レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/09/09
- 登録日時
- 2022/10/04 00:30
- 更新日時
- 2022/10/20 20:00
- 管理番号
- 12807613
- 質問
-
未解決
「政治・宗教・野球の話はするな」というフレーズが使われはじめたのはいつか。
当館で調査した範囲では、そのことについて触れている資料は提供できたのですが、いつからかがわかる資料を見つけることができませんでした。
- 回答
-
【 】内は国立国会図書館請求記号、請求記号末尾に☆を付した資料は国立国会図書館デジタルコレクションのインターネット公開資料、◎を付した資料は国立国会図書館内/図書館・個人送信資料です。
ご照会のフレーズが使われはじめた時期について記載のある資料は見当たりませんでした。
政治宗教に関する話題を避ける旨の記載は、明治時代の資料(資料1~3)においても確認できます。
慣用句のようなかたちではありませんが、昭和41(1966)年の記事(資料4)に、野球の話をするとけんかになることとあわせて、面識のない相手と政治や宗教の話をするなといわれていることが紹介されています。
また、昭和42(1967)年刊行の資料5では、セールスマンのタブーとしてスポーツと宗教が挙げられていますので、参考としてお知らせします。
資料1
タマス・イー・ヒル 著, 坂部録三 訳『西洋礼式』博聞社, 明17.10【特23-276】☆
* 「訪問の節忌むへき事件」の項(pp.26-29)のp.28に「訪問を爲す時政治宗教或は貧富優劣等凡そ事の權衡に係る主意に導く說話を爲す事」(変体仮名は現行のひらがなにして引用しています)との記載があります。
* 該当箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/759140/23
資料2
『児童研究』【Z7-340】◎
* 1904(明治37)年4月の7(4)に掲載されている「男女交際論」の項(p.[59] ※頁付なしのため前後より推定)に「宴會の席では、決して政治宗教に關する談話は禁物だ」との記載があります。
資料3
蜻蛉子 著『社交上の談話と演壇上の雄弁』服部国太郎, 明43.5【29-329】☆
* p.85に、「外國人は、專門的の學問、宗敎及び政治等に關することは人々によつて趣向が同一でないので話題としない風向がある」との記載があります。
* 該当箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/861832/52
資料4
『週刊読売 = The Yomiuri weekly』【Z24-16】
* 1966年1月14日の25(2)に掲載されている鮎川信夫「一人のオフィス(2) 笑ってもいいんだ」(pp.32-33)の「固定観念と偏見と」の箇所に「野球好きだというから話し合ってみると、一方が熱狂的な巨人ファンで片方が狂信的な南海ファン、最後は、きっとつかみ合いのケンカになる」とあるほか、「あまり面識のない相手と、政治や宗教の話をするな、とよくいわれる」との記載があります。
* 『鮎川信夫全集 第5巻 (時評 1)』【KH73-E60】に再録されており、「固定観念と偏見と」はpp.61-62に掲載されています。
資料5
『新刊ニュース』【Z21-180】
* 1967年2月15日号(18(4) (通号 116))掲載の「対談・大宅式人物料理法」(pp.4-13)において、セールスマンのタブーとしてスポーツと宗教があり、「アンチ・ジャイアンツのお客さんに、ジャイアンツをほめたりしたらたいへん」(p.5)との村島健一の発言があります。
* 『大宅壮一人物料理 スタミナ編』【281.04-O951o】◎に、「あとがきにかえて」(pp.[221]-232)として再録されています。
〔主な調査済み資料・ウェブサイト〕
中日新聞・東京新聞記事データベース(当館契約データベース)
* 『東京新聞』2013年11月24日 朝刊 1面 1頁の「筆洗」に「政治と宗教と野球の話はしない方がいい。特に初対面の人、公の場では―。」等の記載があります。
* 『東京新聞』2017年5月18日 夕刊 夕刊世界の街 3頁の「世界の街 海外リポート ニューヨーク 試合よりもホット?」に「米国では「政治と宗教、野球のことを軽々に口にしてはいけない」といわれる。」等の記載があります。
日経BP記事検索サービス(当館契約データベース)
* 『日経EW』2007/8号 pp.70-71の「時代と共に接待の”かたち”も大きく変わってきた。今、ビジネスの現場で一歩先を行くための接待術とは?」に「政治と宗教はもちろんタブー。(中略)野球の話題にも触れないようにしています」との記載があります。
