レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/01/10
- 登録日時
- 2015/04/03 00:30
- 更新日時
- 2015/04/03 00:30
- 管理番号
- 6001006619
- 質問
-
解決
「去る者は追わず」の出典を知りたい。
広辞苑第五版には
[公羊伝隠公二年「来者勿拒、去者勿追」]去って行く者は敢えてひきとめない。
とあるが、「中國哲學書電子化計劃」を閲覧すると、「来者勿拒、去者勿追」の記載はなかった。
『孟子』の「盡心下」に「往者不追、來者不距」とあるのは確認できた。
『公羊伝』に書かれているのであれば、その原文を知りたい。
- 回答
-
出典の調査をしたところ下記の資料に記述がありました。
・『故事熟語大辞典』(池田四郎次郎/著 日本図書センター 1981)
p.306 項目は「來者不拒去者不追」となっており、「出處」には「公羊傳隱公二年の何休注に、王者不治夷狄錄戎者、來者勿拒、去者勿追と」書かれています。「考異」には「蘇軾の王者不治夷狄論に何休の注を引て、兩勿の字を不に作れり」とあります。考異とは「發凡」によると「同一の語にして書籍によりて其の文字の異れるものを掲ぐ」とのことです。
・『成語大辞苑』(主婦と生活社 1995.9)
p.503 「去る者は追わず」の項目の解説の中に「『春秋公羊伝』の隠公二年(前七二一)の注に「来たる者は拒まず、去る者は追う勿れ」とある」と書かれています。
ここに紹介されている注は大阪府立中之島図書館にて所蔵していますので、確認をしました。
以下の資料2点に、お探しの部分を見つけることができました。
・『春秋公羊註疏』(何休 和本 汲古閣本 [請求記号:183.5-88])
「春秋公羊註疏隠公巻第二 起二年盡四年」(第1冊所収)冒頭の、
「二年春公會戎于潜」への註のなかに書かれています。
「~王者不治夷狄録戎者來者勿拒去者勿追東方曰夷南方曰蠻~」(一丁オモテ 6~7行目)
また、疏註にも、この部分を書いた箇所がありました。
「~古者不治至勿追〇(中略)此經録戎者來者勿拒故也〇~」(一丁ウラ 5~8行目)
・『十三經注疏 131 春秋公羊註疏(序の書名: 春秋公羊傳註疏)』[請求記号:石崎182-1]
巻第二にも、同じ資料が収められています。
また、早稲田大学古典籍総合データベース(図書館webサイト)で、
「春秋公羊註疏」のフルカラー画像を見ることができます。
(第1巻の39・40コマ目)
春秋公羊註疏(早稲田大学古典籍総合データベース)(20141026現在)
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ro12/ro12_01811/index.html
春秋公羊註疏 第1巻(PDF 68.79MB)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ro12/ro12_01811/ro12_01811_0001/ro12_01811_0001.pdf
大阪府立中之島図書館所蔵資料とは版が異なる「春秋公羊註疏」ですが、同じ文章が載っております。
[事例作成日:2015年1月10日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 辞典 (813)
- 参考資料
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- 故事熟語大辞典 池田/四郎次郎∥著 日本図書センター (306)
- 成語大辞苑 主婦と生活社 (503)
- http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ro12/ro12_01811/index.html (春秋公羊註疏(早稲田大学古典籍総合データベース))
- http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ro12/ro12_01811/ro12_01811_0001/ro12_01811_0001.pdf (春秋公羊註疏 第1巻(PDF 68.79MB))
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000170294