レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年06月14日
- 登録日時
- 2018/05/16 11:05
- 更新日時
- 2018/07/26 16:11
- 管理番号
- 埼久-2018-007
- 質問
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解決
「面牆(めんしょう)の譏(そし)り」という言葉について、用例を知りたい。どの辞典も「面牆」の例文・出典を挙げるのみで、どこからともなく「面牆の譏り」という語が掲載されている。江戸中期・荷田春満の『創学校啓』の一例を除いては「譏り」という言葉を付して使った文章を見つけることが出来なかったが、『創学校啓』以外の用例はあるか。
- 回答
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下記の資料を紹介した。
『新続古今和歌集 和歌文学大系 12』(久保田淳監修 明治書院 2001)
p4 (新続古今和歌集序)「無貴無賤要免牆面之譏」とあり。
p5「今国家中興の運を膺(う)け、上古の風と同じくす。時尚(ねが)ふ所にあり。群趨(おもむ)かざる者莫(な)し。貴きも無く賎きも無く牆面(しやうめん)の譏を免るるを要(もと)め、」とあり。注に、「牆面之譏-無知・無能のそしり」とあり。
また、同義の語句の記述が下記の資料にあった。
『新後拾遺集総索引』(滝沢貞夫編 明治書院 2001)
p2 (仮名序)「このゆへにかきをおもてにするそしりをわすれて、道にふける心ざしをのべたり。」とあり。
参考として《漢籍リポジトリ》(http://www.kanripo.org/ 漢籍リポジトリ)を紹介した。
「欽定四庫全書給事集巻三」(宋 劉安上撰)
p13bに「率可用孰有面牆之譏名無苟傳且異畫餅之誚故」と記載あり。
「欽定四庫全書翰苑新書續集卷十五」(宋 闕名)
p39aに「拜奈速觸事面牆之譏徼福先公得師宗匠誓將勤」と記載あり。
「欽定四庫全書范太史集巻十一」(宋 范祖禹撰)
p15aに「詩及禮毎虞牆面之譏已塵東觀之榮敢覬中臺之」と記載あり。
- 回答プロセス
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1 参考資料を確認する。
2 「譏り」の用法について調べる
3 《Google ブックス》(http://books.google.co.jp/ Google)を〈面牆の譏り〉で検索する。
『古今和歌集研究集成 第1巻 古今和歌集の生成と本質』(増田繁夫〔ほか〕編 風間書房 2004)
p109-142「古今集序の文学史」(渡辺秀夫著)
p129 「なおまた「新続古今集序」の、 今国家膺中興之運、同上古之風。時有所尚焉、群莫不趨者。無貴無賎、要牆面之譏(今国家中興の運(とき)にあたり、上古の風にひとし。時に尚ぶところあり、群れて趨かざるひとなし。貴と無く賎と無く、牆面の譏りを免れんとす)。 「牆面」とは、「不学牆面、莅事惟煩(学ばざれば牆面し、事にのぞんでこれわづらふ)」(『書経』・周官)に出るものだが、「子謂伯魚曰、女為周南召南、其猶正牆面立也與(子、伯魚にいひて曰く、なんじ、周南・召南をまなびたるか。人にして周南・召南をまなばずんば、それなほ正しく牆に面して立つがごときか)(『論語』陽貨)によれば、ここも和歌を「ニ南」になぞらえた一例とみられようか。」(注26)
p141 「(注26)ただし、『20新後拾遺集』「仮名序」に「この故に、牆(かき)を面(おもて)にする謗りを忘れて、道に耽る志を述べたり」とあるのは、単なる「無学」の意。」
以上の記述から以下の資料を確認。
『新続古今集総索引』(滝沢貞夫編 明治書院 2002)
p1「(前略)今国家膺中興之運同上古之風時有所尚焉群莫不趨者、無貴無賎要牆面之譏(後略)」
『和歌文学大系 12 新続古今和歌集(後略)』(明治書院 2001)(回答資料)
『新後拾遺集総索引』(滝沢貞夫編 明治書院 2001)(回答資料)
4 《漢籍リポジトリ》(http://www.kanripo.org/ 漢籍リポジトリ)を〈牆面之譏〉〈面牆之譏〉で検索する。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2017年6月13日。
- 事前調査事項
- NDC
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- 辞典 (813 9版)
- 辞典 (823 9版)
- 参考資料
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- 『新続古今和歌集 和歌文学大系 12』(久保田淳監修 明治書院 2001) , ISBN 4-625-41312-5
- 『新後拾遺集総索引』(滝沢貞夫編 明治書院 2001) , ISBN 4-625-43307-X
- キーワード
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- 故事熟語-辞書
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000235676