レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年04月02日
- 登録日時
- 2019/11/14 11:35
- 更新日時
- 2019/11/15 16:29
- 管理番号
- 6000004861
- 質問
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解決
「住吉松葉大記」に御狩(みかり)神事が廣田神社で行われていたと記述がある。
どのような神事だったかがわかる資料はないか。
- 回答
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『西宮郷土誌 廣田神社史を中心として』第六章第二節に、御狩の神事の記述あり。
"広田神社に於て御狩神事は何時から創始せられたか、又如何なる儀式行事が奉行せられたものか現時これを挙証すべき何物残されては居らない。只僅かに西宮戎神社に現存する毎年一月十日の戎祭。住吉社の御狩神事の残存書類。及諏訪神社に於る、御狩神事に関する書類等によって奇しくも当時の状況を察知しうるに過ぎない。言はば幻の御神事である。只其場所は広田丘陵から甲山の神呪寺々領に接続した附近にかけて主として狩猟を行うたものと思われる。"(p.68)
ほかの資料も当たるが、その時点では上記より詳しい資料は見つけられず。遠方からの来館とのことで、郷土資料館の学芸員を紹介する。
御狩神事は十日戎の古来の姿といわれる神事だが、詳しい記録はなく幻の神事といわれているとのこと。
その後インターネットで検索をすると「えびす信仰事典」の11ページに記述があることが判明。確認するとかなり詳細な内容だった。
”近世に入るとこの御狩神事の内容が幾分具体的に分かるようになってきました。すなわち、これも住吉社の記録である『住吉松葉大記』に引く『住吉社頭年中祭礼神事之次第』に次のように記されているのです。
恵比寿社、西峰見林云……正月十日于当社、行廣田御狩神事、巫女為男形持出弓箭、狩場之躰也、観行此神事 則廣田五社内別祭浜南宮之子細有之、於西宮者称諏訪明神号浜南宮……
広田御狩神事には巫女が男装して弓箭(ゆみや)を持ち、まったく狩場に赴く服装をして奉仕したものであることを松下見林は述べています。すなわち、神が顕現して狩りをおこなったことを表しているのであって、あくまでも狩猟行事としての神事の一端を示しています。かくして近世においては文字通り御狩神事を執行していたようですが、一方、浜南宮といい、住吉社といい、ともに狩場としてはほど遠い海岸に近い場所に位置している関係上、古くから伝わった神事内容とは思えないのです。おそらくある時代に、狩猟を中心とした神事が、ミカワリ→ミカリ→御狩という順序で受け入れられ、形式的に執行されたにすぎないのでしょう。その因をなしたはじまりは、広田社の別宮南宮社に諏訪明神がまつられることになった時点だと思われます。諏訪社に伝わる御狩神事がこの時、広田社に伝わるミカワリ→ミカリに結びついたのではないかと思えるのです。いま、南宮社と諏訪社との関係が明らかにできないのが残念なところです。
要するに、御狩神事の原型は、広田社に伝わるミカリ、すなわちミカワリであり、ミカワリはさらにさかのぼれば居籠神事に到達するのです。"
- 回答プロセス
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書庫の資料を当たる
- 事前調査事項
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「住吉松葉大記」
- NDC
- 参考資料
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吉井良隆 編 , 吉井, 良隆, 1921-2005. えびす信仰事典. 戎光祥出版, 1999. (神仏信仰事典シリーズ ; 2)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002812412-00 , ISBN 4900901083 -
奥村孝雄 著 , 奥村, 孝雄. 西宮郷土誌 : 広田神社史を中心として. [奥村孝雄], 1981.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001577140-00 -
土師惟朝 編 , 梅園, 惟朝, 元禄時代. 住吉松葉大記. 鈴木松太郎, 1934.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000757176-00
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吉井良隆 編 , 吉井, 良隆, 1921-2005. えびす信仰事典. 戎光祥出版, 1999. (神仏信仰事典シリーズ ; 2)
- キーワード
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- 広田神社
- 御狩神事(みかりしんじ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000265219