433Uy】◎
小倉鉄樹 著, 石津寛, 牛山栄治 編『おれの師匠 : 山岡鉄舟先生正伝』春風館, 昭12【729-163】◎
ジャパンサーチ( https://jpsearch.go.jp/ )
* キーワード「山岡鉄舟」で検索すると、鉄舟の書(画像)が数点見られます。
ADEAC( https://trc-adeac.trc.co.jp/ )
* 横断検索にてキーワード「山岡鉄舟」で検索すると、鉄舟の書(画像)が数点見られます。
以下は参考図書等です。
日外アソシエーツ株式会社 編『日本美術作品レファレンス事典 書跡篇 1』日外アソシエーツ, 2001.7【K1-E11】
『大日本書画名家大鑑』伝記下編 第一書房, 1975【KC2-13】
孟慶遠 [ほか]編著, 小島晋治, 立間祥介, 丸山松幸 訳『中国歴史文化事典』新潮社, 1998.2【GE8-G7】
尾崎雄二郎, 竺沙雅章, 戸川芳郎 編集代表『中国文化史大事典』大修館書店, 2013.5【GE8-L2】
相島宏 編『中国詩詞翻訳索引 第2巻 (宋代-清代) (文圃文献類従 ; 43)』金沢文圃閣, 2015.3【KK372-L13】
* 詩人の名前から引くことのできる索引(第1・2巻分を収録)を確認しています。
「中国詩詞翻訳索引 Ⅳ 清代」(『参考書誌研究』(62):2005.3.25 pp. 187-258【Z21-291】)
* 上の索引の元となった記事です。
* 国立国会図書館デジタルコレクションにて、インターネット公開しています( http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3051527 )。
青木正児 等編『漢詩大系 第22』集英社, 1967【921-Ka479】◎
『新撰墨場必携』中央公論社, 1985.6【KC612-60】
前野直彬 [ほか]編『常用墨場辞典』尚学図書, 1988.6【KK62-E1】
ウェブサイトへの最終アクセスは、2021年8月19日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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書(世事且随流水去 吟懐閑對晩涼開)で検索するが、掲載されている資料なし。
『鉄舟随感録』、『山岡鉄舟剣禅話』、『最後のサムライ山岡鐵舟』
国立国会図書館レファレンス協同データベースにて「山岡鉄舟」で検索( https://crd.ndl.go.jp/reference/ )。
山岡鉄舟の書に関するレファレンスをもとに、県内所蔵本『書の宇宙』、『皇室の至宝 12』を調べるが記載なし。
- NDC
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- 書.書道 (728 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵機関調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000304015