レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年1月16日
- 登録日時
- 2022/02/25 11:41
- 更新日時
- 2022/03/11 11:28
- 管理番号
- 企-210007
- 質問
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未解決
高校教員からの質問
①大正12(1923)年11月下旬から12月に17名の団体がドイツ・ベルリンを出発し帰国しているようだが、帰国者の中に安生物・中山二郎・池谷信三郎がいるか、また、ベルリンを出発した日付について
②大正12、13年に安生鞠が日本に入国しているか、乗船名簿や入国審査などによる確認について
③当時(大正12・13年頃)、シベリア鉄道を利用してベルリンから日本に帰国する際のルート及び所要日数について
- 回答
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①大正12(1923)年11月下旬から12月に17名の団体がドイツ・ベルリンを出発し帰国しているようだが、帰国者の中に安生物・中山二郎・池谷信三郎がいるか、またベルリンを出発した日付について
・国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
『池谷信三郎全集』池谷信三郎著 改造社 1934年
所収されている「シベリヤの蝋涙―主としてモスクワの五夜―」は、池谷信三郎がベルリン出立からシベリア鉄道に乗車するまでの随筆である。
p.584-586に「伯林を後に、北へ向かったのは一九二三年の十一月二十八日だった」との記載記述がある。安生物・中山二郎が同行していたかどうかについては記述がない。
②大正12、13年に安生鞠が日本に入国しているか、乗船名簿や入国審査などによる確認について
・実業家安生慶三郎の娘で芹沢光治良と恋愛関係にあった安生鞠(鞠子)のことであれば、次の資料に言及があるが、大正12・13年に帰国しているかは記述がない。
・『評伝芹沢光治良』勝呂奏著 翰林書房 2008
p.77「大正十一年…(略)…、鞠が急にドイツに留学することになったのである。」
p.85 ドイツにいる鞠から「両親の望むような結婚の相手をドイツで選んで、日本に帰ることにした」という手紙が届いたとあり、「鞠がベルリンで婚約して結婚した相手は、…略…墓誌に医学留学生だった中山二郎とある。」との記述がある。
・『芹沢光治良 人と文学 日本の作家100人』野乃宮紀子著 勉誠出版 2005
p.37-44 安生鞠子と恋人関係であったことや、ドイツへ渡った鞠子と文通を行っていたとの記述がある。
・乗船名簿については、「日本郵政歴史博物館 よくある質問」https://museum.nyk.com/faq.html に以下のとおり記載がある。
「Q.戦前の乗船名簿は残っていますか? A.残っていません。」
③当時(大正12・13年頃)、シベリア鉄道を利用してベルリンから日本に帰国する際のルート及び所要日数について
・『シベリア鉄道紀行史』和田博文著 筑摩書房 2013
p.8-9に「シベリア鉄道・旅の全図」として日本からヨーロッパまでの各都市へのルートが地図として掲載されている。
p.106には、1910年のガイドブックをもとに東京からヨーロッパまでのルートを紹介。「主要経路は三つある。最も早いのは、敦賀からウラジオストクに渡り…」「東京からウラジオストクまでは三日」「ウラジオストクから…ベルリンまでは十二日半」と記述がある。
・国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
『池谷信三郎全集』池谷信三郎 著 改造社 1934年
p.584-586 「シベリヤの蝋涙―主としてモスクワの五夜―」に、ケーニヒベルク、ポーランド、東プロシヤ、リガ、赤露(ソ連)、モスクワ、エカテリンブルグ、ウラル、シベリアなどの国名、都市名等が順に記述がある。「伯林を後に、北へ向かったのは一九二三年の十一月二十八日だった」、「リガに1泊」、「モスクワに着く。——十二月の一日だつたと記憶する。」などの記述のほか、副題に5夜とあるため、ベルリン~モスクワ出立までのある程度の期間を推察できる。また、最後に「私たちは退屈な一週間の汽車の旅を前にした。」との記述がある。
・国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開)
『官報』4219号(1926(大正15)年9月15日)
付録p.3「シベリア鉄道経由ヨーロッパ方面旅行に就いて」より東京から長春、ハルビンを通ってパリまでの日数の記述がある。東京、長春、ハルビン、マンチユリ、モスコー、リガ、ベルリンまで16日とある。復路が同じ日数かは不明。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『望郷』池谷信三郎著 新潮社 1927
- NDC
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- 日本文学 (910)
- 鉄道運輸 (686)
- 参考資料
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池谷, 信三郎, 1900-1933. 池谷信三郎全集. 改造社, 1934.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001873901-00 -
勝呂奏 著 , 勝呂, 奏, 1955-. 評伝芹沢光治良 : 同伴する作家. 翰林書房, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009760823-00 , ISBN 9784877372651 -
和田博文 著 , 和田, 博文, 1954-. シベリア鉄道紀行史 : アジアとヨーロッパを結ぶ旅. 筑摩書房, 2013. (筑摩選書 ; 0058)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024165883-00 , ISBN 9784480015617
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池谷, 信三郎, 1900-1933. 池谷信三郎全集. 改造社, 1934.
- キーワード
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- 池谷信三郎
- 芹沢光治良
- シベリア鉄道
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000312576