レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年10月1日
- 登録日時
- 2022/01/30 14:58
- 更新日時
- 2022/02/24 14:11
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2021-007
- 質問
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解決
現在名古屋市立笠寺小学校が建つあたりにかつて存在した「星崎城」について知りたい。
- 回答
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「星崎城」が建っていた位置や築城時期、城主などの情報について『愛知の城』や『尾張の古城』、『名城名鑑 上』など複数の資料に記載がありましたので、これらの資料を提供しました。
・建っていた場所について
星崎城が建っていた具体的な位置については『尾張の古城』p.62に「笠寺小学校の建つ台地一帯が城址である。同校の運動場が本丸跡、校舎のあるところが二の丸跡、道路を挟んだ南に三の丸があった」という記述がありました。
また『新修名古屋市史 資料編考古2』p.343の「城跡想定復原図」では、城の位置を現代の笠寺周辺の地図と照らし合わせ確認することができます。
・築城時期について
築城時期に関しては諸説ありました。
『新修名古屋市史 資料編考古2』p.340には「星崎城の築城期・築城者に関する記録はない。一説には、治承年間(1177~81)に山田重忠が築いたといわれるが、確証はない」とあり、『愛知の城』p.32にも同様の趣旨の記述があります。
『尾張の古城』p.62には「十三世紀の頃、山田重忠が築城したとする説と、戦国の初め頃に鳴海の花井右衛門兵衛が居城したとする説がある」と書かれています。
また『名城名鑑 上』p.138-139では「この城が築かれたのは天文十八年。駿河、遠江、三河の太守、今川義元が尾張攻略の前線基地として築いたもので、はじめ岡部五郎兵衛元信を派遣して城を守らせた」となっていました。
・城主について
『尾張志 上』p.710の「星崎城」の項に以下の記述があります。
「城主は岡田助右衛門直教其子長門守直孝其弟伊勢守善同天正十二年甲申三月より山口半左衛門重勝同十四丙戌年より同半兵衛重政也同十六戊子年織田信雄より重政に勢州茂福一万三千石を給へるによりてかしこに移りし後城廃れたり」
『新修名古屋市史 資料編考古2』p.340にも「記録に残る城主は岡田直教からである。続いてその子直孝が城主になったが、天正12年(1584)に伊勢長島城で直孝が織田信雄に殺害されたため、直孝の弟善同が星崎城に籠城し織田軍と戦った。戦後、山口重勝が寺部城から移って城主になり、その後を継いだ重政が天正16年に伊勢茂福に移ったため廃城になった」と書かれていました。
・逸話
『愛知の城』p.32の「二代・直孝は永禄十二年(一五六九)ごろは織田信雄の家老であったが、天正十二年(一五八四)小牧・長久手の戦いでは秀吉に味方したと見られた。これがもとで直孝はじめ勢州松島城主・津川玄藩允、刈安賀城主・浅井田宮丸の三家老が信雄によって殺され、合戦の口火を切ることとなった。この裏には内部分裂をねらった秀吉側の巧みな誘惑があったからであり、これは『星崎城騒動記』として伝えられている」という記述や、
『尾張の古城』p.62の「初代助右衛門の後を継いだ長門守直孝(重孝)は、本能寺の変の後も織田家を離れず織田信雄に仕え、三家老の一人になっている。ところが、主君の信雄が秀吉の謀略に引っかかり、三家老を長島城に呼寄せて謀殺してしまうという事件が起こり、怒った重孝の弟の勝五郎(伊勢守善同)は篭城して一戦を覚悟する。天正一二年小牧・長久手の開戦前夜の出来事である」というから、小牧・長久手の戦いの口火となった城としての逸話があることがわかりました。
以上のような情報の記載を確認し、資料の提供を行いました。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 中部地方 (215 9版)
- 日本 (291 9版)
- 日本の建築 (521 9版)
- 参考資料
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新修名古屋市史資料編編集委員会 編 , 名古屋市. 新修名古屋市史 資料編 考古 2. 名古屋市, 2013.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024430288-00 , ISBN 9784903305097 -
山田柾之 著 , 山田, 柾之, 1930-. 愛知の城 : 史跡散策. 山田柾之, 1993.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002264853-00 -
笹山忠 著 , 笹山, 忠, 1935-. 尾張の古城 : 全三四〇城を訪ねて. [笹山忠], 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009720022-00 -
大類伸 監修 , 大類, 伸, 1884-1975. 名城名鑑 上. 人物往来社, 1965.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001071332-00 -
深田正韶 著 , 深田, 正韶, 1773-1850. 尾張志 上. 歴史図書社, 1969.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001230871-00
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新修名古屋市史資料編編集委員会 編 , 名古屋市. 新修名古屋市史 資料編 考古 2. 名古屋市, 2013.
- キーワード
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- 星崎城
- 笠寺小学校
- 小牧・長久手の戦い
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000311410