* 『日経レストラン』2009/12号 pp.74-75の「お客様の「大丈夫」は大丈夫じゃない!―やってはいけない接客特集」に「「野球の話になったら、できるだけ早く話題を変えるようにアドバイスをしている」そうだ。無論、話題として政治や宗教の話を避けるべきなのは、言うまでもない」との記載があります。
来栖琴子 著『話し上手の話し方』はまの出版, 1990.1【KF142-E125】
* 「47 関係が親密でないうちは、主義主張にかかわる話は避ける」(pp.106-107)に「セールスマンたちの鉄則の一つに、政治と宗教の話だけはするなというのがあるといいます」との記載があります。
堀川直義 著『人を使う人の説得学』日本実業出版社, 1970【DH314-12】
* 「政治と宗教の話は禁物」の項(pp.227-229)に、アメリカのビジネスコンサルタントの言葉として、政治と宗教ときたないことについて話すことを禁じていることが紹介されています。
『桑原武夫全集 第2巻』朝日新聞社, 1969【908-Ku965k】◎
* p.10に「社交界では一般に政治と宗教と金銭の話は表向きは避けられることになっている」との記載があります。「社交界」の右には小文字で「モンド」の振り仮名があります。
『現代の座談・挨拶・文章』自由国民社, 1952【809-Z32g】◎
* 河合稔彦「セールスマン」の項(pp.22-26)に「とかく議論のもとになり易い、政治と宗教に関する話は、絶対にしてはなりません」(p.24)との記載があります。
次世代デジタルライブラリー(https://lab.ndl.go.jp/dl/fulltext)
Google ブックス(https://books.google.co.jp/)
ヨミダス歴史館(読売新聞)(当館契約データベース)
毎索(毎日新聞)(当館契約データベース)
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- 回答プロセス
- 事前調査事項
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雑談、ビジネスマナー、コミュニケーション等の図書をブラウジング
ELNET Web OYA-bunko 朝日新聞クロスサーチ 日経テレコン「政治 宗教 野球 話題 タブー 避ける 政治的発言」等で検索
『人づきあいを良くする話し方』中村豊秀 土屋書店 p.191
『話術』徳川夢声「親友同士の座談法」の中でスポーツ、政治、宗教などの話題を推奨
朝日新聞2006.6.22 夕刊 マリオン 8ページ 「(なまねた)根岸季衣」「…役者は政治、宗教、野球の話には首を突っ込まない方が身の為」
朝日新聞2009.9.17 朝刊 39ページ 「鳩山レーダー政権定点観測」「…車内での会話のタブーは、政治、宗教、野球の三つ。
『話のおもしろい人、ヘタな人』立川談四楼 PHP研究所 2010 p.51「政治や宗教の話は危険」
朝日新聞(島根版)2012.4.10 朝刊 26ページ 「(元気力)三谷尊文さん2 好み様々、酒好きに添う」
『人たらしの極意』ヨネスケ 小学館101新書 2013 p.142
『スナックあるある』玉袋筋太郎 講談社 2014 p.72
『タモリさんに学ぶ話がとぎれない雑談の技術』難波義行 こう書房 2014 p.39
『雑談上手になる本』中川昌彦 実務教育出版 1993 p.63
『雑談力』武藤清栄監修 明日香出版社 2003 p.21
『お客さま(クライアント)に愛される接し方・話し方』大平雅美 BABジャパン出版局 2006 p.92
『雑談力の磨きかた』柴田謙介 河出書房新社 2013 p.12「初対面の人と政治や宗教の話はしない」というのは、世界共通の雑談マナー。」
p.175「…政治の話、宗教の話、結婚、出産なども、タブー。」
盲目の噺ができない…春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧〈週刊朝日〉 https://dot.asahi.com/wa/2016111000242.html?page=1
政治の話はタブーなのか―インターネットユーザーに対する実証分析から https://www.crs.or.jp/backno/old/No557/5571.htm
内閣府
世界青年意識調査
我が国と諸外国の若者の意識に関する調査
社会意識に関する調査
- NDC
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- 人生訓.教訓 (159 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000322093